#314 リトル・ミルトン「Woman Across The River」(Blues'n Soul/Stax)
シンガー/ギタリスト、リトル・ミルトン74年のアルバムより。クラッチャー=ジョーンズの作品。
筆者はこの曲を、フレディ・キング73年の、同題のアルバムで知ったクチだが、もともとはジョニー・テイラーが歌っていたナンバー。それを、キング、ミルトン、オールマンズら、多くのアーティストが歌い継いでいる名曲なのである。
テイラー版オリジナルは、スローブルース。これをキングはテンポを上げて歌い、途中でスローにチェンジするというスタイルで、あの3分足らずの曲に仕上げた。
が、その後ミルトンはあえてオリジナルのスローにこだわり、テイラー以上に遅いテンポで通し、重厚に歌いあげているので、ぜひ聴いてみてほしい。
たしかに、超がつくくらいのスローだ。だが、ストリングアレンジを加えることで、モッタリと重たい感じはうまく解消されていて、かつ聴き応えは十分だ。
リトル・ミルトンの声は高めで、基本的に「ネアカ」という印象がある。色でいえば、黒とか茶ではなく、赤とか黄色なのである。だから、重たいブルースを歌っても、さほど沈鬱な感じは与えない。これは彼の個性であり、ウリだな。
50年代後半以降、ブルースから袂を分つかたちで発展してきたソウル・ミュージックを、70年代に入って再度ブルースと融合させたのが、ミルトンである。「Blues'n Soul」というアルバムは、タイトル通り、その集大成といえよう。
ブルースとソウルのそれぞれのよさを、ミルトンという、歌にもギターにもすぐれたパフォーマーがひとつにまとめあげた。それがブルーズン・ソウル。
ミルトンというアーティスト、日本では、BBやボビー・ブランドに比べてあまり評価されているとはいえないが、その歌の表現力は、きわめて高いと思う。
ブルースとかソウルとかいったカテゴリなど関係なく、オールジャンルのシンガーの中でも、すぐれた歌い手であると、筆者は思っている。
2005年に70才で亡くなるまで、50年以上、現役であり続けたミルトン。「We're Gonna Make It」や「The Blues Is Alright」といった代表的ナンバーが、いまも後続のシンガーに愛唱され続けているのを見ても、その実力はホンモノであった。
ブルースとは、器楽演奏である前にまず「うたう」ものであると考えている筆者にとって、リトル・ミルトンの歌へのこだわりは、大いに共感できるし、見習うべきところが多い。
そのソウルに満ちた歌声は、彼の生きざまそのものなのである。
シンガー/ギタリスト、リトル・ミルトン74年のアルバムより。クラッチャー=ジョーンズの作品。
筆者はこの曲を、フレディ・キング73年の、同題のアルバムで知ったクチだが、もともとはジョニー・テイラーが歌っていたナンバー。それを、キング、ミルトン、オールマンズら、多くのアーティストが歌い継いでいる名曲なのである。
テイラー版オリジナルは、スローブルース。これをキングはテンポを上げて歌い、途中でスローにチェンジするというスタイルで、あの3分足らずの曲に仕上げた。
が、その後ミルトンはあえてオリジナルのスローにこだわり、テイラー以上に遅いテンポで通し、重厚に歌いあげているので、ぜひ聴いてみてほしい。
たしかに、超がつくくらいのスローだ。だが、ストリングアレンジを加えることで、モッタリと重たい感じはうまく解消されていて、かつ聴き応えは十分だ。
リトル・ミルトンの声は高めで、基本的に「ネアカ」という印象がある。色でいえば、黒とか茶ではなく、赤とか黄色なのである。だから、重たいブルースを歌っても、さほど沈鬱な感じは与えない。これは彼の個性であり、ウリだな。
50年代後半以降、ブルースから袂を分つかたちで発展してきたソウル・ミュージックを、70年代に入って再度ブルースと融合させたのが、ミルトンである。「Blues'n Soul」というアルバムは、タイトル通り、その集大成といえよう。
ブルースとソウルのそれぞれのよさを、ミルトンという、歌にもギターにもすぐれたパフォーマーがひとつにまとめあげた。それがブルーズン・ソウル。
ミルトンというアーティスト、日本では、BBやボビー・ブランドに比べてあまり評価されているとはいえないが、その歌の表現力は、きわめて高いと思う。
ブルースとかソウルとかいったカテゴリなど関係なく、オールジャンルのシンガーの中でも、すぐれた歌い手であると、筆者は思っている。
2005年に70才で亡くなるまで、50年以上、現役であり続けたミルトン。「We're Gonna Make It」や「The Blues Is Alright」といった代表的ナンバーが、いまも後続のシンガーに愛唱され続けているのを見ても、その実力はホンモノであった。
ブルースとは、器楽演奏である前にまず「うたう」ものであると考えている筆者にとって、リトル・ミルトンの歌へのこだわりは、大いに共感できるし、見習うべきところが多い。
そのソウルに満ちた歌声は、彼の生きざまそのものなのである。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます