2004年3月21日(日)

#209 ウィリアム”ブーツィ”コリンズ「ウルトラ・ウェイヴ」(WARNER BROS. WPCP-3682)
初めにひとこと。今日からまた、大幅にフォーマットを変えてみたいと思うので、よろしく。気分は「新装開店」である。
さて、きょうの一枚はP-ファンクの立役者のひとり、ブーツィ・コリンズのファースト・ソロ・アルバム。80年リリース。
アルバム発表当時、筆者は大学生だったが、同じバンドのドラマー、M君がこの手のファンク・ミュージックがオキニで、ブーツィも彼の影響で聴き始めたという記憶がある。
筆者の当時の趣味は、ユートピアみたいなプログレッシヴなロックだったが、それとはかなり趣きの異なるP-ファンクも結構好きだった。タツローあたりを好んで聴いていたことも関係あるかもしれない。
ブーツィについて簡単に紹介しとくと、51年オハイオ州シンシナティ生まれ。ベーシストとして18才の若さでジェイムズ・ブラウンのバック・バンド、JBズに参加。P-ファンク軍団の総帥、ジョージ・クリントン率いるファンカデリックに参加して注目を集め、以降パーラメント、ブーツィズ・ラバー・バンドにて70年代のP-ファンクをリードしてきた人なのである。
まあ、そんな瑣末な知識はどうでもいい。とにかく音を聴いてみるのが一番。
メロディより、リズム、リズム、リズム。とにかく全編、猥雑なファンクのグルーヴが渦巻き(まさにウルトラ・ウェイヴだな)、聴き手をとりこにしていく。
音だけではない。歌詞も相当ヤバい。卑猥で、お下品。とても直訳出来ないようなワードの連続なんである。日本では幸か不幸か、ことばの障壁が合って、そのへんのところは全然話題にも上らないんだけど。
でも、ジャケット写真を見ただけでも、彼のいかがわしさ(もち、いい意味だよん)がすぐわかるのでないかな。
ステージでは星型のサングラス、胸を大きく開けたラメのジャンプスーツに厚底ブーツ、白マントに王冠、これまた星型の変態ベースという超「キテいる」スタイル。エクストリームなカッコのプレイヤーの多いP-ファンクの中でも、ひときわ目立つハデさ。
そのベース・プレイも天衣無縫というか、自由闊達というか、変幻自在というか、アドリブ色の強いもの。これまた、マニアにはたまらないものがあるでしょう。また、歌やラップも、七色の声をたくみに使い分けている。なんとも器用なひとである。
本作では、粘っこ~いファンク・ナンバー「MUG PUSH」、ブーツィ流なんちゃってブルース「IS THAT MY SONG?」、EW&Fをちょっとおちょっくたようなサウンドの「IT'S A MUSICAL」、P・ベイリーばりのファルセットを聴かせる「FAT CAT」、コーラスとの絡みがカッコいい「SOUND CRACK」など、聴きどころが多い。
思い切りファンキーでありながら、どこか非常にポップで耳になじみやすい。まさに天才の仕事だと思いますね。
皆さんも、たまにはこういう理屈抜きにカッコいい音で、脳内をリフレッシュしてみてはいかが?
<独断評価>★★★☆