2013年6月23日(日)
#273 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「Night Time Is the Right Time」(Green River/Fantasy)
#273 クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「Night Time Is the Right Time」(Green River/Fantasy)

CCR、69年リリースのサード・アルバムより。ナッピー・ブラウン、オジー・カデナ、ルー・ハーマンの作品。
「Night Time Is the Right Time」あるいは「The Right Time」は、一般にはレイ・チャールズの58年の大ヒットで知られているので、彼のオリジナルだと思っている人が多いのだが、彼より1年前に他のアーティストがヒットさせており、チャールズ版はそのカバーなのだ。
それが、黒人R&Bシンガー、ナッピー・ブラウンによる57年のバージョン。
ブラウンは29年ノース・キャロライナ州シャーロット生まれ。ゴスペル歌手からR&Bに転向、サヴォイ・レコードより「Don't Be Angry」「It Don't Hurt No More」そしてこの「Night Time Is the Right Time」など、いくつかの曲をヒットさせている。
さらに溯ればこの曲の原型は、ルーズベルト・サイクスやビッグ・ビル・ブルーンジーによって既にレコーディングされていたのだが、それはさておき、今日までよく知られていような歌詞やコール&レスポンスのスタイルのものは、ナッピー・ブラウンによって生み出されたといっていい。
ブラウン版を聴いてみると、ちょっとビッグ・ジョー・ターナーに似た雰囲気のシャウターである。ゴスペル畑出身だけに、その迫力は満点だ。
実はこの曲、昨年の6月17日の当コーナーで、ビッグ・ジョー・ターナー版を取り上げたことがあるのだが、皆さん、覚えておられるだろうか?
要するに、性懲りもなく、同じ曲を他のアーティストでまた取り上げたということであります。申し訳ない。
でも、言い訳させてもらうなら、何度も取り上げたくなるくらい、この曲は魅力に満ちみちているのであるのだよ、ホント。
きょうのCCR版は、アルバム最後を締めくくる、唯一のカバー曲。youtubeの映像ではスチュとトムがコーラスを担当しているように見えるが、聴いてわかる通り、すべてのボーカル・トラックはジョン・フォガティによるもの。つまり多重録音。
この曲はコンサートではまったく演奏されず、ご覧いただいているTVショーで一回だけ「あて振り」で演奏されたもののようだ。
後期のCCRでは、ジョン以外のメンバーも歌うようにはなったが、デビューしてしばらくは、歌・コーラスをジョンがすべて担当していた。これがCCRの歌にハンパでない迫力、そして厚みをあたえていたといえるだろう。
サウンドのほうは、「これぞCCR!」というべき、シンプルでストレートなブルース・ロック。もう、すべてのバンドのお手本にしたいような、タイトな音なのである。
天性のソウルマン、ジョン・フォガティの渾身のシャウト。これを聴けば、凡百のシンガーなど全て吹っ飛んでいく。レイ・チャールズ、ジェイムズ・ブラウン、ルーファス&カーラといった「濃い」黒人勢にも一歩たりともヒケを取らない熱唱だ。
フォガティはデビューして45年経った現在も、現役バリバリで歌い続けているが、やっぱ彼の才能はモノホンだ。筆者にとっても、エルヴィス、ジョン・レノンらと並ぶ、最重要なヒーローのひとりであります。