NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#225 アース・ウィンド&ファイアー「天空の女神」(CBSソニー 25KP 742)

2022-06-27 05:02:00 | Weblog

2004年8月1日(日)



#225 アース・ウィンド&ファイアー「天空の女神」(CBSソニー 25KP 742)

さて、いよいよ8月である。月が変わったのを機に、この欄も思い切ってリニューアルしたいと思う。

すなわち、(1)毎日更新、(2)基本的に平日はおもにシングル盤、週末はアルバムを取り上げる。そんなスタイルで行きたい。

一日分の文章量はだいぶん少なめになるが、そのへんはご容赦願いたい。

さて、今日はこの一枚。アース・ウィンド&ファイアー、通算13枚目のアルバム。82年リリース。モーリス・ホワイトによるプロデュース。

30代後半以上のかたなら、この一枚を聴くと、条件反射的にリリース当時のころを思い出すだろう。ディスコやら、サーフィンやら、ポパイ&ホットドッグプレス文化やらが全盛だった「あの頃」を。

このアルバムのトップ、「レッツ・グルーヴ」はまさにそういったアーリー・エイティーズ・ジャパンの若者文化を象徴する最重要曲であったのだ。

実際、六本木や新宿のディスコで、この曲がかからぬ夜はなかったといっていい。

しかしながら最近、アース・ウィンド&ファイアーの音を耳にすることは、まったくといっていいほどなくなった。

一世を風靡したものほど、あとかたもなく消え去っていく、そういうものなんだろうか。

アースといえば、そのサーカスまがいの大掛かりなステージ・ギミックで話題だったが、そちらは筆者的にはあまり興味がなかった。やはり、その面目は唯一無二のその「グルーヴ」だった。

そもそもアースに興味を持つようになったのは、74年、ラムゼイ・ルイスがアースの主要メンバーをバックに制作した「SUN GODDESS」を聴いてからだったと思う。

これが実に新鮮なサウンドに聴こえた。ジャズ、ブラジル音楽、フュージョン、ファンク、そういった異なるジャンルが溶け込んだ新しい音に圧倒された。

なかでも、アル・マッケイの絶妙なギター・カッティング、そしてフィリップ・ベイリーの特徴あるファルセットが耳に残り、以降彼らの所属するグループ本体にも関心をはらうようになった。

アース本体も「シャイニング・スター」のスマッシュ・ヒットで、日本でもメジャーな存在となり、以降「セプテンバー」「宇宙のファンタジー」、そしてこの「レッツ・グルーヴ」で人気を不動のものにした…はずだった。

かつてあれほど隆盛をほこったディスコ文化ではあったが、バブル崩壊を機に一気に下火となり、その後は趣きのかなり違った「クラブ・カルチャー」が若者文化の代名詞となってしまった。完全に「代替わり」してしまったのである。

アースもいまでは、ある年齢以上の世代にとっての懐メロ的存在として聴かれるだけの存在になってしまった。

しかしですね、彼らが蒔いた種というものは、ちゃんと生き残って、確実に生長し、花実を咲かせているのですよ、皆さん。

たとえば、デビューして15年のベテラン、ドリームズ・カム・トゥルー。ドリカムもまた、アースの子供達の一例だといっていい。

ここでは詳らかに論ずることはしないが、アースがドリカムのサウンド・メーカー、中村正人に与えた多大な影響は、92年の大ヒット「決戦は金曜日」を聴けばたちどころにわかると思う。

ドリカムの日本人ばなれした音のセンスは、やはりまったくゼロの状態から創り上げたものではなく、偉大なる先達あってこそのものなのである。

さて、このアルバムはトータルな出来としては「イマイチ」感がいなめない。傑作「レッツ・グルーヴ」を除くと、可もなく不可もない出来というべきか。アル・マッケイが抜け、ローランド・バティスタに代わった影響もあるかな。

個人的にはベイリーをフィーチャーした「エヴリューション・オレンジ」が「レッツ~」に次いでオキニです。どこか「宇宙のファンタジー」に通じる雰囲気を持ちながら、さらにアップ・テンポでノレる曲であります。

<独断評価>★★★



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