NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#202 エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パス「スピーク・ラヴ」(Polydor/PABLO 3112-47)

2022-06-04 05:02:00 | Weblog

2004年1月18日(日)



#202 エラ・フィッツジェラルド&ジョー・パス「スピーク・ラヴ」(Polydor/PABLO 3112-47)

1973年の「TAKE LOVE EASY」以来、86年の「EASY LIVING」まで4枚の作品をものしている人気デュオの、3枚目。83年リリース。

ジャズ・ヴォーカル界のファースト・レディと、ジャズ・ギターのヴァーチュオーゾ(巨匠)の、意外に和気あいあいなコラボレーションがいい感じだ。

<筆者の私的ベスト4>

4位「THE THRILL IS GONE(MEDLEY)」

これはなんとも面白いメドレー。前半は1930年代のミュージカル・ナンバー。ブラウン=ヘンダースン・コンビの作品。

で、後半はなんと、あのBBの大ヒット・ナンバー(69年)。ベンスン=ペティット・コンビの作品だ。

アンニュイな雰囲気のバラードと、哀感あふれるマイナー・ブルース。このメドレーが、結構イケてるのだ。

かなり趣きの異なる同名異曲を見事に融合、ひとつの組曲のごとく仕上げたふたりの手腕に脱帽である。ブルース・ファンにも一聴をおすすめしたい。

エラという人は、スタンダードだけでなく、ビートルズ・ナンバーやクリームの「サンシャイン・オブ・ユア・ラヴ」など、カレントなヒットもうまく取り入れ、自分のものに消化して来たシンガーだが、これもまたその一例といえよう。

3位「SPEAK LOW」

アルバム・タイトルの元ネタでもあるこの曲は、かの「マック・ザ・ナイフ」でおなじみのクルト・ワイルが作曲したナンバー。歌詞はオグデン・ナッシュ。

これまた40年代のミュージカル・ナンバーなのだが、歌とギターだけのミニマムな編成により歌われるそれは、非常に内省的で奥深い味わいを持っている。

エラというと、陽性、にぎやかで華やかなイメージが強いシンガーだが、こういう最大限に"抑えた"歌唱もまた絶品であるね。

2位「GEORGIA ON MY MIND」

20世紀を代表するスタンダードである「スターダスト」の作者、ホーギー・カーマイケルの作品。歌詞はスチュアート・グーレル。といっても、レイ・チャールズのヒットのイメージが余りに強いので、レイの作品だと思っている人が多いのだが。

このご当地ソングナンバー1を、エラはエモーショナルに歌い上げる。パスも秀逸なバッキングでその熱唱を盛り上げ、また自身も歌心溢れるソロを決めている。

一巻のしめくくりにふさわしい、「王者の貫禄」な一曲。

1位「GIRL TALK」

「ジョージア~」に比べると、あまりおなじみとは言えないが、なかなか小粋で洒落た味わいがある曲なんで、筆者的には一番のオキニ。

カウント・ベイシーとのコラボでも知られる作編曲家、ニール・へフティが作曲、「ルート66」で知られる自作自演シンガー、ボビー・トゥループが作詞したナンバー。

ちょっとユーモラスな歌詞、洗練されたメロディ・ライン。エラは猫の鳴き真似まで交えて、チャーミングな歌唱を聴かせてくれる。

とにかく、エラとジョーの息がぴったりと合っており、聴き手の体も自然とスウィングしてくる。たったふたりでも、こんなに豊かなサウンドが生み出せるのかという驚きを禁じえない。

最小にして最高のユニット、それがこのふたりだ。

<独断評価>★★★☆


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