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音盤日誌「一日一枚」#125 ロリー・ギャラガー「ステージ・ストラック」(TDKコア TDCN-5611)

2022-03-19 08:16:00 | Weblog

2002年11月3日(日)



ロリー・ギャラガー「ステージ・ストラック」(TDKコア TDCN-5611)

(1)SHIN KICKER (2)WAYWARD CHILD (3)BRUTE FORCE AND IGNORANCE (4)MOONCHILD (5)FOLLOW ME (6)BOUGHT AND SOLD (7)THE LAST OF THE INDEPENDANTS (8)SHADOW PLAY

今は亡きギタリスト/シンガー、ロリー・ギャラガーのライヴ盤、80年リリース。

彼はテイスト時代以来、ライヴ・アルバムを多数残しており、これはソロになってからは3枚目のライヴ盤にあたる。79年11月~80年6月に行われたワールド・ツアーにて収録。

講釈はさておき、さっそく(1)から聴いてみよう。

これは78年リリース、クリサリス移籍後第三弾のアルバム「フォト・フィニッシュ」からのナンバー。もちろん、ロリーのオリジナル。

アップテンポで快調に飛ばす、陽性のロックン・ロール。

ナチュラル・ディストーションの効いたストラトのハードなプレイが耳に心地よい。また、うわずり気味にシャウトするヴォーカルも、まことにごキゲン。

エンディングは、ディープ・パープルばりのクドさ。これがまたいい。

続く(2)は、79年発表のアルバム「トップ・プライオリティ」から。これまた速いテンポでドライヴする、いかにもライヴ向きのハードなナンバー。ロリーのオリジナル。

そのギター・ソロがまた素晴らしい。スピーディでスリリング、伸びやかでしかもガッツにあふれたプレイ。名演です。

彼は75年にクリサリスに移籍してから、それまでのブルース的なサウンドから次第にハード・ロック、へヴィ・メタル志向に変化していったが、まさにその後期ギャラガー・サウンドの典型がここにあるといってよいだろう。

(3)は、「フォト・フィニッシュ」収録のナンバー。彼のオリジナル。

ミディアム・テンポで、テイスト時代の代表的なナンバー「ホワッツ・ゴーイング・オン」によく曲想が似ているが、こちらのほうがずっと「ネアカ」な印象だ。

ここではロリーお得意の、スライド・プレイをご披露。この音がまた、パワフルでええんですわ。

(4)は76年のアルバム「コーリング・カード」に収録されていた、彼のオリジナル。日本でもこの曲からグループ名をつけた岩手出身のロック・バンドがいたよなぁ。

これなどは、曲の組み立て方、哀愁を感じさせるマイナー・メロディ&コード進行、アームを駆使したトリッキーなギター・ソロ、などなどほとんど「へヴィ・メタル・ナンバー」といってもよさそう。

ロリーをその服装から、地味~でシブ~いロックをやるアンチャンと思っているひとも多いかも知れないが、どっこい、ハード・ロックよりもハード、ヘヴィ・メタルよりもヘヴィであったりするのだよ。

これは、ゴリゴリ、ブリブリのいかしたベースを弾く、ジェリー・マッカヴォイに負うているものも大きい。

ロリーの細かいピッキングを使った「ワザ」にも注目。とにかく、この(4)は、スタジオ録音版以上にカッコいいことは間違いない。必聴也。

(5)は「トップ・プライオリティ」からのナンバー。彼のオリジナル。

マイナーからメジャーに転調する構成がなかなかいかした、アップテンポのハードロック・ナンバー。

ただギターが巧いというだけでなく、トータルな意味での曲作りにもすぐれていたのが、ロリーというアーティストの強みであったといえそう。

次の(6)もまた、「トップ・プライオリティ」からのオリジナル・ナンバー。

ミディアムテンポのシャッフル・ビートにのって、ロリーの力強いヴォーカル、そしてエフェクター全開のギター・サウンドが暴れまくる一曲。

疲れを知らぬ強力無比のサウンドに、ノックアウトされまくり、である。

(7)は、「フォト・フィニッシュ」からのナンバー。「ヨコのり」中心のロリーにしては珍しく、「タテのり」な一曲。当時の流行を見事に先取りしている。

ロリーというひとは一徹な職人肌ではあるが、決して「石頭」ではないのも、これでよくわかる。新しいサウンドをどんどん取り入れていくことについては、まったく抵抗のないひとなのだ。

ヘヴィ・メタルの先駆け的サウンドをいちはやく実践していたのも、故ないことではないのである。

この曲でも、ふたたび激しいスライド・プレイが堪能出来るので、ぜひ聴いてみておくれやす。

さて、ステージもいよいよクライマックス。(8)は、アップテンポ、典型的へヴィ・メタ・ビートの一曲。

まさに沸騰しそうなロリーのギター・プレイを全面にフューチャーした、パーフェクトなパフォーマンス。

またロリーのみならず、ベースのマッカヴォイ、ドラムスのテッド・マッケンナも最高に熱いプレイを聴かせてくれる。

本当に、この三人だけで、こんな分厚いサウンドが出せるの!?と思ってしまうくらい、迫力に満ちた演奏に、オーディエンスもひたすら狂喜。

この一枚を聴いて、ロック魂が騒がないようじゃアナタ、ヤバいですぜ。

95年6月14日没。享年46。死ぬまでロックし続けた男、ロリー・ギャラガー。

このアルバムある限り、ぼくらは貴方の勇姿を永遠に忘れない。

<独断評価>★★★


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