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音盤日誌「一日一枚」#240 テイスト「ライヴ・テイスト」(ポリドール MP 2318)

2022-07-12 05:04:00 | Weblog

2004年9月19日(日)



#240 テイスト「ライヴ・テイスト」(ポリドール MP 2318)

ロリー・ギャラガー率いるアイルランド出身のバンド、テイストのライヴ盤。70年11月、スイスはモントルー・カジノにて録音。翌年、バンド解散後にリリース。

テイストは66年の結成から71年の解散までの間に、2枚のライヴ盤を残している。本盤の他に「ワイト島ライヴ」があり、それもいい出来なのだが、本盤はさらにその上を行く、最高のパフォーマンスを聴かせてくれる。

まずは、「シュガー・ママ」。ハウリン・ウルフ、サニーボーイ、ビッグ・ウォルターを初め、多くのブルースマンがレパートリーとした、トラディショナル中のトラディショナル。

とはいえ、ドロッと重たいスロー・ビートの本曲、完全にロリー流にアレンジされているから、パッと聴いて「ああ、あの曲か」とはとても思えない。

なにより、その歌うというより「咆哮する」に近いヴォーカル・スタイルは、圧倒的な迫力。

これで熱くなれないヤツは、ロックのライヴに行かないほうがいい、それ位のスゴさである。

もちろん、バンド演奏も、文句なしに熱い。刺激的なフレーズを繰り出すギター、低い重心で唸るベース、炸裂するドラム。これぞロックだろう。とりわけ、ギターとバックとが生み出す「間(ま)」が絶妙きわまりない。

二曲目は「ギャンブリン・ブルース」。ストラトをテレキャスターに持ち替え、スライドを弾き始めるロリー。

まんまアメリカ南部の土臭い世界が、彼のボトルネックから鮮やかに紡ぎ出される。首までどっぷり、ブルース濃度120%のサウンドだ。

これを聴くと、彼らの先輩格にあたるクリームなど、まだまだブルース濃度が足りないなぁと思ってしまう。

三曲目は「フィール・ソー・グッド」。ビッグ・ビル・ブルーンジーでおなじみのナンバー。そう、彼らは、ライヴでは他人の曲のカヴァー中心なのである

前二曲とはうってかわって、アップテンポで快調に飛ばす。中間部では、ギターソロに続いてべースのマクラッケン、ドラムスのウィルスンの気合いの入ったソロも聴ける。

そうして、ふたたびロリーのギターが爆発、後半へとなだれ込む。執拗にシャウトを繰り返し、ギターを泣かせまくるロリー。

全編、コテコテのブルース・サウンドで、おなか一杯になりますわ。ホンマ。

続くは「なまず(Catfish)」。これまた有名なトラディショナル・ブルース。

本盤では一番の長尺。10分41秒の大作である。

ひたすらスローでヘヴィーなビートを刻むリズム隊、そして観客を煽動するかのように、絶叫を繰り返すロリー。

「魔的音楽」としてのブルースを、激しいロック・ビートと融合させた、強力きわまりないサウンド。「圧巻」とは、このことだろう。

ラストのアンコール・ナンバーは「セイム・オールド・ストーリー」。デビュー・アルバム「TASTE」にも収められた、ロリーのオリジナル。

当サイトでも幾度となく話題になった「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」の元ネタとなったリフがまことに印象的。

速いテンポでグイグイとドライヴしていくさまは、スカッド・ミサイルの如し。これを、トリオという最小編成でやっているとは、スゴ過ぎる。

決して流行とか時流に乗った音ではないのだが、その力強さ、躍動感において、当時最強のライヴ・バンドと讃えられたのも、十分納得が行く。

ロック史に残る名ライヴ盤として、いまだに聴き継がれている本盤。未聴のかたは、ぜひどうぞ。

聴かずに一生を終えるなんて、絶対損です。いや、マジで。

<独断評価>★★★★★


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