2022年11月24日(木)
#375 BILLY JOEL「THE STRANGER」(CBS CK34987)
シンガーソングライター、ビリー・ジョエルの5枚目のスタジオ・アルバム。77年リリース。
45年も前に発表された大昔の作品ではあるが、いま聴き返してみても、実にみずみずしい出来栄えの良作である。
本作リリースまで日本においてはほぼ無名の存在だったジョエルを一躍スターの座にまで引き上げたのが、このアルバム、そしてシングル「ストレンジャー」の大ヒットである。
ギター・ロックが全盛な70年代後半、ピアノを前面に押し出した大人っぽいジャジーなサウンドは、若きロックファンたちに新鮮な衝撃を与えた。かくいう筆者(当時大学1年)もそのひとりだった。
普段はトッド・ラングレン、リック・デリンジャーといったゴリゴリのロックを聴いていた筆者も、一方ではモダン・ジャズも好んで聴いていたこともあって、すぐにジョエルの音に惹かれて、ハマる様になった。
そして、翌78年4月の中野サンプラザでの日本初公演には、いそいそと馳せ参じたという次第である。
ライブは実に見事な出来であった。これぞアメリカン・エンタテイナーという感じの、サービス精神溢れるステージ。バック・バンドもサックス奏者をはじめとして、巧者揃いであった。
ロックという枠にはまり切らない、ジャズ、フォーク、ブルース、ゴスペル、ラテンなど、オール・アメリカン・ミュージックともいうべき多様で豊穣な音楽性。
単に歌やピアノが上手いという以上のものがそこにあり、これは我々猿真似ばかりやっている民族にはとうてい到達出来ないものだなと確信した。
要するに「ホンモノ」なのだ。
アルバムは他にヒットした「素顔のままで」「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」のほか、「ムーヴィン・アウト」「イタリアン・レストランにて」「若死にするのは善人だけ」「ウィーン」「最初が肝心」など、いずれも親しみやすく美しいメロディの宝庫である。
「ストレンジャー」の前奏に典型的な、哀愁に満ちたメロディ、そしてジョエルの通りのいい高らかな歌声。
これにはわが国のリスナーもイチコロでやられてしまった、ということだな。
ラストの「エブリバディ・ハズ・ア・ドリーム」のゴスペルライクなサウンドは、いかにもすべてのアメリカンが抱く「明日への希望」を謳いあげていて、胸が熱くなるものがある。
「ああ、このひとはこれからもずっとアメリカの心を歌い続けて、国民的なシンガーとなるに違いない」
そう思わずにはいられなかった。
そして45年の歳月が過ぎた。
ビリー・ジョエルは筆者の予感通り、そのとおり唯一無二の歌い手になった。
彼の魅力が凝縮された、若き日の傑作。もう一度聴き返してみよう。
シンガーソングライター、ビリー・ジョエルの5枚目のスタジオ・アルバム。77年リリース。
45年も前に発表された大昔の作品ではあるが、いま聴き返してみても、実にみずみずしい出来栄えの良作である。
本作リリースまで日本においてはほぼ無名の存在だったジョエルを一躍スターの座にまで引き上げたのが、このアルバム、そしてシングル「ストレンジャー」の大ヒットである。
ギター・ロックが全盛な70年代後半、ピアノを前面に押し出した大人っぽいジャジーなサウンドは、若きロックファンたちに新鮮な衝撃を与えた。かくいう筆者(当時大学1年)もそのひとりだった。
普段はトッド・ラングレン、リック・デリンジャーといったゴリゴリのロックを聴いていた筆者も、一方ではモダン・ジャズも好んで聴いていたこともあって、すぐにジョエルの音に惹かれて、ハマる様になった。
そして、翌78年4月の中野サンプラザでの日本初公演には、いそいそと馳せ参じたという次第である。
ライブは実に見事な出来であった。これぞアメリカン・エンタテイナーという感じの、サービス精神溢れるステージ。バック・バンドもサックス奏者をはじめとして、巧者揃いであった。
ロックという枠にはまり切らない、ジャズ、フォーク、ブルース、ゴスペル、ラテンなど、オール・アメリカン・ミュージックともいうべき多様で豊穣な音楽性。
単に歌やピアノが上手いという以上のものがそこにあり、これは我々猿真似ばかりやっている民族にはとうてい到達出来ないものだなと確信した。
要するに「ホンモノ」なのだ。
アルバムは他にヒットした「素顔のままで」「シーズ・オールウェイズ・ア・ウーマン」のほか、「ムーヴィン・アウト」「イタリアン・レストランにて」「若死にするのは善人だけ」「ウィーン」「最初が肝心」など、いずれも親しみやすく美しいメロディの宝庫である。
「ストレンジャー」の前奏に典型的な、哀愁に満ちたメロディ、そしてジョエルの通りのいい高らかな歌声。
これにはわが国のリスナーもイチコロでやられてしまった、ということだな。
ラストの「エブリバディ・ハズ・ア・ドリーム」のゴスペルライクなサウンドは、いかにもすべてのアメリカンが抱く「明日への希望」を謳いあげていて、胸が熱くなるものがある。
「ああ、このひとはこれからもずっとアメリカの心を歌い続けて、国民的なシンガーとなるに違いない」
そう思わずにはいられなかった。
そして45年の歳月が過ぎた。
ビリー・ジョエルは筆者の予感通り、そのとおり唯一無二の歌い手になった。
彼の魅力が凝縮された、若き日の傑作。もう一度聴き返してみよう。
<独断評価>★★★★☆