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音曲日誌「一日一曲」#418 ロイ・オービスン「Ooby Dooby」(Sun)

2024-05-28 07:55:00 | Weblog
2024年5月28日(火)

#418 ロイ・オービスン「Ooby Dooby」(Sun)




ロイ・オービスン、1956年リリースのシングル・ヒット曲。ウェイド・ムーア、ディック・ペナー、サム・フィリップスの作品。フィリップスによるプロデュース。

ロイ・ケルトン・オービスンは1936年テキサス州ヴァーノン生まれ。6歳の誕生日に父からギターをプレゼントされて、弾き始める。カントリーやウェスタン・スイングを好んで聴き、10代の頃からロカビリーやカントリー&ウェスタンのバンドで歌うようになる。

学校の友人達と組んだウィンク・ウェスタンズがローカルテレビ局のコンテストで優勝、番組のレギュラー出演を勝ち取る。

ノース・テキサス州立大学に進学、同級のパット・ブーンがプロ歌手になったことに刺激され、プロを目指す。パーティでビル・ヘイリーのカバー曲を演奏してウケたことで、ロカビリー路線に転向する。

バディ・ホリーをマネジメントしたプロデューサー、ノーマン・ペティのもと、ウィンク・ウェスタンズのメンバーを一部入れ替えたティーン・キングスで56年3月に初レコーディング。それが、本日取り上げた一曲「Ooby Dooby」の、原型バージョンであった。

この曲は、大学の同級生、ウェイド・ムーア、ディック・ペナーが作ったロカビリー・ナンバー。ジュウェルレーベルよりリリースされた初のシングル「Tryin’ To Get You」のB面に収められた。

この曲については、オービスン本人が相当自信を持っており、もっと有名なレーベルから出せば必ずヒットすると考えていた。そこで、レコードの制作費をレーベルに返還して出版権を取得、新たなレーベルからリリース出来るようにしたという。

そして実現したのが、伝説的なサンレーベルでの再録音である。

オービスン達はメンフィスのサン・スタジオに赴き、サム・フィリップスと契約を結んだ。56年から58年までに20曲以上をレコーディングしている。

本曲のレコーディング・メンバーは、オービスンのほか、ギターのジョニー・ウィルスン、エレクトリック・マンドリンのジェイムズ・マロウ、ペースのジャック・ケネリー、ドラムスのビリー・パット・エリス。

サンにおけるファースト・シングとしてリリースされた「Ooby Dooby」は、オービスンの期待通り全米59位にチャート・イン、最終的には25万枚以上を売り上げるヒットとなったのである。

しかし、その後はヒットが続くことがなかった。それには、以下のような事情が絡んでいると言われる。

サンレーベルのオーナーであるフィリップスは、オービスンをエルヴィス・プレスリーの後釜にしようと考えていた。しかし、オービスン自身は本来はロカビリー路線よりは、バラード・シンガーを目指していたので、フィリップスの期待には応えられず、フィリップスの関心はオービスンからもっぱらカール・パーキンスに移ってしまい、オービスンのプロデュースに力を入れなくなってしまったという。

その後オービスンはサンを去り、ナッシュビルのモニュメントレーベルに移籍する。

60年に、ようやくそこで起死回生のヒットが出る。「Only The Lonely」である。全米2位、そして全英1位という輝かしい大ヒットを出したその後は、破竹の進撃が始まる。

「Blue Angel」「Running Scared」「Crying」「Dream Baby」といったトップテン・ヒットを連発し、オービスンは押しも押されもせぬスター・シンガーとなった。

容姿はいかにも地味だったが、その伸びやかな美声、翳りのある魅力的なメロディ・ラインで、彼は一世を風靡したのである。

その後も堅実な活動を続け、後半生にはトラヴェリング・ウィルベリーズへの参加で再び存在感を示して、1988年に52歳で亡くなった。死後の「Oh, Pretty Woman」のリバイバル・ヒットも、強く印象に残っている。

60年以降は順風満帆の音楽人生を送って来たように見えるオービスンだが、最初のヒット以降は鳴かず飛ばずであった。

「Ooby Dooby」は確かに売れるタイプの曲ではあったものの、ロイ・オービスン本来の資質とはまるで違った曲であったがため、その路線を続行するには無理があったということなのだろう。

のちの70年、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルがカバーして、この曲は蘇ったが、オービスンの曲としては異色の系統なのだ。

メリハリの効いたビート、アッパーなギター・ソロがなんともイカしているロカビリー・ナンバー。パーティ気分で聴いてほしい。




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