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音曲日誌「一日一曲」#48 パーシー・スレッジ「You're Pouring Water On A Drowning Man」(When a Man Loves a Woman)

2023-05-19 05:28:00 | Weblog
2008年8月31日(日)

#48 パーシー・スレッジ「You're Pouring Water On A Drowning Man」(When a Man Loves a Woman/Collectables)





今月最後の一曲はこれ。サザン・ソウルの大ヒット「男が女を愛する時」で知られるパーシー・スレッジのデビュー・アルバムより。

パーシー・スレッジは41年、アラバマ州レイトン生まれ。10代より音楽活動を始め、20代は昼間は病院の看護夫、夜はエスクワイアーズというローカル・グループのボーカリストという生活をしていた。

そんなパーシーにチャンスが舞い込んできたのが、66年。白人DJにしてプロデューサー、マッスル・ショールズ・スタジオの経営者でもあったクイン・アイヴィーの目にとまり、彼の肝煎りで初レコーディング、名門アトランティック・レコードからデビュー・アルバムを出すことになる。

これがデビュー盤にして見事大ヒット。タイトル・チューン「男が女を愛する時」は40年以上を経た現在でも歌い継がれる、ソウル・スタンダードとなった。

が、スタートが幸運過ぎたのか、その後はせいぜい中ヒット程度しか出せず、「男が女を愛する時」を越えるバラードを生み出すことは、出来なかった。

嗚呼、まさに典型的「一発屋」。ショウビズの世界は、きびすぃ~っ!

でも、こう考えてもいいんじゃないかな。たった一曲だけでも、世界中のソウル・ファンの記憶に残る名曲を残すことが出来たんだがら、御の字だと。

パーシー・スレッジの顔がどんな顔かロクにしらないリスナーは多いけど、あの悲痛なまでにソウルフルな歌声は、聴けば一発でわかる。これぞ、歌手冥利に尽きるというものでしょう。

実際、彼のデビュー・アルバムのジャケットには、彼の写真が使われておらず、白人女性モデルの写真が使われているから、パーシーの顔を知らないひとが多いのも、ムリはない。

で、そのお顔を拝するに、歌声と同様、かなり暑苦しい感じで、女性とかひきそうなタイプ。こりゃあ、イメージ写真を使って、正解だったかも(笑)。

それはともかく、彼のデビュー・アルバムは急ごしらえだったらしく、他人のカバーが多い(11曲中6曲)ものの、非常に出来はいい。パーシーのために作られた曲も、もちろん粒揃いで、仕掛人アイヴィーの腕前を感じさせる。

本日聴いていただく「You're Pouring Water On A Drowning Man」は、ベイカー=マコーミックのコンビによる作品。サム・クックをちょっと思い出させる、陽気なミディアム・テンポのナンバーだ。失恋の痛手をユーモアで包んだ歌詞を、パーシーならではの張りのある歌声で熱唱している。

「男が女を愛する時」は、その力みまくった歌いぶりといい、多分に演歌チックな出来だが(まあ、それゆえに日本でもヒットしたんだろうけど)、パーシーにも、もっと陽性な、カラッとした持ち味があることがわかる一曲だ。ぜひ聴いてみるべし。

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