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音曲日誌「一日一曲」#47 ミシシッピ・ジョン・ハート「Hot Time In The Old Town Tonight」(The Best Of Mississippi John Hurt/Aim)

2023-05-18 05:12:00 | Weblog
2008年8月24日(日)

#47 ミシシッピ・ジョン・ハート「Hot Time In The Old Town Tonight」(The Best Of Mississippi John Hurt/Aim)





ミシシッピ・ジョン・ハート、66年の録音。トラディショナル・ナンバー。

1893年、ミシシッピ州テオクに生まれたハートは、1928年に13曲のレコーディングを行っているが、それきりチャンスはなく、農業をはじめとする肉体労働で生計をたてていたという。

ところが63年、齢70才にして、おりからのトラディショナル・フォーク・ブームもあって、再度、片田舎で暮らしていた彼に脚光があたる。

史上最高齢ともいえる爺ちゃんシンガー、カムバック・デビューである。

3年後73才で亡くなるまで、65年のニューポート・フォーク・フェスティバルに出演したり、数枚のアルバムをレコーディングするなど、充実した晩年を過ごすことになる。

まさに、人生最後にして初めて訪れた、輝かしき日々といえますな。

ハートの歌や演奏は、ブルースのジャンルにとらわれることなく、バラード、スピリチュアル、フォーク、そして流行り歌と、さまざまなスタイルの音楽を包括していた。

ブルース・シンガー以前から存在していた、いわゆる「ソングスター」とよばれる、歌うたいだったのである。

そのギター・サウンドはあくまでも軽快なフィンギー・ピッキングによるものだし、歌いぶりも、鼻歌ふうで力みのまるでないスタイル。

でもこれが実にいい味を出しているんですわ。

たぶん、歌もギターも、若いころから特に変化することなく、ずっとあのホンワカした感じだったんだろうな。

きょう聴いていただく「Hot Time In The Old Town Tonight」は、田舎の小さな町の、週末のダンス・パーティを歌ったトラッド・ナンバー。

肉体労働者の唯一の娯楽ともいえる宴のさまを、例の和みと癒しにみちた声で素朴に歌いあげている。

そして、意外と力強くしっかりしているのが、彼のギター・プレイ。フィンガー・ピッキングを志すひとにとっては、格好のお手本となりそうな、リズミカルな演奏も聴きもの。70代にしてこのプレイとは、さすが昔とった杵柄ですな。

ハート翁の最晩年の置き土産。日頃、刺激の強い音楽に食傷気味のかたにはおすすめの、心安らぐハッピー・ミュージックであります。

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