2008年4月27日(日)
#31 ポール・マッカートニー「All Shook Up」(Run Devil Run/EMI)
ポール・マッカートニー、1999年のアルバム「Run Devil Run」より、エルヴィス・ナンバーを。
妻リンダの死後、ようやく失意から立ち直ったポールが、ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアとともに作った当アルバムは、昔のロックンロール・ナンバーのカバーを中心とした内容。中でも目玉はこのエルヴィスの大ヒット曲だ。
ビートルズは、エルヴィスのカバーを正面切ってやることはほとんどなく、あくまでも自分たちはエルヴィスとは違うタイプのロッカーであることを強調していたようだが、ビ-トルズとて、もちろんキング・エルヴィスの影響を受けていないわけがない。
特にコーラスでは中声域を担当することの多かったポールは、声質がなじむこともあってか、エルヴィスをけっこう意識していたようだ。
ギルモアの耳に突き刺さるようなギター・フレーズで始まるこの曲は、ピアノを含むシンプルなリズム・セクションとコーラスのみでレコーディングされているが、これが実にグッド・オールドなサウンドで◎。
とても21世紀を間近に控えたタイミングで録られたとは思えない音だけど、不思議と古臭くは感じない。まさに永遠不滅のロックンロール・サウンドなのだ。
ポールのはじけた歌いっぷりが、キングとはまたひと味違っていて、彼なりの「恋にしびれて」に仕上がっている。
チープ・トリック、ロッド・スチュアート、ビリー・ジョエル‥。いろいろな後進シンガーが名唱を残しているけど、ポールもキングへのリスペクトを込めて、見事なオマージュを完成させた。
キング・エルヴィスがこの世を去ってはや30年が過ぎてしまったが、彼のロックDNAは、さまざまなシンガーに引き継がれているのが、よくわかるね。
やはり、20世紀最大のソロ・シンガー、エルヴィスを越えられる者は、当分出てきそうにないってことです、ハイ。