2008年5月6日(火)
#32 ジョー・ボナマッサ「Had To Cry Today」(Had To Cry Today/Premier Artists)
ジョー・ボナマッサ、2004年のアルバム「Had To Cry Today」よりタイトル・チューンを。
ジョー・ボナマッサ、2004年のアルバム「Had To Cry Today」よりタイトル・チューンを。
77年、ニューヨーク州ユーティカ生まれ。「早熟の天才ギタリスト」とうたわれた人は数多くいるが(先日亡くなったジェフ・ヒーリーもその一人だった)、ジョーもまさにその代表選手。
なにせ8才でB・B・キングのオープニング・アクトをつとめたほどの早熟ぶり。10代なかばでベリー・オークリーの息子、マイルス・デイヴィスの息子らとブラッドラインなるバンドを結成して94年にメジャーデビュー。17才で既に完成の域に達したプレイで、世間を驚かせた。
2000年にアルバム「A New Day Yesterday」でソロ・デビュー、はや8年が経過している。
が、これだけのキャリアがありながら、まだ30そこそこという若さなのだ。
彼はジミ・ヘンドリクスに強い影響を受けながらも、オーソドックスなブルース・ギターもこなし、フレーズの端々にジャズ的なセンスもある。
汗臭さだけでなく、洗練も感じさせる彼の演奏を、ブルースとかロックとか、ひとつのジャンルで括ろうとするのは、ナンセンスというものだろう。
さて、今日お届けするのは、スティーヴィ・ウィンウッド作の「Had To Cry Today」。そう、幻のスーパー・グループ、ブラインド・フェイス時代のナンバーなのだ。
これが実にいい出来。もしかすると、オリジナルよりもいい出来かも、というぐらい。
何より、ギターが思いきりハードだ。おなじみのリフ、そして延々と展開されるソロ。テクがあるというだけでなく、実に気合いに満ちている。
原曲はどこか中途半端、未消化な演奏だったが、ジョーのカバー版は、メーターが振り切れたようなカッコよさに溢れている。また、そのベビー・フェイスに似つかわしくないコワモテな歌声もいい感じだ。
ブラインド・フェイスも、こういう熱い演奏をしていたら、そのデビュー盤も評価がだいぶん違っていたんだろうが、既にゴリゴリ弾きまくりのギターにあきていたクラプトンは、気の抜けたような演奏しか出来なかったのだろう。
一方、ジョー・ボナマッサ版はギター 、ボーカルだけでなく、リズム・セクションも彼と同じくらいエキサイティングだ。
というわけで、聴いてみるべし、入魂の一曲。きっと気に入ってもらえると思うよ。