NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#155 ブロッサム・ディアリー「ONCE UPON A SUMMERTIME」(VERVE POCJ-2082)

2022-04-18 05:09:00 | Weblog
2003年5月13日(火)

#155 ブロッサム・ディアリー「ONCE UPON A SUMMERTIME」(VERVE POCJ-2082)

シンガー/ピアニスト、ブロッサム・ディアリー、58年リリースのセカンド・アルバム。

ブロッサムといえば、そのなんともユニークでチャーミングな「カマトト・ボイス」がセールス・ポイントだろう。

一度聴いたら、絶対忘れられない、そんな声。筆者も長らく愛聴しているシンガーだ。

私事で恐縮だが、その昔、筆者がオカ惚れしていた女性がいて、そのひとがブロッサムそっくりの声をしていたのである。

しかも、性格も声同様、男を惑わすようなコケット、小悪魔タイプだった。

そんなこんなの理由で、ブロッサムの歌声にも自然とハマっていったのかもしれない(笑)。

<筆者の私的ベスト4>

4位「MANHATTAN」

ご存じ、ロジャーズ&ハートの代表曲。古くはリー・ワイリー、時代が下ってはエラ、ダイナ・ワシントン、メル・トーメ、トニー・ベネットなど、男女を問わず多くのシンガーによって歌われてきた極めつけのスタンダードだ。

ブロッサムはこれを、ピアノを弾きながらしっとりと歌う。

ブラシによるドラミングがなんとも粋な、コンボ演奏(オスカー・ピータースン・トリオのリズム隊、ギターのマンデル・ロウがサポート)。

ちょっぴりアンニュイ、でもなんとなく幸せな気分になれる一曲だ。

3位「TEACH ME TONIGHT」

サミー・カーン、ジーン・ディポールによる作品。こちらも、サラ・ヴォーン、ダイナ・ワシントン、ジョー・スタッフォード、バディ・グレコ、ジョー・ウィリアムズ等、女性シンガーを中心にカヴァーが多い。

「今夜教えて」とは実に意味深なタイトルだが、中身もやはり「夜の個人授業」ということであります。

しかも、ブロッサムのあの声で耳元で歌われた日には、たいていの男はメロメロになってしまうはず(笑)。

ちょっと「目の毒」ならぬ「耳の毒」な、きわどい一曲であります。

2位「DOOP-DOO-DE-DOOP(A DOODLIN' SONG)」

ベティ・ブープのような、彼女のキュートなお色気がもっとも生かされた一曲。サイ・コールマン、キャロリン・リーの作品。

意味不明のおかしな歌詞とスキャットで、聴く者をケムにまく。小悪魔ブロッサムの本領発揮である。

呪文めいたこの歌を聴けば、老若を問わず、どんな男性も恋の魔術にかけられてしまいそう。

1位「TEA FOR TWO」

いうまでもなく、80年近い寿命をほこるスタンダード中のスタンダード、「二人でお茶を」である。アーヴィング・シーザー、ヴィンセント・ユーマンスの作品。

ヴァースからゆったりとしたテンポで歌うブロッサム。ドリス・デイの「さわやか系」な歌もいいが、ミルキィな彼女の「不思議ちゃん系」な歌もまた悪くない。

まったく「生活臭」がなく、子供のおままごとのよう。彼女ならではの世界ですな。

ジャズ・ヴォーカルにもいろいろなスタイルがあるが、ここまでワン・アンド・オンリーな個性を持つひとはそういない。

ファニーで、しかも小粋。名前すら知らないよ、とおっしゃるかたも多いだろうが、一度は聴いてみてほしい。

バックの音もスウィンギーで、実にお洒落っぽいのがグーであります。

<独断評価>★★★★


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