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音曲日誌「一日一曲」#212 リトル・アル・トーマス「Somebody Changed The Lock On My Door」(South Side Story/Audio Quest)

2023-10-30 05:39:00 | Weblog
2012年4月15日(日)

#212 リトル・アル・トーマス「Somebody Changed The Lock On My Door」(South Side Story/Audio Quest Records)





シカゴの黒人ブルース・シンガー、リトル・アル・トーマスの初スタジオ・アルバム(2004)より。サニー・テリーの作品。

トーマスは1930年生まれだから、今年82才。

若いころから、シカゴのサウス・サイド、マックスウェル・ストリートでブルースを歌い続けてきたが、デビューの機会に恵まれず、2000年にスイスで録音したライブ盤「In The House」を出すまでは無名であったという、知る人ぞ知るベテラン・シンガーなのだ。

70過ぎてメジャーデビューの「新人」。オトナの音楽、ブルースならではの話であるな。

彼の場合、ギターなど楽器をまったく弾かない、いわゆるスタンダップ・ブルースマンなので、注目されにくい、非常に不利なポジションにいたといえる。

が、そんな状況をはねかえすように、アルバムデビューしてからのトーマスは、高齢にもかかわらず、より活発な音楽活動をおこなうようになっている。2010年にはセカンド・アルバム「Not My Warden」もリリースして、健在ぶりを示している。

youtubeでも、彼のライブ演奏を観ることが出来るので、ぜひチェックしてみてほしい。現在のバック・バンド、白人4人編成のThe Deep Down Foolsを従えての歌が、実にディープでカッコいい。



BUDDY GUY'S LEGENDSにおけるライブ演奏 "Sweet Little Sixteen"

見てのとおり、すっかり前歯も抜けたジイサンなれど、その歌声は力強く、粘っこく、説得力に満ちている。ハットとスーツでビシッとキメた姿、シビれるぜ。

さて、きょうの一曲は、先行のライブ盤でも演奏していたナンバー。サニー・テリー&ブラウニー・マギーのレパートリーなのだが、素朴な味わいの原曲とは全然雰囲気がちがう。ひたすらファンキーでノリのいい曲に変身しているのだ。まさにアレンジの妙。

彼はいつもこの曲をステージのハイライトに配していたという。いわばキメの一曲だ。観客が盛り上がった様子が、十分想像できるね。

ジェイムズ・コットンぽい、ちょいとラフだけど迫力満点なボーカル。このグッとくる感じこそが、ブルースだ。バックもギターをはじめ、ゴキゲンなプレイヤーぞろいで、演奏のレベルも高い。

2000年までの、ン十年の助走期間は伊達じゃない。真打ちは一番最後に登場するのだ。

82才の新鋭、リトル・アル・トーマス。死ぬまで歌い続けていくなんて、筆者の理想そのものだ。憧れるなぁ~。


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