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音盤日誌「一日一枚」#354 山本達彦「太陽がいっぱい」(東芝EMI WTP-90199)

2022-11-03 05:00:00 | Weblog

2007年4月8日(日)



#354 山本達彦「太陽がいっぱい」(東芝EMI WTP-90199)

山本達彦、82年のアルバム。田原春樹によるプロデュース。

「もうひとりのヤマタツ」こと山本達彦は、54年生まれ。成蹊大学在学中に、テレビのオーディション番組で優勝したバンド「オレンジ」でプロデビュー。

オレンジはムッシュことかまやつひろしのバックをつとめるなどしていたが、鳴かず飛ばずで解散。

その後、ソロ・シンガーとして78年、アルバム「突風」で日本フォノグラムよりデビュー。

東芝EMIに移籍、「Man+Woman=100%」をリリースしたあたりから人気が出始め、「My Marine Marilyn」(NOBODY作の「マリリン・マリリン」)で一気にメジャーな存在となった。

以来、現在に至るまで継続して活動しているから、実質的に30年選手。立派なベテランである。

最近では自身のヒットはなく、他人への楽曲提供が多いのだが、今でもライブ活動をしており、本人自身のブログで、その様子を知ることが出来る。

ヤマタツと呼ばれていたころは、某氏と同じニックネームであることに嫌悪感を抱いていたリスナーも、少なからずいた。筆者の会社の先輩のI氏もそのひとりで、聞いたところでは「こんなの歌じゃねぇ!」と、プロモーション用にもらったサンプル盤を叩き割ったとか。おーコワ。

そこまで嫌悪を抱くこともなかろうと思うが、たしかに歌唱力ではもうひとりのヤマタツ氏に明らかに劣っているのも事実であった。

ルックスだけのアイドルもどきのアーティスト、そういう見ていた人々も多かったのだろう。

たしかに、暁星学園→成蹊大卒、現首相の安倍晋三氏、ホイチョイ・プロダクションズの馬場康夫監督、小学館の相賀昌宏社長らと同級生の、いわゆるおボンボンな育ちに加えて、甘いルックス、デビュー当初のキャッチフレーズが「シティ・ポップスの貴公子」だったことなど見れば、同性から相当反感をかうのも無理からぬことか。

でも筆者的には、彼のメロディのセンスは悪くないと思っている。

たとえば、本盤オープニングの「太陽がいっぱい」。ラストの「九月のフォトグラフ」。いずれも自身のピアノ弾き語りによるバラードだが、イマイチな歌いぶりを除けば(!)なかなか素晴らしい曲である。

バックアップしているのが、NOBODY、井上鑑といった実力派たちなのも、ポイントが高い。

とくに、井上鑑のアレンジがめちゃカッコいい。「CATHERINE」「ラスト・グッバイ」のイントロとか、いま聴いても十分イケます。

NOBODYのふたりもいい仕事をしている。ヤマタツよりも彼らの方が目当てで、本盤を買ったというリスナーがいたはず。(実は筆者もそうだったりして(笑))。

「WELCOME TO MY PARTY」とか、実にイカしたロックン・ロールだぜ。

ヤマタツの声がいまひとつフィットしていないといううらみはあるが、この曲、本盤のベスト・トラックなんじゃないかと思う。

もちろん、NOBODY自身のバージョンもえらくカッコええから(アルバム「LIVE ONE」に収録)、お聴きのがしなきよう。

他にも、しっとりとしたラブ・バラード「LADY」(井上鑑アレンジ)もいい出来だ。

今剛、後藤次利、林立夫、浜口茂外也、ペッカー、ジェイク・コンセプション、数原晋、ラジ、とゲスト・ミュージシャンも超豪華。

彼らの手堅いプレイを聴くだけでもまあ、元はとれるんじゃないでしょうか。

ボーカルをじっくり聴くのはしんどい人だけど、BGM的に流して聴く、それならオッケーという気がします。

<独断評価>★★★


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