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音盤日誌「一日一枚」#100 エリック・クラプトン「TIMEPIECES VOL.II・ 'LIVE' IN THE SVENTIES」(Polydor 811 835-2)

2022-02-22 05:54:00 | Weblog

2002年4月21日(日)



エリック・クラプトン「TIMEPIECES VOL.II・ 'LIVE' IN THE SVENTIES」(Polydor 811 835-2)

1.TULSA TIME

2.KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR

3.IF I DON'T BE THERE BY MORNING

4.RAMBLING ON MY MIND

5.PRESENCE OF THE LORD

6.CAN'T FIND MY WAY HOME

7.SMILE

8.BLUES POWER

さて今日は、昨日聴いたクラプトンのベスト盤「TIME PIECES」の続編にあたる一枚。83年リリース。

副題通り、70年代の彼のライヴ録音を、既発表・未発表とりまぜて8曲収録してある。

前回同様、時代順に見ていくことにしよう。

まずは71年、デレク&ザ・ドミノス時代、フィルモア・イーストにおける録音。

セカンド・アルバム「LIVE AT THE FILLMORE」にも収録された(5)は、もちろんブラインド・フェイスのナンバーで、クラプトン自身のオリジナル。

ブラインド・フェイスのアルバムではスティーヴィ・ウィンウッドがもっぱら歌っていて、クラプトンに「出番」はなかったのだが、ここではその溜飲を下げるかのように、自ら熱唱している。

ゴスペルの雰囲気が濃厚に漂う荘重なナンバーを、思い入れをこめて歌うクラプトン。若干声が枯れぎみながら、説得力は十分ある。

74年に録音されたのは(6)と(7)。バック・バンドは「461~」でのメンバーにマーシー・レヴィが加わったラインナップ。

(6)はこれまたブラインド・フェイス時代の曲。ウィンウッドの作品。

イヴォンヌ・エリマンの力強い歌、そして、クラプトンの息のぴったり合ったバック・ヴォーカルが聴ける。

彼の歌声は、本家ウィンウッドに声域・声量ではもちろん劣るものの、「歌心」ではまさるとも劣らぬものを持っているなと感じる。

なお、過去のアルバムでは「E.C. WAS HERE」に収録されている。

(7)は珍しく、チャーリー・チャップリン主演映画の主題歌のカバー。後に彼は、非ロック、非ブルース路線を強めることとなり、昨年の来日ライヴで披露した「虹の彼方に」のようなスタンダードも歌うようになるが、その「兆し」を感じさせる一曲。

何となく頼りなげな歌いぶりではあるが、これはこれで微笑ましい。

なお、(7)はこのアルバムで初収録されたトラックである。

79年12月には、日本武道館公演を録音、「JUST ONE NIGHT」なる二枚組アルバムとしてリリース。

その公演からは、(1)、(2)、(3)、(4)、(8)の5曲を収録。

メンバーは「BACKLESS」までのバックを一新、英国人ミュージシャンで集められている。

リードギターは名手、アルバート・リー。これにクリス・ステイトン(kb)、デイヴ・マーキー(b)、ヘンリー・スピネッティ(ds)の、いずれ劣らぬ実力派が加わっている。

(1)はカントリー・シンガー、ドン・ウィリアムズの片腕、ギタリストであるダニー・フラワーズの作品。

アルバム「BACKLESS」に収録された、威勢のいいナンバー。クラプトンのスライド・プレイが生き生きとしていていい。

(2)は唯一、「JUST ONE NIGHT」には未収録だったレア・トラック。

クラプトンは原作者のボブ・ディランとも共演したこともあり、このディランから拝領したナンバーは、80年代以降のクラプトンの路線を、ある意味で決定したような気がするが、いかがであろうか。

ことに「ワンダフル・トゥナイト」「チェンジ・ザ・ワールド」のようなバラードに、その影響が強く感じられるように思う。

(3)はこれもディラン(およびヘレナ・スプリングス)による、書き下ろしの作品。「BACKLESS」に収められている。

歌うは、クラプトンとアルバート・リー。ギターソロもリーがとる。

このカントリー風のプレイがまた、実に巧いのだ。ヘタすると主役を食っちゃってるかなというくらい(笑)。

たしかにクラプトンに比べると、音数が多く、華麗なことこの上ないギター。で、クラプトンのギターを期待してやって来た客は肩すかしをくらうことになる。

でも、あえてソロをバックに譲るクラプトンの姿勢に、ヴォーカルに全力投球しようという「意気込み」のようなものを感じるのである。

(4)はブルースブレイカーズ時代から、少しずつアレンジを変えながら演奏し続けている、定番中の定番曲。もちろん、ロバート・ジョンスンの作品だ。

ここでは「E.C. WAS HERE」ヴァージョンより少しだけテンポを上げて演奏。おなじみの連続転調がカッコよろしい。

いかにもストラト(もち、ブラッキーでしょうな)といった感じのソリッドな音が、聴きものである。

9分近い長尺なれど、「HAVE YOU EVER LOVED A WOMAN」を折り込むなど、スリリングな展開で聴くものを飽きさせないのは、さすが!の一言。

(8)は、アルバム「ERIC CLAPTON」に収録されていた、レオン・ラッセルとの共作によるナンバー。

こちらも、長らくステージでの定番となっていた曲で、観客のウケもサイコーだったとか。

ここでのリーはピアノを担当。ファンキーなビートを従えて、縦横無尽にプレイされるクラプトンのワウ・ギターが貫禄を感じさせる。

さて、以上の選曲、いろいろ反論はあるかと思う。

筆者的には、「JUST ONE NIGHT」からよりは「E.C. WAS HERE」からもう少し入れたほうがいいんでないの~?という思いは強い。

特に、「FURTHER ON UP THE ROAD」はハズして欲しくなかったなぁ…。

などなど、セレクションにはいささかイチャモンをつけたくなるが、まあ、コンピ盤にそういう不満はつきもの。

結局、自分自身で作るのが一番というわけだが、このアルバム、未発表の2曲、ことに(2)だけを聴くために買っても損はないと思う。

ぜひ、名曲「天国の扉」ライヴ・ヴァージョンを、あなたのECライヴ・コンピレーションに加えていただきたい。

<独断評価>★★★★



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