NEST OF BLUESMANIA

ミュージシャンMACが書く音楽ブログ「NEST OF BLUESMANIA」です。

音盤日誌「一日一枚」#101 V.A.「NIGHT OF THE GUITAR (LIVE!)」(ビクター音楽産業 VDP-1468)

2022-02-23 05:05:00 | Weblog

2002年4月28日(日)



V.A.「NIGHT OF THE GUITAR (LIVE!)」(ビクター音楽産業 VDP-1468)

1.DR.BROWN I PRESUME(PETE HAYCOCK)

2.THE IDLER(STEVE HUNTER)

3.LUCIENNE(PETE HAYCOCK)

4.GROOVE THING(RANDY CALIFORNIA)

5.HEY JOE(RANDY CALIFORNIA)

6.LOVE ME TWO TIMES(ROBBY KRIEGER)

7.THE KING WILL COME(WISHBONE ASH)

8.THEME FROM AN IMAGINARY WESTERN(LESLIE WEST)

9.NEVER IN MY LIFE(LESLIE WEST)

10.CLAP MEDLEY(STEVE HOWE)

11.WURM(STEVE HOWE)

12.NO LIMIT(ALVIN LEE)

13.AIN'T NOTHIN' SHAKIN'(ALVIN LEE)

14.ALL ALONG THW WATCHTOWER(ALL ARTISTS)

今日の一枚はライヴもの。89年録音、翌年リリース。マーティン・ターナーによるプロデュース。

以前、ウィッシュボーン・アッシュの「NOUVEAU CALLS」や、オムニバス盤「GUITAR SPEAK III」を取上げたが、これもそれらと同様、IRSレーベルの総帥、マイルス・コープランドの企画によるもの。

ざっとラインナップを見ていただければおわかりいただけると思うが、70年代以降英米ロックの第一線で活躍しているギタリスト全員集合!という感じの、ギターヲタクには感涙モノのライヴ盤なのだ。

1988年11月20日から26日までに、全英7か所で公演した模様からピックアップ。

トップ・バッターのピート・ヘイコックといえば、「誰、それ?」といわれそうだが、クライマックス・シカゴのギタリストといえばピンと来るのでは?

かつてはブルース色の濃かったピートのプレイだが、オリジナルのインスト、(1)はアップテンポで、かなりフュージョンしている。

さえわたる華麗なピッキング。どこか、日本の高中正義に通じるところのあるサウンドだ。

続くスティーヴ・ハンターは、アメリカ人ギタリスト。アリス・クーパーにも在籍していたことのあるハードロッカーだ。現在はソロで活動している。

ピートのサポートを得て演奏するオリジナル・インスト・ナンバー、(2)は重厚なビートのロック。

鋭角的でブルージーな「泣き」のギターがなかなかよろしゅおます。

(3)では再びピート・ヘイコックがリードをとり、スティーヴはバックにまわる。

レゲエ・ビートでホンワカとした雰囲気のオリジナル。ピートのレイジーでのびやかなフレーズもまた佳き哉。

(4)をひっさげ登場するのは、ランディ・カリフォルニア。通好みの息の長いロック・バンド「スピリット」(このグループ名をご存じのあなたは、相当年季の入ったロックマニアのはず)のリーダー。

彼はアメリカ出身だが、結構イギリスでのウケがよいようだ。スティーヴと共演したこのオリジナル曲では、エフェクトをビシバシと使ったトリッキーでワイルドなギター・プレイのほか、達者なヴォーカルも聴かせてくれる。

ランディでもう一曲。おなじみのジミヘン・ナンバー、(5)を。

この選曲、実はランディが生前のジミヘンと、一時同じバンドでプレイしていたことによるとか。

亡きジミに捧げる、エコーを多用したエフェクティヴなギター・プレイがまことに見事。

お次はロビー・クリーガーによる、(6)。もちろん、あの伝説的グループ「ドアーズ」のギタリスト。

ドアーズ解散後も地道に音楽活動を続け、現在に至っている。

ここではスティーヴをバックに加え、ドアーズ時代の曲を演奏。自らリード・ヴォーカルもとっている。

ブルース・オリエンテッドなギタリスト達とはひと味違う、宙を舞うようなフリー・フォームのギターが、なかなか個性的。

さて、このIRSレーベルの企画において欠かせないのが、代表曲(7)で登場するウィッシュボーン・アッシュだ。

なにせ彼らは、IRSのギター・インスト企画の第一号アーティスト。

名盤「アーガス」、「ライヴ・デイト」などで何度もレコーディングしてきたナンバーを、若干速めのテンポで熱演。

オリジナル・メンバー、アンディ・パウエル、テッド・ターナーのスペーシーなギター・プレイはもちろん健在。さすがトップ・バンドの風格だ。

またまた懐かしさに涙チョチョ切れなのが、レスリー・ウェスト。

いうまでもなく、英米混成のハードロック・バンド「マウンテン」のギタリストだった「巨漢」。

でも現在では、糖尿病を患い、別人のようにガリガリに痩せてしまったが。

まずはマウンテン時代の代表的ヒット(8)を演奏。歌ももちろん披露。

音のほうはといえば、変わりないファットなサウンドを聴かせてくれる。

一聴して彼と判る、派手なディストーション・ギターが実にカッチョよろしい。

続く(9)も、マウンテン時代のナンバー。イントロでは「SLEEPWALK」という有名なインスト曲をうまく交えつつ、これまたヘヴィーに決めてくれる。

(10)では、イエスの看板ギタリスト、スティーヴ・ハウも登場。

イエス以外にもさまざまなグループで八面六臂の活躍を続けている。GTRもそのひとつで、(10)はそのレパートリー。

おなじみの、彼ならではの繊細かつブライトな響きが印象的なインスト。

続く(11)ではハウとヘイコックの共演により、イエスの3rd「イエス・アルバム」からの一曲を。

メランコリックなリフの執拗な繰り返しにより、聴衆をスティーヴ・ハウ・ワールドへとグイグイ引き込んでいく。いやー、圧巻です。

ステージもいよいよ佳境というところで登場するのが、アルヴィン・リー。

元祖速弾きギタリストの誉れ高い彼も、今やベテラン中のベテラン。

テン・イヤーズ・アフターを再結成する一方、ソロでも活動を続けるなど、常に話題にはこと欠かないひとだ。

まずは、「GUITAR SPEAK」シリーズで発表したオリジナル、(12)を演奏。

得意技の、スキャット+ギターによるダブル攻撃なども折り込みつつ、相変わらずの超高速フレーズを連発。

彼の出現後、多くの速弾きギタリストが登場したが、やはり「ご本家」の存在感はスゴい。

もう、ウマイとかヘタとかそういうレベルを超越した「カンロク」ですな。

二曲目の(13)は、TYA時代によく演奏していたR&Bナンバー。

もちろん、派手な泣きのギターが全開。とにかく、このひとのプレイは「やるならとことん」が身上。

われわれの世代はかつて、映画「ウッドストック」での彼のプレイに度肝を抜かれたものだが、超ベテランになってなお、アルヴィンのショーマンシップはいよいよお盛んのようだ。

このライヴはビデオでも発売されているようだから、ぜひそちらもチェックしてみたいもんだ。

さて、いよいよラスト・ナンバー。これまでの出演者が一同に会しての、豪華セッション。演奏するは、ボブ・ディラン作の(14)。

ランディが歌い、ロビー、スティーヴ・ハウ、アンディがソロをとる。息もぴったり、ど迫力のプレイの連続に涙、涙、涙。

やっぱり、ギターこそはロック也、と痛感した一枚。

そのプレイにはさまざまなスタイルがあるが、最後はやはり「ロック魂(スピリット)」という一点で、すべては集約されるのだなあと感じた次第。

チェックして、絶対ソンはないと思うよ。

<独断評価>★★★☆



最新の画像もっと見る