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音盤日誌「一日一枚」#99 エリック・クラプトン「TIMEPIECES」(Polydor 800 014-2)

2022-02-21 05:13:00 | Weblog

2002年4月20日(土)



エリック・クラプトン「TIMEPIECES」(Polydor 800 014-2)

1.I SHOT THE SHERIFF

2.AFTER MIDNIGHT

3.KNOCKIN' ON HEAVEN'S DOOR

4.WONDERFUL TONIGHT

5.LAYLA

6.COCAINE

7.LAY DOWN SALLY

8.WILLIE AND THE HAND JIVE

9.PROMISES

10.SWING LOW, SWEET CHARIOT

11.LET IT GROW

本HPの掲示板でもなにかと話題になることの多い、エリック・クラプトン。今日はそんな彼の、何種類も出ているベスト盤のうちのひとつ。82年リリース。

70年発表のファースト・ソロ・アルバム「ERIC CLAPTON」から、78年の「BACKLESS」にいたるまでの、70年代のECの軌跡がたどれる一枚だ。

「ERIC CLAPTON」からは、(2)の1曲。ごぞんじ、名シンガー・ソングライター、J・J・ケールの作品。ノリのいいアップテンポのナンバー。

同じく70年に結成したデレク&ザ・ドミノスのファーストにして、ロック史上不朽の名盤の誉れ高い「LAYLA AND OTHER ASSORTED LOVE SONGS」からは、もちろんタイトル曲の(5)。

これは後にも何度かリヴァイヴァル・ヒットしたという、きわめつけのロック・スタンダード。

クラプトンの激情ほとばしるようなヴォーカルが、出色のできだ。

しばらくドラッグ漬けとなり、実質引退状態だった彼が、ようやく復帰した74年のアルバム「461 OCEAN BOULEVARD」からは、大ヒット曲(1)、カバーものの(8)、そしてオリジナルの(11)、計3曲。

(1)はボブ・マーレィ&ザ・ウェイラーズがオリジナル。レゲェというジャマイカ音楽を、一躍世界中にひろめる契機となった1曲だ。

(8)はジョニー・オーティスの作品。クラプトンはこれをモダンなビートで見事、70年代によみがえらせた。

(11)は、クラプトンがアメリカ音楽に開眼、次第にアコースティックな傾向を強めるようになったのがよくわかる作品。

「461~」以降、彼は再びコンスタントにアルバムを発表するようになる。「THERE'S ONE IN EVERY CROWD(安息の地を求めて)」は75年の作品。

商業的にはあまり成功したとはいえない一枚だが、隠れた名演もいくつか含んでおり、本アルバム収録の(10)はその代表。

トラディショナルな黒人霊歌、つまりゴスペルをレゲェ・ビートでリニューアルした、クラプトンならではのアイデアが光る。

イヴォンヌ・エリマン、マーシー・レヴィというふたりの強力な女声コーラスを従え、心にしみる名曲に仕上がった。

同年には、ボブ・ディランの名曲をカバーしたシングルもリリース。(3)である。

このベスト盤で初めてアルバムに収録。シングル盤による入手が困難となった現在、このアルバムでチェックする価値は十分あるだろう。

その年にはライヴの名盤「E.C. WAS HERE」、翌76年には「NO REASON TO CRY」もリリースしているが、そのへんは飛ばして、77年リリースのヒット・アルバム「SLOW HAND」へ。

そこからは(4)、(6)、(7)の三大ヒットを収録。道理で売れたわけだな(笑)。

(4)はオリジナルのバラードで、彼のベスト・ヒットのひとつ。ウェディング・ソングとしての人気も絶大だ。

こういう非ブルース的な歌のヒットにより、彼のネームは世界的なものとなった。

(6)は(2)同様、J・J・ケールの作品。他人のいい曲を探し出してきてカバー、しっかり自分の十八番にしてしまうあたりが、クラプトンの商売上手なところ。

(7)はそのケールの影響のもとに書かれた作品。マーシー・レヴィ、ギターのジョージ・テリーとの共作。

いわゆる「レイドバック」した、カントリー風サウンド、そして枯れたギタープレイが印象的。従来のようにバリバリ弾きまくるのではなく、「味わい」で勝負するギタリストに脱皮したといえる。

78年には「BACKLESS」を発表。前作ほどの精彩は感じられないアルバムだったが、ここからは(9)を収録。

(7)の延長線上にある、カントリー・サウンド。クラプトンがドブロ・ギターを弾いているのが聴きものだ。

以上、7枚のアルバムからの11曲。まだまだほかにいい曲あったんじゃないの!?というツッコミは十分入れられるだろう。

あるいは、逆に「これはいらないんじゃないの?」というご意見もいろいろ出そうだな。

が、まあ、「理想のコンピ盤」はクラプトン・ファンの皆さんひとりひとりに作っていただくことにして、これだけの多彩なヒット曲群を長年にわたって生み出してきた、クラプトンの才能を素直に賛美しようではないの。

ただ、ギターが上手いというだけでは、ここまで数多くの曲をヒットさせることは絶対ムリ。

ヘタウマとか何とかいわれようが、彼の歌にはえもいわれぬ「味」があり、人々の心を捉えて離さない「サムシング」がある。

70年代、それは彼のヴォーカル、演奏にもっとも脂がのっていた時期。

ぜひもう一度彼のアルバムを引っぱり出して聴き、あなた自身のベスト・セレクションを作ってみてはいかがでしょう?

<独断評価>★★★★☆


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