2006年2月19日(日)
#307 V.A.「SUMMER BREEZE」(トリオ/SHOW BOAT 3B-20003)
(1)初夏の香り(久保田麻琴と夕焼け楽団) (2)ISLAND GIRL(かまやつひろし) (3)DOMINICA HOLIDAY(西岡恭蔵) (4)ハイサイおじさん(喜納昌吉) (5)ここでひとやすみ(南佳孝) (6)SUMMER GIRL(かまやつひろし) (7)ムーンライト・フラ(久保田麻琴&夕焼け楽団) (8)MOONLIGHT OCEAN(小坂忠) (9)ALL OF ME(憂歌団) (10)星くず(久保田麻琴&夕焼け楽団) (11)フライングソーサー(小坂忠) (12)GOOD NIGHT(西岡恭蔵)
皆さんは「SHOW BOAT(ショーボート)」というレコード・レーベルを覚えておいでだろうか。オーディオ・メーカーのトリオ(現・ケンウッド)が持っていたレーベルだ。現在ではSKY STATIONという会社が原盤権を持っており、過去の音源の一部をCD化している。
このショーボート・レーベル、小レーベルながら日本のポップス史上、非常に重要なアーティストを何組も輩出しているのだ。
たとえば久保田麻琴と夕焼け楽団(サンセット・ギャング)。たとえば南佳孝。そして憂歌団。
いずれも、ひとくせもふたくせもある連中ばかり。一般ウケはあまりしないが、好きなひとは猛烈に好きという、超個性派の集団だ。
他にも、ムッシュことかまやつひろし、 荒木一郎といったベテラン組、友部正人、三上寛、小坂忠、西岡恭蔵といったフォーク系のシンガーもいれば、吉田美奈子なんてひともいる。実に多士済々なのだ。
到底、ひとつのカラーでは括りきれないんだが、不思議とコンピレーションで聴いても違和感がない。そこが面白いところであるね。
なんていうのか、共通項は今流行りの言葉でいえば、「ロハス」な音楽をやっているというところかな。
83年にリリースされた本盤は、タイトルが示唆するように「夏」がテーマ。夏の息吹きを感じさせるトラックを12曲、つめこんである。
筆者的に「懐かしい!」と思うのは、まずはムッシュの「SUMMER GIRL」かな。「オレンジ」改め「FLAT OUT」というバンドがバックをつとめている。このバンドにはタケことギターの横内健享や、のちにソロデビューする山本達彦(KB)もいた。
南佳孝の「ここでひとやすみ」もいいねえ。ティン・パン・アレイのメンバーや矢野誠(アッコちゃんの最初の旦那ね)らと、リラックスしたセッションを繰り広げている。南サンの声が実に「若い」んだよなあ。この曲の入った「摩天楼のヒロイン」って名盤だと思うよ。
久保田麻琴さんも、実は個人的にけっこう影響を受けたひとだ。筆者が高校生のころ、彼を意識してステージネームを「麻琴」にしてみたことがあったくらい(笑)。
彼の新しいサウンドを探すアンテナは、ホントに敏感だよね。ケイジャン・ミュージックというか、セカンド・ラインみたいな音楽は、まず彼を経由して知ったような記憶がある。「初夏の香り」や「ムーンライト・フラ」を収めた「ハワイチャンプルー」、今でもスゴいアルバムだと思う。
もちろん、憂歌団も、初めて聴いたときはすごいショックを感じたもんだ。このコンピには残念ながら一曲しか入ってないけど、憂歌団の全盛期はショーボート時代、こう断言して間違いないと思う。
これだけいいアーティストを多数擁し、いいアルバムを沢山産み出したということは、ショーボートに、音楽を真に愛し理解していた素晴らしいスタッフが多数いたからなのだろうけど、彼らはいまはどこでどういうふうに音楽に関わっているのだろうか。とても気になることではある。
いずれにせよ、セールスとか、大衆ウケとはちょっと異なった視点で、グッド・ミュージックを作り続けたレーベルが、ショーボート。こういう姿勢を、同好の者のひとりとして、見習っていきたいと思っている。
最後に、現在のショーボートのサイトを紹介しておきますので、皆さんもぜひチェックしてみてください。
<独断評価>★★★☆