2023年2月6日(月)
#446 LEE MORGAN「カリスマ」(東芝EMI/Blue Note TOCJ-6496)
米国のジャズ・トランペッター、リー・モーガンのスタジオ・アルバム。66年録音、69年リリース。フランシス・ウルフによるプロデュース。
リー・モーガンは38年フィラデルフィア生まれ。50年代半ば、つまり10代の頃よりトップ・トランペッターとして活躍したが、72年にわずか33歳の若さでこの世を去っている。
早世の天才モーガンを象徴するようなタイトルの本盤は、彼が残した作品の中でも極めて高い評価を得ている名アルバムだ。
オープニングの「ヘイ・チコ」はモーガンの作品。ラテン・ビートのブルース・ナンバー。
パーソネルは、モーガンのほかにアルトサックスのジャッキー・マクリーン、テナーサックスのハンク・モブレー、ピアノのシダー・ウォルトン、ベースのポール・チェンバース、ドラムスのビリー・ヒギンズと、ブルーノート、あるいは米ジャズ界を代表するような面々が勢揃いである。
2コーラスのテーマ演奏に続いて、マクリーンがソロを取る。
次いでモーガン、モブレー、ウォルトンとソロが続き、テーマに戻り、マクリーンのソロでフェイドアウト。
一切の淀みのない展開、まさに職人技のきわみである。
「サムシン・キュート」はアップ・テンポのスウィング・ナンバー。これもモーガンの作品。
まずはテーマ合奏、そしてモーガンのスピーディなソロ、続いてマクリーン、モブレーのブロー。
ウォルトンの飛び跳ねるようなソロを経て、テーマに戻って終了。あっという間の5分半である。
「レイニー・ナイト」はウォルトンの作品。ゆったりとしたテンポのボサノヴァ調バラード。メロディが実に美しい。
モーガンがテーマを吹き、他のメンバーがバッキング。
ひとしきりモーガンのソロを聴いた後は、ウォルトンの流れるようなソロが続き、テーマに戻って緩やかに終わる。
タイトル通りのしっとりとした雰囲気で、とても心の落ち着く一曲だ。
LPではB面トップの「スイート・ハニー・ビー」は、ピアニスト、デューク・ピアスンの作品。
ピアスンは60年代ブルーノートのハード・バップにおいて重要な役割を果たしたコンポーザー、プロデューサーでもあった。この曲も当盤のために書かれたもののようだ。
跳ねるファンキーなリズムが特徴的なナンバー。ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルヴァーとも共通するビートだ。
ホーンによるテーマ、モーガン、モブレー、マクリーン、ウォルトンとソロが続く。
とりわけ、うねるようなウォルトンのソロが印象的だ。
テーマに戻って、モーガンのブローでフェイドアウト。
ソロこそないもの、力強いビートを生み出すリズム隊にも注目だ。
ベースのチェンバースはその後、当盤がリリースされる年の初頭に亡くなっている。
彼も名手の名を欲しいままにしたベーシストだが、モーガン同様、33歳でこの世を去ったのである。
天才ほど、夭折しなくてはならないものなのだろうか。残念である。
「ザ・マーフィー・マン」は再びモーガンの作品。アップ・テンポのフォービート・ナンバー。
一糸乱れぬ三管アンサンブルによるテーマの後は、マクリーン、モーガン、モブレー、ウォルトン、チェンバースのソロが続く。
テーマ演奏に戻り、モーガンのソロでフェイドアウト。
チェンバースのベース・ソロが一曲だけでも聴けたのが、なんとも嬉しい。
ラストの「ザ・ダブル・アップ」もモーガンの作品。ミディアム・テンポのブルース・ナンバー。
ウォルトンのグルーヴィなソロに導かれるようにテーマが奏でられ、モーガン、モブレー、マクリーン、ウォルトンのソロが続く。
終盤の、テーマとピアノの掛け合いがなかなかイカしている。
天才リー・モーガンの張りと輝きに満ちたトーン、縦横無尽なアドリブが堪能出来るだけではない、各パートのトップ・プレイヤーたちのハイ・レベルな演奏もたっぷりと楽しめる一枚。
ジャズを愛好するひとなら、聴かない手はないです、ハイ。
<独断評価>★★★★
米国のジャズ・トランペッター、リー・モーガンのスタジオ・アルバム。66年録音、69年リリース。フランシス・ウルフによるプロデュース。
リー・モーガンは38年フィラデルフィア生まれ。50年代半ば、つまり10代の頃よりトップ・トランペッターとして活躍したが、72年にわずか33歳の若さでこの世を去っている。
早世の天才モーガンを象徴するようなタイトルの本盤は、彼が残した作品の中でも極めて高い評価を得ている名アルバムだ。
オープニングの「ヘイ・チコ」はモーガンの作品。ラテン・ビートのブルース・ナンバー。
パーソネルは、モーガンのほかにアルトサックスのジャッキー・マクリーン、テナーサックスのハンク・モブレー、ピアノのシダー・ウォルトン、ベースのポール・チェンバース、ドラムスのビリー・ヒギンズと、ブルーノート、あるいは米ジャズ界を代表するような面々が勢揃いである。
2コーラスのテーマ演奏に続いて、マクリーンがソロを取る。
次いでモーガン、モブレー、ウォルトンとソロが続き、テーマに戻り、マクリーンのソロでフェイドアウト。
一切の淀みのない展開、まさに職人技のきわみである。
「サムシン・キュート」はアップ・テンポのスウィング・ナンバー。これもモーガンの作品。
まずはテーマ合奏、そしてモーガンのスピーディなソロ、続いてマクリーン、モブレーのブロー。
ウォルトンの飛び跳ねるようなソロを経て、テーマに戻って終了。あっという間の5分半である。
「レイニー・ナイト」はウォルトンの作品。ゆったりとしたテンポのボサノヴァ調バラード。メロディが実に美しい。
モーガンがテーマを吹き、他のメンバーがバッキング。
ひとしきりモーガンのソロを聴いた後は、ウォルトンの流れるようなソロが続き、テーマに戻って緩やかに終わる。
タイトル通りのしっとりとした雰囲気で、とても心の落ち着く一曲だ。
LPではB面トップの「スイート・ハニー・ビー」は、ピアニスト、デューク・ピアスンの作品。
ピアスンは60年代ブルーノートのハード・バップにおいて重要な役割を果たしたコンポーザー、プロデューサーでもあった。この曲も当盤のために書かれたもののようだ。
跳ねるファンキーなリズムが特徴的なナンバー。ジャズ・メッセンジャーズやホレス・シルヴァーとも共通するビートだ。
ホーンによるテーマ、モーガン、モブレー、マクリーン、ウォルトンとソロが続く。
とりわけ、うねるようなウォルトンのソロが印象的だ。
テーマに戻って、モーガンのブローでフェイドアウト。
ソロこそないもの、力強いビートを生み出すリズム隊にも注目だ。
ベースのチェンバースはその後、当盤がリリースされる年の初頭に亡くなっている。
彼も名手の名を欲しいままにしたベーシストだが、モーガン同様、33歳でこの世を去ったのである。
天才ほど、夭折しなくてはならないものなのだろうか。残念である。
「ザ・マーフィー・マン」は再びモーガンの作品。アップ・テンポのフォービート・ナンバー。
一糸乱れぬ三管アンサンブルによるテーマの後は、マクリーン、モーガン、モブレー、ウォルトン、チェンバースのソロが続く。
テーマ演奏に戻り、モーガンのソロでフェイドアウト。
チェンバースのベース・ソロが一曲だけでも聴けたのが、なんとも嬉しい。
ラストの「ザ・ダブル・アップ」もモーガンの作品。ミディアム・テンポのブルース・ナンバー。
ウォルトンのグルーヴィなソロに導かれるようにテーマが奏でられ、モーガン、モブレー、マクリーン、ウォルトンのソロが続く。
終盤の、テーマとピアノの掛け合いがなかなかイカしている。
天才リー・モーガンの張りと輝きに満ちたトーン、縦横無尽なアドリブが堪能出来るだけではない、各パートのトップ・プレイヤーたちのハイ・レベルな演奏もたっぷりと楽しめる一枚。
ジャズを愛好するひとなら、聴かない手はないです、ハイ。
<独断評価>★★★★