NEST OF BLUESMANIA

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音盤日誌「一日一枚」#358 アルバート・キング「BORN UNDER A BAD SIGN」(Sfax SCD24 723-2)

2022-11-07 05:00:00 | Weblog
2000年11月某日


#358 アルバート・キング「BORN UNDER A BAD SIGN」(Stax SCD24 723-2)

ブルースとよばれるジャンルのレコードやCD、これまでいったい何点がリリースされてきたことだろう。

そのすべてを購入し、聴くことなど、当然不可能である。

いやいや、たったひとりのアーティストに絞ってみたところで、その全てを収集することさえ、容易ではない。

まさに、亡羊の嘆き、である。

さて、このHP「NEST OF BLUESMANIA」では開設以来約半月、いわゆる「三大キング」については、まったく触れずにきていた。

理由はごくシンプルである。

いずれもあまりにビッグな存在であり、発表されている音源が多すぎて、重要作だけでもハンパな数ではない。

いってみれば、各人をテーマにしただけでひとつの研究書、ひとつのHPが出来てしまうくらいである。

どれか一作を適当にピックアップして、気軽に紹介できるような対象ではない、そういうことである。

しかし、だからといって彼らにまったく触れずしてブルースを語るわけにはいかない。

そこでまずは、個人的には三人中一番気に入っているアルバートを取り上げてみたい。

彼のアルバムも、編集ものを含めれば40枚をゆうに越えている。

だが、その中から誰もが納得行くベストな1枚をとなると、結局この「BORN UNDER A BAD SIGN」ではないだろうか。

1966~67年の録音。彼の出世作ともいうべきタイトルチューンをトップに、11曲が収められているオリジナル・アルバム。

バックをつとめるのは、No.1インスト・グループ、ブッカ―・T&MG'S。ホーンはこれまた一流の、メンフィス・ホーン。

だから、出来の悪いわけがない。

MG'Sのツボを押さえたシンプルなアレンジをバックに、アルバートのシブーい歌と、トレードマークの泣きのギターが全開である。

彼のギター・ワークは金太郎飴、といってしまえばそれまでなのだが、ハマると実にくせになるヤクのような魅力がある。

一聴して彼の音とすぐわかる、ナチュラル・ディストーション。クォーター・トーン使いまくりのベンディング・プレイ。

もう、たまりません。

タイトル曲、邦題「悪い星の下に生まれて」や「CROSSCUT SAW」のサウンドは一世を風靡、クリームも「ストレンジ・ブルー」などでまんまパクったのは、有名な話である。

そのほか「OH,PRETTY WOMAN」「AS THE YEARS GO PASSING BY」、いずれもベリーグッドな出来ばえ。ファンキーなブルースが炸裂!である。

リーバー=ストーラー・コンビの名曲「KANSAS CITY」、ZEPが「HOW MANY MORE TIMES」でパクった「THE HUNTER」のオリジナルも収められていて、これまた聴きもの。

ラストになぜか、レイ・ノーブル作のスタンダード「THE VERY THOUGHT OF YOU」まで歌っていて、アレレという感じはあるが、これはシャレということで、笑って見逃していただきたい。

この一作でアルバートは、ソウル時代のブルースの、文字通り「王座」についた。

彼が他界してはや8年以上が過ぎたが、いまだに彼をリスペクトするミュージシャンは数多い。

まだまだ、このアルバムが忘れ去られる心配はなさそうだ。なんとも、「強運」の一枚ではある。

<独断評価>★★★★☆

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