#269 アナ・ポポビッチ「Can You Stand The Heat」(Can You Stand The Heat/Artistexclusive Records)
今週は現在、もっともイキのいいブルース・ウーマンとよばれている女性シンガー/ギタリストを紹介しよう。76年生まれ、今年37才のアナ・ポポビッチである。
名前でわかるように東欧系で、旧ユーゴスラビア、現在はセルビア共和国の首都ベオグラード生まれ。父親がミュージシャンで、家に友人を招いてジャムセッションをよくやっていたこともあり、幼少からブルース系の音楽になじみ、自然とギターを弾き始めていたという。
19才の頃、自身のバンドHushを結成、ジュニア・ウェルズの渡欧ツアーの前座をつとめたことも。99年にアルバム・デビュー。ドイツやオランダでライブ活動を行ううちに、バーナード・アリスン(ルーサーの息子)と知り合い、彼のつてでRufと契約、アメリカ進出を果たす。その後も順調にアルバム・リリースを続け、2011年の「Unconditional」、そして今年4月リリースの「Can You Stand The Heat」で話題を集めている。
モデルばりに長身で抜群の脚線美、美しいブロンドのウェービー・ヘアをなびかせながら、力強くシャウトし、ばりばりギターを弾きまくるポポビッチは、「もっとも絵になるブルース・ウーマン」として、ブルース界だけでなく、広範囲でリスナーを獲得しつつある。
アメリカではここのところ、ブルース界でもビジュアル系戦略が進み、男性でいえばジョニー・ラング、女性でいえばシャノン・カーフマンのような十代でルックスのいいアーティストをプッシュしていく傾向が目立つが、ブルースはもともとオトナの音楽、あまりに若いアーティストにはその味わいが感じられない、みたいな欠点もあったのだが、その点、ポポビッチは既にオトナの女性の魅力を十分に備えており、ブルース・ウーマンと呼ぶにふさわしいといえるだろう。
前置きはこのへんにして、きょうの一曲を聴いていただこう。最新アルバムのタイトル・チューンだ。
B・B・キングのバンドでドラマーをつとめるトニー・コールマンによるプロデュース。彼をはじめとする黒人ミュージシャンをバックに、メンフィスにて録音。
曲調はブルースというよりもファンクな、アップテンポのナンバー。タイトル通り、ひたすらホットでノリがいい。黒人女性コーラスやホーン・セッションも交えて、ごきげんなファンク・ミュージックに仕上がっている。
中間部では、もちろん、ポポビッチのギターソロも聴ける。レイ・ヴォーンばりのゴリゴリの速弾きに、「えっ、これ女性が弾いてるの?」とビックリ。時代は確実に変わってますぞ。
アルバムの他の曲ではスライドも弾いていたり、各種エフェクターも躊躇なく使うなど、そのプレイは男性ギタリストになんらヒケをとることがないもの。15才にしてプロの仲間入りを果たしただけのことはある。
いっぽう、その歌のほうも、ギターに聴き劣りすることなく、十分に説得力がある。きっぷのいい姐さん、みたいなアルト。でも、女性らしさは失わず、ありがちな「声量で勝負」みたいな巨女シンガー系とは一線を画している。セクシーさはあっても、過剰ではない。ここが大事なところだ。
ミニスカートと、ハード・ドライヴィン・ギター。東欧系白人と、黒人音楽。この、通常はまったく異質に思えるもの同士が、ポポビッチにおいては見事に融合しているのだ。
世間によく登場する美女ロッカーの大半は「なんちゃってギタリスト」に過ぎないのだが、ポポビッチは稀有な例外。歌もギターも、どちらもハンパじゃ聴いてやんない、というワガママなリスナーも、ポポビッチならナットクのはず、である。
貴方は、彼女の熱いプレイに、耐えられるかな? ぜひ挑戦してみてほしい。
今週は現在、もっともイキのいいブルース・ウーマンとよばれている女性シンガー/ギタリストを紹介しよう。76年生まれ、今年37才のアナ・ポポビッチである。
名前でわかるように東欧系で、旧ユーゴスラビア、現在はセルビア共和国の首都ベオグラード生まれ。父親がミュージシャンで、家に友人を招いてジャムセッションをよくやっていたこともあり、幼少からブルース系の音楽になじみ、自然とギターを弾き始めていたという。
19才の頃、自身のバンドHushを結成、ジュニア・ウェルズの渡欧ツアーの前座をつとめたことも。99年にアルバム・デビュー。ドイツやオランダでライブ活動を行ううちに、バーナード・アリスン(ルーサーの息子)と知り合い、彼のつてでRufと契約、アメリカ進出を果たす。その後も順調にアルバム・リリースを続け、2011年の「Unconditional」、そして今年4月リリースの「Can You Stand The Heat」で話題を集めている。
モデルばりに長身で抜群の脚線美、美しいブロンドのウェービー・ヘアをなびかせながら、力強くシャウトし、ばりばりギターを弾きまくるポポビッチは、「もっとも絵になるブルース・ウーマン」として、ブルース界だけでなく、広範囲でリスナーを獲得しつつある。
アメリカではここのところ、ブルース界でもビジュアル系戦略が進み、男性でいえばジョニー・ラング、女性でいえばシャノン・カーフマンのような十代でルックスのいいアーティストをプッシュしていく傾向が目立つが、ブルースはもともとオトナの音楽、あまりに若いアーティストにはその味わいが感じられない、みたいな欠点もあったのだが、その点、ポポビッチは既にオトナの女性の魅力を十分に備えており、ブルース・ウーマンと呼ぶにふさわしいといえるだろう。
前置きはこのへんにして、きょうの一曲を聴いていただこう。最新アルバムのタイトル・チューンだ。
B・B・キングのバンドでドラマーをつとめるトニー・コールマンによるプロデュース。彼をはじめとする黒人ミュージシャンをバックに、メンフィスにて録音。
曲調はブルースというよりもファンクな、アップテンポのナンバー。タイトル通り、ひたすらホットでノリがいい。黒人女性コーラスやホーン・セッションも交えて、ごきげんなファンク・ミュージックに仕上がっている。
中間部では、もちろん、ポポビッチのギターソロも聴ける。レイ・ヴォーンばりのゴリゴリの速弾きに、「えっ、これ女性が弾いてるの?」とビックリ。時代は確実に変わってますぞ。
アルバムの他の曲ではスライドも弾いていたり、各種エフェクターも躊躇なく使うなど、そのプレイは男性ギタリストになんらヒケをとることがないもの。15才にしてプロの仲間入りを果たしただけのことはある。
いっぽう、その歌のほうも、ギターに聴き劣りすることなく、十分に説得力がある。きっぷのいい姐さん、みたいなアルト。でも、女性らしさは失わず、ありがちな「声量で勝負」みたいな巨女シンガー系とは一線を画している。セクシーさはあっても、過剰ではない。ここが大事なところだ。
ミニスカートと、ハード・ドライヴィン・ギター。東欧系白人と、黒人音楽。この、通常はまったく異質に思えるもの同士が、ポポビッチにおいては見事に融合しているのだ。
世間によく登場する美女ロッカーの大半は「なんちゃってギタリスト」に過ぎないのだが、ポポビッチは稀有な例外。歌もギターも、どちらもハンパじゃ聴いてやんない、というワガママなリスナーも、ポポビッチならナットクのはず、である。
貴方は、彼女の熱いプレイに、耐えられるかな? ぜひ挑戦してみてほしい。
音曲日誌「一日一曲」#1~#100 pdf版もダウンロード出来ます