まるでジブリに出てきそうな藤森照信さんの作品
今日の最終目的地、帰路152号線から茅野市に来ました
日本最古の神社のひとつとされる諏訪大社の上社からほど近い場所に、*藤森照信作品があります
東京大学名誉教授の肩書を持ち、江戸東京博物館の館長を務める建築界の巨匠である
藤森さんの作る建物は、『どこか懐かしく、しかし見たことがない』という独特の佇まいが特徴
その作風の原点は生まれ育った地元、諏訪地域の文化に深い関りがあるという *建築家(工学博士)・建築史家
(藤森先生の地元である長野県茅野市で4つの作品を一気に楽しむことができます)
手入れされた庭木を見ながら
見事な ニワナナカマド が印象的な玄関☆
斜めに傾いた屋根が特徴的なのが「神長官守矢史料館」
「神長官」とは諏訪大社の上社の神に仕える職の長のこと
この神長官を中世から明治時代まで代々勤めてきた家柄が"守矢家"です
こちらの史料館は守矢家の敷地内にあり
神事などにまつわる史料や鎌倉時代から伝えられる1600点以上の守矢文書などを保存・展示しています
この「神長官守矢史料館」は、1991年完成の藤森さんの処女作で、原点ともいえる存在です
参照 icotto 心みちるたび
「神長官 守矢 史料館」(じんちょうかん もりや しりょうかん)
(調べて行ったのですが臨時休館日でした)
説明によると、屋根から飛び出した四本の柱は、地元産の"イチイ"の樹が使われています
諏訪大社には古くから「御柱祭(おんばしらさい)」と呼ばれる神事があり
山から切り出した四本の木を社殿の四隅に建て神木とします
こちらの四本の柱はその御柱をイメージして建てられたものです
建物は資料保存のため鉄筋コンクリート造ですが
外部と内部の両方に藁とモルタル壁土を塗り、屋根には地元産の「鉄平石」という平石を使うなど
目に映るものはすべて自然の素材となっており、茅野の景色にも違和感なく馴染んでいます
また外壁の一部には「割板」という鎌倉時代の技法が使われています
1本の丸太の真ん中にくさびを打って裂くという技術ですが、1本の丸太から作ることができる板はなんと2枚のみ
貴重な上に手間もかかる技法ですが、機械でなく手で割っているだけあってなんともいえない良い風合いがあります
深紅な赤い実を見ながら、畑の道を歩いて
空飛ぶ泥船 ↓ の案内に進む
畑や住居や墓所が点在し、歩いていいのか迷いながら進むと
突然、空飛ぶ泥船(どろぶね)が見え、目を見張る!
(2010年完成)
八ヶ岳を背景に望める位置にあり、なんとも可愛らしい作品
この「空飛ぶ泥船」は藤森さんちの茶室で、基本的に外部の見学のみが可能です
藤森先生の奥様は実際、茶の湯の先生
史料館には入れませんでしたが、今日の午前中に草刈りしたのか まだ草の香りし
高台の大地は歩きやすく助かりました
時刻は午後4時近く、雲が湧いてきて薄暗くなってきました
遠方の山並みは諏訪平・蓼科高原でしょうか
フジモリ建築は ↓ YouTube ☆必見 をご覧ください
雨の取材の中、ユニークで楽しんで製作したことが分かります
泥船の茶室は、長さ2.7m、幅1.8m、高さ2m、重さ600㎏
底部に2本のワイヤを通し、両脇に立てた支柱にハンモックのようにつっている
地上から床までは約3.4m、内部は3畳ほどというが、思ったよりも広く「乗船」できるのは7人程度
三角屋根が「低過庵」 (ひくすぎあん)
「地面の下の茶室」⇒ 竪穴式茶室
2017年の縄文アートプロジェクト内で、茅野市民館主催のワークショップで製作
奥の高い場所に見える小屋が「高過庵」
茶室にしては「たかすぎ」「ひくすぎ」の位置にあることから、名付けられたのだそうで
このふたつはどちらも藤森家の個人的な茶室です
三角の屋根がスライドし開閉します
ツリーハウスのようなものが「高過庵」 (たかすぎあん)
(2004年完成)
6mほどの高さの栗の木の上にちいさな小屋が乗っかっています
アメリカの雑誌"Time"では「世界でもっとも危険な建物トップ10」として選出されたこともあるそうで
たしかに、見れば見るほどどうして建っていられるのか不思議になってきます
6mと高い位置にある分、絶景を見ながらお茶の時間を楽しむことができます
ハシゴも敷地内に
敷地内に素朴な祠
すぐ近くには諏訪大社(中央構造線上)
☆必見 「 藤森先生はゆっくり楽しみながら、、、」解説付きです
↓
Terunobu Fujimori's floating tea houses celebrate impermanence
(浮く茶室、不滅を祝う、とでも訳?)
↓
茅野レガシー~未来に残したい茅野遺産~ #10「フジモリ建築」
所在地 | 〒391-0013 長野県茅野市宮川389-1 地図 | |
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アクセス(車) | 中央道諏訪ICから5分 | |
アクセス(公共交通) | 茅野駅から徒歩40分・タクシー10分 | |
開館時間 | 9時~16時半 | |
休館日 | 月曜日・祝日の翌日(月曜の場合はその翌日も)・年末年始(12/29~1/3) | |
入場料 | 100円(高校生70円・小中学生50円※諏訪地方の小中学生は無料) | |
Tel. | 0266-73-7567 | |
撮影・探訪日 2019.7.3
神社で御柱を立てるのを見ましたが、あの近くにこんな建築があるとは知りませんでした。
当時は、乗鞍に登るのに都合の良い位置だったので、頭の中は、お花畑の事でいっぱいでした。
こんど機会が有れば、泥船を見てみたいものです。
最近、藤森先生のドバイやインドネシアでの茶室をネットで見る機会があり、行きたい思いが募りました。
いつも山行がらみの茅野行きだったので素通りでして、、
機会があれば是非ご覧になってください。
ホントに癒される井上陽水の「少年時代」そのままに感じとれる風景です。
先の「フルーツ人生」の故津端修一先生と共通する生き方があります。