鳴り止まぬ拍手!
スタンディングオベーション!!
アンコールの声!
場内のアナウンスが退場を2度告げてもまだ、拍手は止まらなかった。
さすが宝塚のOGたち。
出演者7人のうち、4人までがトップスターだったのだ。
「THE CLUB」は私の好きな作品。
1903年のアメリカ、会員制高級紳士クラブの一夜を描いた、オフ・ ブロードウェイ・ミュージカルの一つだ。
アメリカと言えどまだ男性上位の時代、男性のみのクラブで女性の悪口を言いたい放題。
でも最後はその女性の元へと帰っていくというストーリー。
一番最初に観たのは、真帆しぶきさんの理事長で、主役級の独身貴族の医者役は前田美波里さんだったと思う。
たしかショーちゃん(榛名由梨さん)も出ていたのだが、何の役かいまだに思い出せない。
銀行家の役だっただろうか・・・・・?
一番若い会員に諏訪マリーさんが出ていたのは覚えている。
今回は理事長にショーちゃん、親友の医者役に和央ようかさん、銀行家は初風緑さん、一番年下の会員に大河悠河さん、ピアニストに麻路さきさん。ボーイ二人も宝塚のOG。
円形の劇場で、客席が舞台を囲む形で、出演者たちの椅子も客席に同化させていたりして、面白い演出になっている。
マリコちゃん(麻路)はさすがピアノの達人、そして音楽監督。上手く皆をリードしている。
振付でさすが宝塚と思ったのは、株価を読み上げるシーン。
椅子をうまく使い、座ったり立ったり、足を組んだりと結構ハードな振りだ。
初演はテレックスのデーターを長い巻物のようにみんなで読んでいたような気がする。
新春バカ騒ぎのショーの稽古も前作は女装だったけれど、今回はハンプティダンプティの着グルミに変わっている。
そしてその稽古中に、理事長の3番目の妻と彼の親友の独身貴族との不倫を伝える電報が届く。
稽古のシーンと、現実が交差する場面。
稽古は棒読みで、そのうち実際の感情が入り、口争いになっていくのだが、今回はその境目がよくわからず、最初から争っているように見えた。
そして一夜明け、みんなそれぞれ罵詈雑言だった女性の元へと帰っていく。
ひとり舞台に残された理事長。
寝酒を飲むというが、そこで一転して正面をむくと真っ赤なルージュを引いている。
女装をしているのか女に戻ったのか、男装の女性か・・・・・。
真帆しぶきさんの時は、くるりと舞台正面を向いたとき真っ赤なドレスだった気がする。
今回の舞台ではそれができないのが残念だ。
そしてアンコールで、皆出てきたときはドレス姿。
ショーちゃんだけが燕尾服に真っ赤なルージュ。
それがとてもいいコントラストになっていた。
全員がドレスではないところで、この世界は女性も男性もないという、平等感が現れるような気がする。
歌も風刺もとても昔の作品とは思えない。
今観ても、よい作品は命が吹き込まれている。
欲を言えば、独身の医者は前田美波里さんのほうが迫力があった。
今回はもう少し、理事長と対等に争ってほしかった気がする。
とはいえ、よい作品を観ることができ、帰り道はテーマ曲が頭の中を回っていた。