悠久の時を経て

「美しく大きく丈夫なオオクワガタ」このテーマを担う血統作出目指した飼育記録をメインに、気儘な話題を書いていきます。

添加剤についてその3

2016年04月03日 19時13分43秒 | オオクワガタ関連の話題

 



前回はチョネ省ギャグモード記事でした
が今回はちと真面目モードで。

ひとまず近況から。
2016年度はその構想(組み合わせ)が決ま
り種親候補を2月半ばに床下からワイン
セラーへ移動。MAX28度管理を経て4月
半ばから、ペアリング第一クール開始の
ため種親をワインセラーからブリードス
ペースへ。

今は少しづつマットの加水量を増やす
など梅雨時期を演出しています。
♂は例年通り越冬明け3週間後から餌を
与えています。


◼️昨年からの改良点。
越冬明けからペアリング開始までの期間
を長め(1ヶ月半→2ヶ月)に取る。

越冬明けからの2ヶ月間♀には餌を与え
ず。※越冬前には餌を与えている。
これは餌に集中している間ペアリングを
という考えから。
またマットの加水を少しづつ増やしてい
く等産卵モードへ向け集中力を高める。

産卵期間を短かく。
(1週間×2回→5日+3日)することで♀
の体力消耗を防ぐ。

産卵セットケースのサイズ変更。
※ペアリングケースはコバシャ小。
コバシャ小メインから今年は全てを
コバシャ中へ変更。
これは一昨年、コバシャ中3本セット
管理の産卵数が多かった故の変更。
変更点は以上。

ペアリング後の♀には、高栄養の餌を
しっかり与え、10日~2週間熟成期間を
設けてから産卵セットへと移行します。


まずは産卵ステージをしっかりクリア
しなければステージにすら立てません。
今年は余剰も採らねばなりませんから
ね。おそらく大丈夫でしょう。



 
 



さて、産卵数をしっかりと採る前提で
2016年度ブリード添加剤について。
 
 


これまで我が家で取り組んできた添加剤
検証ですが、特にタンパク質に着目して
取り組んできました。





それは何故か?





天然のオオクワガタが、何故大きくなれ
ないのか?という考え方に起因していま
す。

自然界において、通常オオクワガタの幼
虫はキノコの生えた木材からキノコ菌の
成分を摂取して大きくなります。
ところが、木材にはタンパク質が殆ど含
まれていない。

幼虫は主にキノコからのみタンパク質を
消化吸収して身体を作ることになります
がキノコが作ったタンパク質だけでは大
きな幼虫に育つための十分なタンパク質
を摂取出来ないと考えられます。
木材の中で大きく育つ程タンパク質が不
足気味となり、タンパク質不足が大きく
なれる遺伝的な要素を制限。結果として
大きな成虫になれないという考え方。

要するにタンパク質栄養素を取り込む
能力(腸内でタンパク質源となる微生物
や菌糸が腐敗した時に出来るアンモニア
を利用するバクテリア等を取り組む)の
高い幼虫が大きく育つ遺伝子をもつと。

そこで2012年はタンパク質添加率を体
積比で比較し段階に分け実施しています。
但しこの検証ではその適正値及び優位
性は確認出来ませんでした。

しかし我が家2014年度ブリードにおいて
前年2013年度に高タンパク質添加を喰わ
せ育てた早期羽化ラインから最大サイズ
が出ています。
 





これは何故なのか?
 








考えられる要因は二つ。

一つは大きくさせるための添加剤成分と
して栄養化の高いタンパク質は有効と考
えられるが、窒素量が多過ぎると添加剤
を分解する共生菌以外のバクテリアが繁
殖し菌糸ボトル内環境(幼虫腸内環境)が
悪化してしまう。それがマイナス要因。


2012年の検証では特に菌糸ボトル劣化
が顕著でした。菌糸ビンの白色腐朽菌
は養分を他の菌に使われぬようガード
し生長するため、タンパク質窒素量が
多少高くとも問題はないと思われます。
しかし劣化が進むと微生物も増殖する。
微生物が増殖するにつれて炭素分が不
足し微生物も同時に死滅してしまう。

死滅した微生物は幼虫にとって有益な
ものか多い。死滅しない悪性の多くは
窒素化合物から炭素分を合成、自らの
養分にすることが可能。しかし良性菌
はそれが出来ず炭素分が合成される際
窒素を放出 C/N比が低くなってしまう。
悪性の菌が繁殖し極端な酸性に偏った
培地を食べ続けることで腸内をアルカ
リ性に保てなくなり養分吸収が行えな
なくなる。




二つ目。
幼虫腸内で生態系を構築し環境を維持
し、菌糸ボトル内の栄養素を吸収しや
すい共生菌に進化しているという考え
方。
親の餌、同じ餌の血統がより大きく育
つことからも餌慣れの優位性はあると
考えられます。
窒素源としてタンパク質は有効であり
またC/N比が適正範囲(幼虫腸内環境)
で安定化した状態であれば適応能力が
発達し幼虫は大きく育つのではと。






ではどうするか?









今期2016年度は、タンパク質添加量
を我が家久留米血統の適正値範囲内と
するバランスを重視した配合とし、
同時に幼虫腸内環境を整え良好な状態
をより持続させることを考えています。

業者(プロ)のノウハウにプラスαを。
要するに我が家で数年間使っている
菌床に幼虫整腸作用の高いミネラル
添加剤を加える。

アカモビさんのブログを拝見すると
植物性物質のミネラルは昆虫体内の
のミネラル含量の比率と類似してい
ます。
またアカモビさん曰く、ミネラル
は結果的に食物連鎖のようになり、
ミネラルの比率でいい感じの生育
結果の文献もあるようです。
この方法であれば失敗のリスクは
少なく効果も高いのではないかと。

これまでの通り完全オリジナル添加
タイプも少しだけ継続して比較検証
をと予定しています。
あのプレス機がここで役に立つ訳です。
 






コメント (27)
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