寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

祇園の恋人(五)

2010年05月04日 11時00分33秒 | 日記
京都と言う土地には自然に外来者を迎え入れる風土があります。それは別に温かくなくされど冷淡でもなく…淡々とした姿です。古来から征服者がこの都大路を闊歩してきた歴史が物語っています…
盛者必衰の理を表す。おごれる者は久しからず…
有名な平家物語の一節にもありますように佐川本部長は今が絶頂期でありました。
あれから仕事も上向き順調にこなしていきました。
ただ西日本各地のお客様を相手しますから、京都に席を温める暇がないのが辛いところでした。
気にはなりましたが、仕事に追われ地方に出張したり本社の会議に出たりしていました。初デートからそう、二週間ほどが瞬く間に過ぎました… その頃東京の有力得意先が新しい商談で視察に訪れました。トップクラスの方なので、当然こちらも幹部総動員で対処しました。
説明会・工場視察も順調にこなしていきました…
そして明日帰京となった夜は接待となります。
使う場所は当然祇園ですね。
祇園にはこんなV.I.P用のお茶屋を会社は確保しています。
黙って座って5万円(笑)…一人がですよ(笑) そこへ
飲んで食べて10万円です。
以前高辻役員が珍しく嬉しそうな顔で、
『この間の木暮、三十万ほどで済みましたよ(笑)…』
『えっ!そりゃあ安かったなぁ』
鬼塚専務も驚いておられました。
あれは確か私がピックアップ(要するに乗せました)した一件でした。 高辻役員と鬼塚専務にお客様が二名でしたから都合四人ですね。
三十万を四で割ると八万くらいです。
これを安い♪と言うのだから正に驚愕の世界ですね(笑)
ここ(木暮)だって祇園のお茶屋として多少は名前が売れていますが、所詮は詫・寂(わびさび)の世界です。華やかさなんか全く存在しません。 食べる物だって、そこらあたりの寿司屋さんと変わらないですよ(笑)
ただあの独特の雰囲気を醸(かも)し出す演出は大したものと思います(笑)
それはさておき、お客様二名にこちらは、根本常務・宮崎役員と佐川本部長がお相手することになりました。この事業部の三役揃い踏み!です。
場所はもちろん木暮です。
新しい商談で幹部三役の皆さんはピリピリしておられました。特に下っ端の(あくまでもこの中では)佐川本部長はさながら新入社員のようにクルマのドアを自らが開け閉めしたり、相手の冗談に愛想笑いをしたりとまめまめしく動いておられましたね。あの佐川本部長がですよ…(笑)会食は例に依って六時半スタートの九時終了です。
そして続く二次会も無事終わりました♪私はお客様をホテルまでお送りしてお役目御免♪のはずが、佐川本部長が近寄るとコッソリ『高村さん、お客様をお送りしたらまた戻ってきてよ。』
さては、深夜のデートだなぁ(笑)
私はピンときました。
私のクルマにお客様が乗り込みますと、三役さんは直立不動で最敬礼です(笑)まるで天皇陛下をお見送りするくらいです。
頭を深々と下げながら『ありがとうございました。』 …これってうちが言うんですよ(笑) あんな高いお茶屋やクラブを奢りながらまだお礼を言うのは何か変だなぁ(笑)
…とにかくも大切な接待は終わりました。私も何ごともなくお客様をホテルまでお運びできました(パチパチ)
ところでお客様でもいろいろですね。うちの幹部連中がピリピリしている場合は大物です!…私にも分かりますから、そんな時はやっぱりものすごく気を使いますね。
私もホテルの玄関先では頭を下げましたよ。
えぇ結構深く…ね(笑)
それからほっとする間もなくまた祇園に舞い戻りました。佐川本部長のリクエストでしたから(笑) …
深夜の事で道は空いていました。四条通りを東へ走らせ大和大路を上がると祇園白川一帯です。確かこの辺りで待っているはずたが…私は左右を気にしながらゆっくりと進みました…
白川は川の名前が由来でしょうか…通りの真ん中にきれいな川が流れています。その真ん中辺りに小さな神社がありますが よく時代劇の撮影に使われているところです。うちではその辺りを何かの時の集合場所としていました。
案の定三人が話し込みながらいらっしゃいました。
私が静かにクルマを着けますと、すぐに根本常務、宮崎役員が乗り込んでこられました。 佐川本部長はクルマの外からにこやかに『お疲れ様でした』と頭を下げ ています。
(はは~んやっぱり)(笑)
佐川本部長の秘密を知っているのは腹心の長原部長と私だけです。
下手に勘ぐっても所詮は人の恋…
私は両首脳を乗せて帰宅の途に着きました…
そして両首脳をお見送りした佐川本部長は…
コメント
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