…どれくらい経ったのでしょうか。 私は気がついて辺りを見渡すと嵐は治まっていました。
すっかり闇に包まれた境内には遠目に外燈がぼんやりと光っています。『何時だろ~』
頭を軽く振って私は携帯を取り出しました。『九時か…』
一時間以上も気を失っていた事になります。上着を払い立ち上がろうとした途端携帯が鳴りました。
川中相談役からでした。
『亜紀がおらんのだよ…』
『??』
川中相談役の声が震えていました。 『え!いらっしゃらない…』
『高村さんどこにいるんだ?』
『私ですか…』たぶん貴船神社だよな、ここは…
改めて見渡すとやはり貴船神社です。 『貴船神社にいますが…』
『そうか!じゃあこっちに戻って来てよ』
川中相談役は相当うろたえたご様子です。
一体どうしたんだろう?今の時間なら食事の最中のはずだが…私は亜紀さんが行方不明になったことが理解できませんでした。 しかし川中相談役からのご指示です。私は急ぎひろやに戻ろうとしましました。境内には低い鳥居がありますがそれを潜ろうとした時、後ろを何気なく振り返ってみますと、雑木林の向こう側にぼんやり白いものが見えました。
なんだろ?外燈じゃあないみたいだし。私は足を止めて雑木林の方を見ました。
確かに白いものがユラユラと揺れています。
私は興味心からのぞき込むように雑木林に向かって進みました。
ジャリ、玉砂を踏み締める音が静寂の境内に響き渡りました。
『ヤバイ!』
こんな夜中に白い何かが見える! こりゃあ例の丑刻参りじゃあないか!うっかり近付けばエラい目に会うかも知れないぞ! 私は薄気味悪さも手伝い、踵を返して逃げるように境内を出ました。
ひろやでは、玄関に川中相談役とお女将さんらしい方それに案内の男衆がいました。
話を伺うと三十分前に主な食事は終わりデザート待ちだったそうで、
『ちょっと外の空気を吸って来ます』と亜紀さんは一人で表に出掛けたのです。
直ぐに帰ってくると思っていたのが、三十分も経つとさすがに心配になってきて電話を掛けてこられたのでした。
ひろやでは男衆が上手(かみて)と下手に分かれて探し始めました。この貴船は道沿いに細長い街並みが続いています。脇道はありませんから上手へ行けば貴船神社に行きますし、下手はやはり百メートルほどで街が終わっています。
『高村さん君も捜してくれないか』『はい』私もクルマを出しまして取りあえず距離のある上手へ行きました。
途中幾つかの料亭が並んでいる街中を徐行しながら走りましたが亜紀さんらしい姿は見当たりません…
緩い上りの道を登り切ると先程の貴船神社が見えてきました。
この辺りで貴船の街は終わりです。 これ以上進んでも山道になり引き返すより仕方ありません。
私は貴船神社の駐車場でUターンしようとクルマを入れました。
さっきの事も気に掛かるけど今は亜紀さんを捜す事が先決ですから…
ピピピ♪携帯が鳴りました。
『どう、いたかね』『はい、今貴船神社まで来ましたが亜紀さんはいらっしゃいませんね…』
『そうか困ったなぁ』
川中相談役は本当に困った声でしたね。
どこへ行ったのだろう? 私も心配になってきました。 駐車場から神社の方向を見ても外燈がポツンとあるだけであとは真っ暗です…
私はタバコに火を点け一息入れました。
『あっ!』…
すっかり闇に包まれた境内には遠目に外燈がぼんやりと光っています。『何時だろ~』
頭を軽く振って私は携帯を取り出しました。『九時か…』
一時間以上も気を失っていた事になります。上着を払い立ち上がろうとした途端携帯が鳴りました。
川中相談役からでした。
『亜紀がおらんのだよ…』
『??』
川中相談役の声が震えていました。 『え!いらっしゃらない…』
『高村さんどこにいるんだ?』
『私ですか…』たぶん貴船神社だよな、ここは…
改めて見渡すとやはり貴船神社です。 『貴船神社にいますが…』
『そうか!じゃあこっちに戻って来てよ』
川中相談役は相当うろたえたご様子です。
一体どうしたんだろう?今の時間なら食事の最中のはずだが…私は亜紀さんが行方不明になったことが理解できませんでした。 しかし川中相談役からのご指示です。私は急ぎひろやに戻ろうとしましました。境内には低い鳥居がありますがそれを潜ろうとした時、後ろを何気なく振り返ってみますと、雑木林の向こう側にぼんやり白いものが見えました。
なんだろ?外燈じゃあないみたいだし。私は足を止めて雑木林の方を見ました。
確かに白いものがユラユラと揺れています。
私は興味心からのぞき込むように雑木林に向かって進みました。
ジャリ、玉砂を踏み締める音が静寂の境内に響き渡りました。
『ヤバイ!』
こんな夜中に白い何かが見える! こりゃあ例の丑刻参りじゃあないか!うっかり近付けばエラい目に会うかも知れないぞ! 私は薄気味悪さも手伝い、踵を返して逃げるように境内を出ました。
ひろやでは、玄関に川中相談役とお女将さんらしい方それに案内の男衆がいました。
話を伺うと三十分前に主な食事は終わりデザート待ちだったそうで、
『ちょっと外の空気を吸って来ます』と亜紀さんは一人で表に出掛けたのです。
直ぐに帰ってくると思っていたのが、三十分も経つとさすがに心配になってきて電話を掛けてこられたのでした。
ひろやでは男衆が上手(かみて)と下手に分かれて探し始めました。この貴船は道沿いに細長い街並みが続いています。脇道はありませんから上手へ行けば貴船神社に行きますし、下手はやはり百メートルほどで街が終わっています。
『高村さん君も捜してくれないか』『はい』私もクルマを出しまして取りあえず距離のある上手へ行きました。
途中幾つかの料亭が並んでいる街中を徐行しながら走りましたが亜紀さんらしい姿は見当たりません…
緩い上りの道を登り切ると先程の貴船神社が見えてきました。
この辺りで貴船の街は終わりです。 これ以上進んでも山道になり引き返すより仕方ありません。
私は貴船神社の駐車場でUターンしようとクルマを入れました。
さっきの事も気に掛かるけど今は亜紀さんを捜す事が先決ですから…
ピピピ♪携帯が鳴りました。
『どう、いたかね』『はい、今貴船神社まで来ましたが亜紀さんはいらっしゃいませんね…』
『そうか困ったなぁ』
川中相談役は本当に困った声でしたね。
どこへ行ったのだろう? 私も心配になってきました。 駐車場から神社の方向を見ても外燈がポツンとあるだけであとは真っ暗です…
私はタバコに火を点け一息入れました。
『あっ!』…