W杯予選も大詰めになりましたね。日本はデンマーク戦に予選突破を目指します。私には細かい戦術は分かりませんが《バイキング対サムライ》の戦いですよ(笑)日本は引き分け以上なら予選突破ですがそれが変な力みにならないかと案じています。私の予想では得点力に著しく劣る日本は1―1、これしかないですね。つまりデンマークを0に押さえられない日本が唯一予選突破できるスコアです。2―1や1―0で勝つことはありえません。0―1,0―2,1―2で負けることの可能性は大と感じています。応援はもちろんですが現実は厳しいのでは……………………クルマの外は爽やかな風が吹いていました。これが仕事じゃあなかったら絶好のドライブ日和です。住宅街に入るとスピードを落した総務課長の車が少し迷いながらの運転になっていました。私達のクルマは相変わらず沈黙したままでした。
『この辺り雪は降るんですか』
呟くように部長が口を開きました。 『…ちょっと降りますね』工場長が投げやりに返事しました。『そうですか…』しかたないなぁ…そんな部長です。 車は住宅街を外れたマンションの一角に止まりました。薄いベージュ色の品の良いマンションです。
総務課長のクルマが駐車場の片隅に停車するのを見て私も近くに駐車しました。
総務課長のクルマから経理員が三名課長と何か話しながら降りました。 こちらも『じゃあ…』
部長の掛け声で 三人が一斉に降り立ちました。それをきっかけに 私はクルマの窓を全開にして重苦しい空気を吐き出しました。
総務課長は私に『すみませんが、私も中に入りますからここで待機していてください…』チェッ!いつもそうなんだな、俺だって中に入りたいよな(笑)。そんな私の思慮も叶わず課長以下マンションへ向かうのを私はぼんやりと見送っていました。
一時間ほど経ったでしょうか。総務課長が出てきました。私と目が合うと小さく頷きながら近付き『もう少し掛かるでしょう』と話しかけて来ます。一体何がそんなに掛かるんだい?
こんな時私達の立場とはこんなものだ、と痛感するものです。
つまり私達は黒子に徹する訳です。 そんな私の気持ちを察してか総務課長はいつの間に用意したのか缶コーヒ―を差し出しました。
私はお礼を言いグビリと一口飲んで 『何があったの』と聞こうとしたときでした。
経理部長が出てきました。
総務課長は速攻部長の元へ駆け寄りました。
*皆さんこうでなきゃあ出世できませんよ(笑)
『お疲れ様です』 課長がおべんちゃらで向かえますと 部長は辺りを見回し『この辺りは雪が降るんですか』 と課長に問うではないですか! 確かこれを聞いたのは三回目だぞ。 私にも訊いていたし、そんなに雪が気になるのかい(笑)
二人は立ち話をしながら時間を待っている風でした。 十分くらいして経理員達が出てきました。工場長も一緒でした。
恐らくは家宅捜索なのでしょう。
?しかしそれにしては工場長の晴れやかな顔…
経理員達には全く見向きもしない素振りでした。部長はと見れば相変わらず課長のヨイショに満更でもない顔でご機嫌です。 はは~ん♪これは【シロ】だね…
私は気が楽になりました。
それでも帰りの車中は多少マシと言うくらいで弾むものではありませんでした。
工場に着きますと工場長は『では』と短く告げて工場へ悠然と帰りました。
さあ、どうなるんだ!
何かの疑惑があって容疑を疑われた工場長はシロ、二日間掛けて調べた捜査は一から出直しになりました… 捜査員…いや経理一同顔色無しですね(笑)
工場長が立ち去って事務所の玄関先で一同立ちすくしていました。そこに例の女性事務員さんが通り掛かりました 。 彼女は会釈しながら『お茶を会議室に用意しておきましたから…』と課長に告げていました。 『ああ、ありがとう』
仕事が山ほどある課長はうんざりした様子で頷くと
『取りあえず会議室にお入り下さいよ』ここで立ち話も冴えないことでした。
『あぁ、君』部長が立ち去る彼女をに声を掛けました。『はい?』思わず振り向いた彼女に『この辺りは雪が降るのですか?』
なんだ、またこの話かよ(笑)
私はうんざりしながら彼女を見ると『はい、雪は降りません』彼女は言い切りました。『え!』しかし驚いたのは私だけでした。だってこの地方は雪が降るはずです。近年暖冬の影響でそうは積もりませんがシーズンに何度も雪が降るはずですよ。
それなのに…なぜあんな事を言ったのでしょうか。
私が考えているうちに皆は事務所へ入って行きました。誰も気にする素振りさえありませんでした。
夕刻経理部長は帰京しました。
新幹線の駅まで送る途中経理部長は淡々とした態度で車窓からの景色を眺めていらっしゃいました。私は余程訊いてみようかと思いましたが、そこは身の程知らず…私達は黒子に徹しなければなりません。私が気になったあの経理部長の問い掛け、誰も気にしなかった返答が何故か私には引っ掛かっていました…
『この辺り雪は降るんですか』
呟くように部長が口を開きました。 『…ちょっと降りますね』工場長が投げやりに返事しました。『そうですか…』しかたないなぁ…そんな部長です。 車は住宅街を外れたマンションの一角に止まりました。薄いベージュ色の品の良いマンションです。
総務課長のクルマが駐車場の片隅に停車するのを見て私も近くに駐車しました。
総務課長のクルマから経理員が三名課長と何か話しながら降りました。 こちらも『じゃあ…』
部長の掛け声で 三人が一斉に降り立ちました。それをきっかけに 私はクルマの窓を全開にして重苦しい空気を吐き出しました。
総務課長は私に『すみませんが、私も中に入りますからここで待機していてください…』チェッ!いつもそうなんだな、俺だって中に入りたいよな(笑)。そんな私の思慮も叶わず課長以下マンションへ向かうのを私はぼんやりと見送っていました。
一時間ほど経ったでしょうか。総務課長が出てきました。私と目が合うと小さく頷きながら近付き『もう少し掛かるでしょう』と話しかけて来ます。一体何がそんなに掛かるんだい?
こんな時私達の立場とはこんなものだ、と痛感するものです。
つまり私達は黒子に徹する訳です。 そんな私の気持ちを察してか総務課長はいつの間に用意したのか缶コーヒ―を差し出しました。
私はお礼を言いグビリと一口飲んで 『何があったの』と聞こうとしたときでした。
経理部長が出てきました。
総務課長は速攻部長の元へ駆け寄りました。
*皆さんこうでなきゃあ出世できませんよ(笑)
『お疲れ様です』 課長がおべんちゃらで向かえますと 部長は辺りを見回し『この辺りは雪が降るんですか』 と課長に問うではないですか! 確かこれを聞いたのは三回目だぞ。 私にも訊いていたし、そんなに雪が気になるのかい(笑)
二人は立ち話をしながら時間を待っている風でした。 十分くらいして経理員達が出てきました。工場長も一緒でした。
恐らくは家宅捜索なのでしょう。
?しかしそれにしては工場長の晴れやかな顔…
経理員達には全く見向きもしない素振りでした。部長はと見れば相変わらず課長のヨイショに満更でもない顔でご機嫌です。 はは~ん♪これは【シロ】だね…
私は気が楽になりました。
それでも帰りの車中は多少マシと言うくらいで弾むものではありませんでした。
工場に着きますと工場長は『では』と短く告げて工場へ悠然と帰りました。
さあ、どうなるんだ!
何かの疑惑があって容疑を疑われた工場長はシロ、二日間掛けて調べた捜査は一から出直しになりました… 捜査員…いや経理一同顔色無しですね(笑)
工場長が立ち去って事務所の玄関先で一同立ちすくしていました。そこに例の女性事務員さんが通り掛かりました 。 彼女は会釈しながら『お茶を会議室に用意しておきましたから…』と課長に告げていました。 『ああ、ありがとう』
仕事が山ほどある課長はうんざりした様子で頷くと
『取りあえず会議室にお入り下さいよ』ここで立ち話も冴えないことでした。
『あぁ、君』部長が立ち去る彼女をに声を掛けました。『はい?』思わず振り向いた彼女に『この辺りは雪が降るのですか?』
なんだ、またこの話かよ(笑)
私はうんざりしながら彼女を見ると『はい、雪は降りません』彼女は言い切りました。『え!』しかし驚いたのは私だけでした。だってこの地方は雪が降るはずです。近年暖冬の影響でそうは積もりませんがシーズンに何度も雪が降るはずですよ。
それなのに…なぜあんな事を言ったのでしょうか。
私が考えているうちに皆は事務所へ入って行きました。誰も気にする素振りさえありませんでした。
夕刻経理部長は帰京しました。
新幹線の駅まで送る途中経理部長は淡々とした態度で車窓からの景色を眺めていらっしゃいました。私は余程訊いてみようかと思いましたが、そこは身の程知らず…私達は黒子に徹しなければなりません。私が気になったあの経理部長の問い掛け、誰も気にしなかった返答が何故か私には引っ掛かっていました…