寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

狐は背後に回る〓

2010年06月21日 10時37分57秒 | 日記
さて地方工場に滅多に来ない取締役経理部長は幹部のお迎えに余裕の表情でした。
そんな穏やかな部長を見て私はホッとしました。
なにか不祥事があったならば、大変な事になります。それが部長の様子からして視察に来た感じでした。
部長以下経理社員四名は一日中会議室に籠っていました。それは終業時間をはるかに超えて深夜にまで及びました。
最初工場長が入りましたが直ぐに退室しました。それからは各部署の責任者が次から次と出入りを繰り返していました。
事務所の女子社員がお茶を運ぶ以外一般社員は立ち入り禁止でした。
そんな様子を私はベテランの女子社員から聞くことが出来ましたそれに依りますとどうも課長以上からいろいろ聞き出しているみたいで何を調べているかは分かりませんでした。
ただ購買関係者に時間をさいているのはやはり金が絡んでいるからでしょう。
夜十時を回ってその日は終わりました。私は部長を近くのホテルまで送り届けました。車中で部長からなにか話が聞けるかなと期待していましたが、たった一言 『この辺りは雪が降るのですか?』 『はい年に何回か降りますね』
『そうですか…』 『…』
部長はそれだけ話すと後は仏頂面(ぶっちょうづら、シャレであります(笑)で取り付く島もありません。
次の日もやっぱり厳戒態勢です。
朝から工場長が会議室に入りますと他の出入りが全く途切れました。
途中経理員が通信連絡で何度も出入りをしています。経理員は声を落として話しているらしく話の内容はさっぱりです。
会議室は小さく仕切られていてその小部屋に部長と工場長が入ったきり一時間以上経っているのです。私は興味津津のベテラン女子社員をけしかけて情報を探るように頼んでいたのです。 『ねえねえ♪高村さん昼からクルマ出して下さい、ですって』スパイ役の彼女がコッソリ知らせに来てくれたのは昼前でした。
私は準備がてらクルマを取りに出ると総務課長が声を掛けて来ました。 『高村さん一時に工場から出るので準備お願いします』
『はい、どこまでですか』私は行き先を尋ねました。 『工場長のご自宅です。私も一緒に行きますから大丈夫です』
自宅…こりゃあ事件だね。私にはピンと来ましたね。食事を急いで済ませていると例の彼女か近付いて来て『加藤工場長ヤバイのですか…』
そう尋ねてきても私には加藤工場長がどんな人なのか知りません。
しかし今から考えると彼女は只のやじ馬とは思えない神妙な顔つきでしたね…
午後一時きっかりにクルマは出ました。
助手席には経理員 後部座席は工場長と経理部長です。 先頭を総務課長の車が走りました。 車中は水を打ったように沈んでいます。咳払い一つありません。その内に横の経理員が私を相手に世間話を始めました。
しかしそれも続きません。後ろの席が重過ぎるのです。こんな雰囲気で運転したのは私も始めてでしたね。 それでも若い経理員は雰囲気を変えようと頑張ります。『この辺りの特産品なにがあるのですか』私も喋りたいのですが特産品なんか知りません。仕方ないので『よくは知らないのですが牛肉は有名ですよ』と繋ぎました。
『牛肉ですか♪焼き肉食べたいですね』浅はかな答えです(笑)
そうしてぎこちない問答をしていると住宅街へとクルマが入っていきます。
どうやら近付いて来たみたいです。 私はホッとしました。だって島送りの囚人を乗せているようでしたから笑)…
コメント
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