京都の貴船は山の中にあります。細い道を貴船川が流れています。その川に板をかけ川床として座敷に仕立てています。早い話が川の上で飯を食うのであります。川の流れが速いため蚊が発生しないのでその点は好都合ではないでしょうか。
私はちょうど七時に貴船のひろやに着きました。
ひろやは数ある貴船の料亭の中でも一番の格式を誇る老舗です。古風な数寄屋造りの建物に品の良い門があります。入口には盛塩、篝火がお客様をお迎えしていました。ここを予約するとはさすが一流企業の元専務ですね(笑)………『高村さんありがとう』
『お疲れ様でしたあとはごゆっくり下さい』
『じゃあ九時過ぎには出て来るから』相談役はそうおっしゃると、めしでも食べてよ。
と二千円を私に渡されました。
まぁチップですね(笑)
以前に紹介しましたが、料亭の食事は大概二時間ほどです。
私は飯を食う気にもなれず、クルマを置いてブラブラしました。
え!なぜ飯を食う気にならないか? ハッハッハッ♪… そりゃあ亜紀さんが気になるからですよ(笑) 私たちはお客様を乗せた時はバックミラーは使いません。眩惑避けに変えているのが常識です。 そうすれば後部座席の方と目が合いません。
それが私たちのマナー、気配りとなっています。
それを私はつい野次馬根性でミラーを変えませんでした。(スミマセン) だからミラーにはあの吸い込まれそうな瞳と何度もかち合いました。
別ににらめっこしたわけじゃあないのに彼女が視線を逸らさずにいますから、ついつい私も見ていたのです。(イケナイおじさん(笑))です!
彼女の瞳はまるで深い泉のようで私の胸の底まで見通された気がしました。
それで平然とハンドルを取るのは大変だったんですよ(笑)
私は気分転換にブラブラと名所の貴船神社に向かいました。…貴船神社とは…
【縁結びの神としての信仰もあり、(中略)若いカップルや女性で賑わっている。その一方で縁切りの神、呪咀神としても信仰されており、丑の刻(うのこく)参りでも有名である。(以下略)】
貴船神社は街道を登って行くと料亭街のはずれにありました。
拝殿と小さな器具庫がぽつんと建っています。なんと言う事のない小振りな神社でした。 私はもっと鬱蒼とした森の中にあるものと思っていましたから少しがっかりしたのですが…
ともかく手水を使いお参りを済ませて社(やしろ)の裏手に周ると神代の頃ここに到着したといわれのある舟形の石垣がありました。 この貴船神社は京都でも指折りの古社であります。
私がそこをぼんやりと眺めていますと、風が出て来たのでしょうか、
辺りの木々がざわめき始めました。 生暖かい風が私のほほを撫でるようで誰かが悪戯を仕掛けているみたいに思えるくらいです。 周りは薄暮らくなりました。先程までいた観光客はいつの間にかいなくなっています。
私も下へ帰ろうと境内を歩き始めました。
ザザッー 突然物凄い風が吹き出しました。落ち葉が舞い上がって渦巻きを始め小石がカチカチと飛び散ります。目を開けていられない程の強風が私を襲いました。
頭や足許から砂や小石が巻上がって私の身体にぶつかってきます。腰を屈(かが)めながら強風をやり過ごすため私は境内を出ようとしますが風や小石や落ち葉が行く手を妨げるみたいに向かってきます。
無我夢中で歩くのですが前が見えません。
私はとうとうその場に蹲(うずくま)ってしまいした。すると待っていたかのようにザザッーと小石が頭から雨のように降ってきました。
まるでバケツをぶちまけたくらいの小石を浴びたのです。
その猛烈な勢いに『うーん』私は意識が朦朧となりその場に倒れ込みました……
私はちょうど七時に貴船のひろやに着きました。
ひろやは数ある貴船の料亭の中でも一番の格式を誇る老舗です。古風な数寄屋造りの建物に品の良い門があります。入口には盛塩、篝火がお客様をお迎えしていました。ここを予約するとはさすが一流企業の元専務ですね(笑)………『高村さんありがとう』
『お疲れ様でしたあとはごゆっくり下さい』
『じゃあ九時過ぎには出て来るから』相談役はそうおっしゃると、めしでも食べてよ。
と二千円を私に渡されました。
まぁチップですね(笑)
以前に紹介しましたが、料亭の食事は大概二時間ほどです。
私は飯を食う気にもなれず、クルマを置いてブラブラしました。
え!なぜ飯を食う気にならないか? ハッハッハッ♪… そりゃあ亜紀さんが気になるからですよ(笑) 私たちはお客様を乗せた時はバックミラーは使いません。眩惑避けに変えているのが常識です。 そうすれば後部座席の方と目が合いません。
それが私たちのマナー、気配りとなっています。
それを私はつい野次馬根性でミラーを変えませんでした。(スミマセン) だからミラーにはあの吸い込まれそうな瞳と何度もかち合いました。
別ににらめっこしたわけじゃあないのに彼女が視線を逸らさずにいますから、ついつい私も見ていたのです。(イケナイおじさん(笑))です!
彼女の瞳はまるで深い泉のようで私の胸の底まで見通された気がしました。
それで平然とハンドルを取るのは大変だったんですよ(笑)
私は気分転換にブラブラと名所の貴船神社に向かいました。…貴船神社とは…
【縁結びの神としての信仰もあり、(中略)若いカップルや女性で賑わっている。その一方で縁切りの神、呪咀神としても信仰されており、丑の刻(うのこく)参りでも有名である。(以下略)】
貴船神社は街道を登って行くと料亭街のはずれにありました。
拝殿と小さな器具庫がぽつんと建っています。なんと言う事のない小振りな神社でした。 私はもっと鬱蒼とした森の中にあるものと思っていましたから少しがっかりしたのですが…
ともかく手水を使いお参りを済ませて社(やしろ)の裏手に周ると神代の頃ここに到着したといわれのある舟形の石垣がありました。 この貴船神社は京都でも指折りの古社であります。
私がそこをぼんやりと眺めていますと、風が出て来たのでしょうか、
辺りの木々がざわめき始めました。 生暖かい風が私のほほを撫でるようで誰かが悪戯を仕掛けているみたいに思えるくらいです。 周りは薄暮らくなりました。先程までいた観光客はいつの間にかいなくなっています。
私も下へ帰ろうと境内を歩き始めました。
ザザッー 突然物凄い風が吹き出しました。落ち葉が舞い上がって渦巻きを始め小石がカチカチと飛び散ります。目を開けていられない程の強風が私を襲いました。
頭や足許から砂や小石が巻上がって私の身体にぶつかってきます。腰を屈(かが)めながら強風をやり過ごすため私は境内を出ようとしますが風や小石や落ち葉が行く手を妨げるみたいに向かってきます。
無我夢中で歩くのですが前が見えません。
私はとうとうその場に蹲(うずくま)ってしまいした。すると待っていたかのようにザザッーと小石が頭から雨のように降ってきました。
まるでバケツをぶちまけたくらいの小石を浴びたのです。
その猛烈な勢いに『うーん』私は意識が朦朧となりその場に倒れ込みました……