寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

極秘指令(八)

2010年06月03日 09時40分31秒 | 日記
神社の駐車場から薄明かりを頼りに境内を覗いた私は 声にならない悲鳴を上げてしまいました。
白い何かが見えるのです。しかもそれは雑木林を越えて神社の境内に入ってきます。
私は実は大の怖がりです(笑) それが深夜の境内にユラユラと動く白い何かに驚かずにいられるでしょうか。さっきは失神した後遺症で怖い、と感じる暇がなかっただけです(笑)
それでも私は呆然としながら見ていました。なぜか視線を逸らすことはできませんでした。 最もクルマのドライブは外しません。(すぐに逃げられる用心です(笑)白い何かは近付くにつれ境内の外燈に照らされだされました。良く見ると人のようでした。
それに白じゃあなくてブルーの服のようでした。多分夜目に慣れて来たので分かったのでしょう。
ブルーの人影はだんだんとこちらに向かってきます。姿形が少しずつ見えてきました。
『亜紀だ!』 境内の中ほどまで近付いたその姿ははっきりと亜紀さんでした。
私はほっとしました。 亜紀さんで良かったね(笑)
恐らくは有名な貴船神社を見学に来たのでしょうか。 『しかしこんな時間に来るかなぁ(笑)』
私は肩の力が抜けました(笑)しかしそれほど貴船神社は霊気漂う不気味な神社でしたから…(苦笑)
私はクルマのライトでパッシングの合図を送りました。
亜紀さんは驚いた様子でこちらを見ていましたが私と分かったのでしょう。しばらくして手を振りました。
『どうしたの?みんな心配しているよ』
亜紀さんは軽く頭を下げ『ごめんなさい』と謝りました。
『まぁ何もなかって良かったね』
亜紀さんの顔色は心なしか青ざめていましたが、何をしていたかと質(ただ)す訳にもいかず『帰りましょう』ドアを開けました。『待って!』
亜紀さんはドアをさえぎり私に向かって『ホテルに送って頂いた後時間ありますか』私は面食らいました。 時間…?
私と向かい合った亜紀さんはその大きな瞳を見開いて瞬きひとつしません。
『いいですか!』 『いいよ…』
『ありがとうございます。じゃあこのことは川中には内緒で願いします』
川中…?
おいおい、あんたのお父さんじゃあないの(笑)
私は分からないまま了解しました。
ひろやに戻ってみると案の定お店の人が大騒ぎしていました。
亜紀さんはごめんなさいの一言であとはケロリとしていました。
川中相談役がひたすら平謝りを繰り返してまぁ一件落着となりました。 亜紀さんが無事だったことで騒ぎも治まり私達は早々にひろやを後にしました。
ひろやからホテルまで約三十分、車中は無言です。ただ重苦しい空気が流れていましたね。ラジオを掛ける訳にもいかない私はただひたすら運転に集中しようと懸命でした。
さすがにバックミラーは反らしていましたが貴船神社のこと川中と呼ぶこといろいろありましたね~(笑)
やがてホテルに到着しました…
『今日はすまなかったね』川中相談役はすっかり疲れた様子でした。
亜紀さんも『ありがとうございます』と会釈をしましたが、思わせぶりな視線を私に送りました。
二人はフロントでチェックインの手続きをしているのを横目に見ながらクルマを玄関横に静かに着けました。亜紀さんは一度部屋に入るだろう。…
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする