寝転がって気ままに想う事

 世の中ってこんなもんです・・
面白可笑しくお喋りをしましょうか ^^

極秘指令(十)

2010年06月05日 07時48分46秒 | 日記
『お願い…』そりゃあ命の恩人だから多少のことなら… 私は亜紀の横顔を見詰めました。 亜紀もこちらに顔を向けると真顔になりました。
『はい、ここに御札があります、この御札を川中の首筋に貼り付けて欲しいのです』
見れば手の平には爪くらいの小さな御札がありました。『私には霊力があって直接手を下すことが出来ません』
『他の人には頼みにくいし、経緯をお話しました高村さんなら引き受けて頂けますよね』え~人殺しの手助けかよ(驚)
私の心底を察してか亜紀は笑いながら
『この御札は命を取るものじゃあありませんよ(笑)』 『ただ今の調子が落ちる効能があるのです(笑)』
亜紀の大きな瞳は笑っていません。 私はその御札を手に取ると『上手く行くかどうか分からないけどやってみるよ』
私にはこの極秘指令を承諾するしかありません。だってここまで話を訊いて断ったらこっちの命が危ないでしょう(苦笑)
亜紀はお礼を言うと、座り直して実はもうひとつお願いがありますと来ました(笑)
まだかいな~(笑) 私はもう亜紀が怖くなってきました。今度は何を…
当惑しながら私は亜紀を見ました。 亜紀はまぶしいものでも見るように 大きな瞳を瞬きさせながら
『私は今年二十歳になりました。』 そうかどうりで若いはずだ(笑)
『私には先程霊力があると言いましたが、この霊力を継ぐ子種を絶やすことは出来ません。むしろ二十歳(はたち)に身籠もった子供には強い霊力を身につけることができるのです。』大きな瞳が私を吸い込みそうで亜紀の言葉には執念さえ感じられました。
亜紀は息を調え、座り直しました、 『だから…』つい私は聞きたいのをぐっと我慢しました。きっと思いもつかない言葉が出て来るに違いないのです。
『…ですから高村さんに私の子供をお願いします』
『☆★☆★』
何だって~叫び出すのを押さえるのに私は必死になりました。
『亜紀さん…』
後の言葉に詰まり名前を呼ぶのが精一杯でした。
『はい!高村さんには迷惑なお話でしょう』
いえいえ!迷惑だなんて、(笑)
『あの~』私は情けない声になっていました(笑)
『後々高村さんには決してご迷惑はおかけしません』 『ハハハ、冗談でしょ 』私は笑うよりありませんでした。
『冗談じゃあありません』亜紀はちょっと怒った声で私を睨みます。
睨まれたって何だってそんな話聞いた事ないよね(笑) 『それより私の事嫌いなんですか』亜紀は私に迫ってきました。
『いや嫌いだなんて…』今夜はなんと言う日だ(笑) 確かに亜紀は可愛いし魅力的だし…好きに決まってる(笑)
そんな困った顔を眺めて亜紀は私の肝を知ったのでしょうか。
『私高村さんの子供が欲しいのです♪』亜紀の瞳は訴えて来ます。私ももう逃げる訳にはいきません。甘い吐息が首筋にかかり亜紀と私は急接近しました。
『高村さん…』
亜紀は私の胸にもたれてきました。亜紀の薫りが私の鼻孔をくすぐります。
亜紀の目も鼻も唇もすぐ目の前にあります。亜紀が吐く息が荒くなりだしました。
私は重なり合った身体からそっと腕を抜くと亜紀は背中を反らせて私の首に巻きました。
『ロック掛けて…』 甘えた声でねだります。『カチャ』乾いた音がしてドアロックが掛かりました 外は真っ暗闇。鴨川のせせらぎだけがいつまでも続いてました。 (完)
コメント
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