
昨日圃場へ出てみたら技師さんたちが倉庫から脱穀機を出しているところだったので便乗させてもらうことに。玄米にしようと思っていた籾があったのですが、少量だったためある程度まとまってからと考えていました。量に関係なく準備と後片付けの手間は変わらないので。まさに渡りに船でした。

で、これがその玄米。この距離では分かりにくいかもしれませんが・・・・・

この通り少し黒っぽい。そして普通のお米と比べると圧倒的に硬い。以下、これがどういう素性なのか説明します。

10月に試験圃場から収穫されたサンプルです。一つの区画から50株ずつ刈り取り、さらに100本の穂をランダムに選びました。(残りの穂は機械脱穀の後、茎葉部 (藁) と籾それぞれの重量と水分含量を測っておしまいですが、これらは詳細な調査に使います。)

穂の左にあるのが通称「脱粒容器」ですが、同じサイズの小型バット(ステンレス製)を布テームで向かい合わせに貼り合わせただけ。(ただし微妙にずらしています。というか、上下の歯と一緒でこの噛み合わせが非常に重要です。)



その容器内に穂の先を入れ、閉じてから引っ張ると籾が落ちて貯まるという仕掛けです。

100本の穂にこれだけ付いていました。もっとも全部の粒がちゃんと稔っている訳ではないので次に選別を行います。

比重を調整した塩化ナトリウム溶液、要は塩水に入れてよくかき混ぜ・・・・・

浮上籾(屑籾)と沈下籾(精籾)に分けます。(現場の農家さんも自家採種の場合は播種前にこの塩水選という作業を必ずやっているはずです。)

古新聞の上に広げて乾燥させ、それぞれを数えます。(精籾が7000〜8000台、屑籾が2000〜3000台あります。)

上が粒数計測器で左が500粒、右が100粒用です。これらを使ってもいいですが、慣れてくると5、10、15と山から除けながら数える方が実は早かったりします。
その後は紙封筒に入れて80℃にセットした乾燥機へ。(茎葉部なら2〜3日で十分ですが、とくに精籾は乾きにくいので念のため5日間乾かします。)籾重が水分含量に左右されないよう完全に乾かしてから測った重量(絶乾重)を水分15%に換算するためです。


で、秤量後の屑籾は即ゴミ箱行きですが、昨年まではもったいないと思いつつ精籾も捨てていました。(もちろん発芽力は失われており、種籾にはなりません。)それを折角だから食べてみようと思い立った次第。

精米機を通しました。もっとも普段と同じ強度(5段階目盛りの1)では素通り。乾燥で縮んでいるから当然ですが。最強の5でようやく搗けました。


割れこそ目に付くものの色は白米そのものです。もっとバキバキに砕けるかと思っていましたが意外と無事。硬かったからかな?

穂800本からこれだけの白米が得られました。これを炊飯器で調理するつもりですが、水加減が難しそう。というか、前日夜に仕込んでもちゃんと吸水してくれるのだろうか?
ちなみに脱穀前に加熱する米といえば海外には別ブログで紹介したパーボイルドライスがあります(こことかここにも解説が)。とはいえ、あちらが吸水後に蒸すというプロセスを経てデンプンがしっかり糊化(α化)しているのに対し、こちらの代物は単に脱水しただけですから全くの別物。どういう炊き上がりになるのか全く予想が付きません。それで試すのは土曜日にします。平日朝に失敗が判ったら悲惨ですが、休みの日ならリカバリーが利くので。
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