以前、母方の家族の「いとこ会」のことを紹介し、祖父母に始まる4代91名の親類の中に、同じ誕生日の人たちが、11組見つかることに対して、この確率は一体多いのかそうでないのかを疑問に感じて、計算したことがあった(2019.1.18 公開当ブログ)。
このことを最初に疑問に感じ、私に話してくれたのは、鹿児島県在住の従弟のHYさんであったが、私自身もかねて気になっていたことでもあった。
面倒な確率計算であったが、結果は約5%という数字になり、任意に集められた91名の集団から得られる数字と比較すると、家族という集団ならではの珍しい現象ではないかと思ったりしたのであった。
コロナ禍の影響を受けて、2019年以来休会になっていたこのいとこ会であるが、常任幹事役のASさんの働きで、昨年再開した。
ただ、この時連絡を受けた開催日は、すでに妻が計画してくれていた私の喜寿の祝宴の日程と重なっていたため、残念なことにいとこ会には参加することができなかった。
事後、ASさんからの報告には、祖母のなつかしい写真を生成AIで加工し、あたかも祖母がにこやかに語りかけ、いとこ会の開催を祝っているような動画が添付されていて驚かされたのであった。
その従弟のASさんから、6月下旬にグループLINEを通じて、鹿児島県在住の従弟HYさんのお孫さんの一人、中村美月ちゃんが日本一になり、福岡テレビで紹介されたとの知らせが届いた。
母がまだ健在だった2010年9月に、母と二人の妹と一緒に鹿児島に行き、HYさんの家族ほか、鹿児島在住の2人の従姉妹とその家族も一堂に会し、一緒に食事をしたことがあって、その時には、HYさんの娘さん夫婦も同席していたように思うが、今回の中村姓には覚えがなく、ましてやお孫さんの美月ちゃんとなると、そのころにはまだ生まれていなかったはずである。
第1報では、美月ちゃんがどのようなことで日本一になったのか、まだ情報がなく、早速妻と一緒にネット検索をして確かめてみた。
「中村美月、日本一」で検索してみると、3件の候補が見つかった。なんと同姓同名の該当者が3人もいるのである。
一人は1990年生まれのプロボウラーで準優勝経験者。もう一人は高校1年生の起業家で、2024年1月、日本政策金融公庫主催の「第11回ビジネスプラン・グランプリ」で505校5014プランの中からグランプリを受賞。そして、3人目が福岡市在住の小学4年生(10)で、日本武道館で2024年1月に開かれた第60回全日本書初め大展覧会で、最高位の内閣総理大臣賞に輝いたとある。
年齢からも出身地からも三番目の書初め日本一に違いないと確信し、ASさんからの続報を待った。すると2日後に、テレビで放送されたという番組を録画した映像がLINEで皆に届けられ、グループLINEは大いに盛り上がることとなった。
早速、鹿児島の従弟HYさんにお祝いのメールを送ったところ、次のような返事が届いた。美月さんのお母さんSさんが書道学科卒とは知らなかったが、いい環境で研鑽を積んだ結果が、今回の受賞に結び付いたといえるようである。
「・・・思いがけずASさんから(いとこ会のメンバーに)ビデオを送って貰ってありがたいです。
東京の日本武道館で表彰式が2月25日にありましたが、美月が最高の総理大臣賞を貰える事はもう無いだろうと思って夫婦二人一緒に行って来ました。
娘のSが福岡教育大学の書道学科を出ていまして、娘の指導が良かったのか、あるいは本人が好きで毎日頑張っているせいか、とにかく私達夫婦には似てない孫です。
1月5日に日本武道館であった書き初め展覧会に美月が参加したのは初めてで、最初は緊張で手が震え、家内の母親が持っていた文鎮で心が落ち着いたそうで無事課題二枚を書き上げたとの事でした。・・・」
ASさんからみんなに届いたテレビ番組「福岡くん」のビデオは約20分の長さで、タイトルは「10歳で日本一福岡在住の天才書道ガール美月ちゃん」とあり、今回の総理大臣賞受賞の内容ほか、美月ちゃんが小さいころから書道に取り組んできたいきさつや、書道の腕前をカメラの前で披露する様子が紹介されていて、とても微笑ましく頼もしいものであった。
ビデオからいくつかのシーンを紹介すると次のようである。
「早速福岡市某所の待ち合わせ場所で待っていると・・・こちらが噂の、日本一の天才キッズ中村美月ちゃん10歳。毎週欠かさず”福岡くん”を見てくれている大ファンです。
『美月ちゃんが何かの日本一という噂を聞いたのですが、それは本当ですか。』
『はい。、今年の1月に日本一になりました。』
美月ちゃんは一体何の日本一なのか、この日は新築のお家で練習中とのことで、僭越ながらお邪魔させていただく運びに。・・・
『ただいま~』
果たして美月ちゃんが日本一になったあることとは・・・正解は書道でした。
美月ちゃんは書道で日本一の天才少女とのことです。・・・
聞くと美月ちゃんは今年の1月、東京の日本武道館で開催された全日本書初め大展覧会という大会に出場、そしてその大会で最もすぐれた作品に贈られる内閣総理大臣賞を受賞、作品総数およそ1万5000点の中から、みごとナンバー1に輝いた天才小学生でした。
『小さい子から大人まで参加して書いて・・・』
『えっ・・・』
そう、なんと美月ちゃんは全国の小学生の中の日本一ではなくて、3歳の子供から82歳の超ベテランまで出場した大会で日本一になった超天才書道ガールなのです。・・・
そんな美月ちゃんが内閣総理大臣賞を受賞した作品がこちら・・・」
中村美月ちゃんの内閣総理大臣賞受賞作品と本人(テレビ番組”福岡くん”から)
「・・・自身の体と同じくらい大きな紙に力強く書かれた、文字通り美しい字に、とてもではないが10歳の女の子の作品と言われてもにわかには信じられません。
やはり10歳でこのうまさは、ガチで衝撃的なのです。
しかし、なぜ1万5000点の作品の中で、10歳の美月ちゃんが日本一の栄冠を勝ち取れたのか、その理由を美月ちゃんに聞いてみると、小学生とは思えない大人びた回答が・・・
『課題が良かった。”親しい友”っていうのを課題を書く前に練習していたので、”しい”が慣れていたのと、名前の美しいという字が入っているので、ちょうどいい課題だったのかなと思います。』
”美しい空”の4文字中3文字が書きなれた文字だったため、美月ちゃん的には運がよかったのだと言います。・・・
『運がよかったのですか?、美月ちゃんとしては。』
『はい、だからまだ実力はまだまだです・・・』
齢十歳にして驕りを見せないパーフェクトな受け答え、我々もお手本にすべき美しい心の持ち主なのだ・・・
そんな福岡が誇る天才書道ガール美月ちゃんが書いているところを見てみたいということで、せっかくなので福岡名物的なものを書いていただくことに。書いてもらうのはみんな大好きな”明太子”。
『書いたことあります?、明太子』
『ないです』
なんと美月ちゃんは初挑戦にもかかわらず、お手本なしで書き始めます。・・・
書道のことをあまり知らなくても、この時点でめちゃくちゃ上手いことが判る手さばき、・・・」
番組の要望で書いた「明太子」の文字(テレビ番組”福岡くん”から)
「さすが日本一の美月ちゃん、とにかくえげつなく上手い。パソコンのお手本と比較してみても、文句なしのパーフェクト・・・
『パソコンよりいいよ、ぜんぜん・・・』
しかし、一体なぜ初めて書く漢字をお手本なしでこんなに美しく書けてしまうのか。残念ながら書道ド素人の番組スタッフでは説明できない。そこで僭越ながら日本屈指の書道家と言われる方に解説していただくことに。お話しを伺うのは御年89歳の杭迫柏樹さん。・・・
そして、この杭迫さんは全国大会での審査をした際に、美月ちゃんの字を”完ぺき”と評したお方だそうです。
いわく、とにかくすごい美月ちゃんは10歳にして書道の基本である筆使いをほぼ完ぺきにマスターできているそうです。そしてその小学生ばなれした筆使いこそが美月ちゃんの真骨頂とのことです。・・・
ちなみに書道において、最も重要と言われる字がこの永遠の永の字。・・・そのためこの永の字をいかに上手に書けるかが書道においては超絶重要だそうです。そしてこの永の字はパソコンで作ったものではなく、美月ちゃんが実際に書いたものです・・・。」
美月ちゃんが書く「永」の字(テレビ番組”福岡くん”から)
そんな超絶すごい腕前の美月ちゃんなら、大人でも書くのが難しい字も書けるのか・・・にも挑戦してもらうことに。書いてもらうのは”薔薇”と”檸檬”。画数が多く字の構造も難しい代表的存在。今回の取材で初挑戦の超難題、果たして・・・
初めて書く漢字にも関わらず、持ち前の天才的な筆使いで、いとも簡単にクリア。・・・やはりめっちゃ上手い。」
美月ちゃんが書いた「薔薇」と「檸檬」(テレビ番組”福岡くん”から)
「・・・しかしそもそもなぜ美月ちゃんは10歳でこんなに美しい字が書けるのか、実はそこには10歳の小学生とは思えないような、とんでもない練習量と努力が・・・。
『小さいころから書道をやってきて、物心ついた時から筆握ってたんです。』
幼いころ、書道教室の先生をしているお母さんに口説かれ、気づけば、物心ついた時から筆を握っていたという美月ちゃん。3歳から本格的に書道を始めると、わずか5か月で賞を受賞するという天才ぶりを発揮、更に天才なうえに超がつくほどストイックな美月ちゃんは練習量もハンパないそうです。
『平日は帰ってきてから2時間くらいしかやらないんですけど、週末とかは大体5,6時間で、長い時は7時間8時間です。』
しかし毎日何時間も練習していたら書道が嫌になったりすることはないのだろうか。
『嫌になったことは、まあ何回かあるのですけれど、最高の1枚を仕上げたいことと、あと賞をもらえたら、表彰式とかで、書道の関係で知り合えるお友達とかにも会えるので、それで頑張ろうって思います。』
やさしい美月ちゃん。そんな美月ちゃんにずっと番組を愛してもらうため、そしてこれから先もみんなに楽しく見てもらうため、我々”福岡くん”が最も大切にしている番組訓を美月ちゃんに書いてもらうことに。
そう、”コンプラ徹底”。今のテレビに、そして福岡くん的にもそれこそすべてなのであります・・・」
美月ちゃんが書いた「コンプラ徹底」の文字(テレビ番組”福岡くん”から)
と、以上、我々親類縁者にもとても嬉しく誇らしい内容のテレビ放送でありました。
尚、美月ちゃんの弟環太君もお姉さんの後を追いかけて、書道に励んでいるとのことで、今年、第40回高円宮杯日本武道館書写書道大展覧会に出品し、大会奨励賞を受賞している。作品は次の通り。
美月ちゃんの弟環太君の第40回高円宮杯日本武道館書写書道大展覧会・大会奨励賞受賞作品(美月ちゃんのInstagramから)
いとこ会のASさんが作成してくれている4代の家系図を簡略化して示すと次のようである。ここでは私たち「いとこ」世代の次の世代までが示されているが、こうした家系図のさらに次の世代の中にとはいえ「日本一」の人材が含まれるようになるのは稀有なことで、冒頭の誕生日の確率の話とは異なる次元の問題だと思え、喜ばしい限りである。美月さん、そしてHYさんご一家の皆さん、おめでとうございます。
「いとこ会」の簡略化した家系図と中村美月さんの位置