9月下旬になり、エクリプス状態が終わり、繁殖期の美しい構造色の頭頸部と元の羽衣や明るい黄色の嘴を取り戻したマガモ♂であったが、撮影していてもう一羽別のマガモが混じっていることに気がついた。
そろそろ渡りの季節が始まり、いちはやくマガモ♀がやって来たのかと思ったのであったが、よく見るとこのマガモはくちばしの色から判断すると♂であり、エクリプスと判断された。
繁殖期の羽衣に戻ったマガモ♂(左 エクリプス①)とともに泳ぐ、新たに加わったマガモ♂(手前 エクリプス②)。右奥はカルガモ(2021.9.25 撮影)
雲場池に夏の間とどまっていたマガモ♂はすでに繁殖期の美しい羽衣に変っている。こちらをエクリプス①とすると、この新たに出現したマガモ♂はエクリプス②ということになる。
このエクリプス②は、北から渡ってきたのであろうか、それとも軽井沢周辺のどこかで夏季を過ごし、雲場池に移動してきたのであろうか。これら2羽のエクリプスは換羽の進み方にかなり違いがあるので、私にはエクリプス②こそが、北方で換羽し、軽井沢に飛来したばかりのもののように思えるのだが。
このエクリプス②を追ってみると、次のようである。この日は鳴き声をあげながらエクリプス①やカルガモの後を追うようにして泳いでいた。
雲場池に新たにやって来たエクリプス② (2021.9.25 撮影)
雲場池に新たにやって来たエクリプス② (2021.9.25 撮影)
雲場池に新たにやって来たエクリプス② (2021.9.25 撮影)
【9月30日】
先ずエクリプス①のその後の様子から。すっかり繁殖期の美しい羽衣に変わっている。呼び名だが、次の写真まではエクリプス①を用い、その後はエクリプス①では誤解を招く恐れがあるので、マガモ①と呼称を変更する。
エクリプス①のその後(2021.9.30 撮影)
エクリプス①のその後(2021.9.30 撮影)
エクリプス①のその後(2021.9.30 撮影)
次は、エクリプス②。9月25日との比較ではまだ変化がなく、羽衣は♀によく似た色と模様をしている。
エクリプス②(2021.9.30 撮影)
エクリプス②(2021.9.30 撮影)
エクリプス②(2021.9.30 撮影)
エクリプス②(2021.9.30 撮影)
エクリプス②(2021.9.30 撮影)
【10月3日】
前回から3日後、この日撮影したエクリプスは頭頸部に変化が起きていて、羽衣も急に変化したのかと思ったが、よく見るとエクリプス②とは別な個体であることが判った。
マガモの個体の識別は普通私には出来ないが、このエクリプスは嘴左横に黒点があることに気がついた。新たに加わったこの個体をエクリプス③と呼ぶことにした。
エクリプス③の頭部はまだら模様が目立ち、撮影条件によってはみすぼらしい状態に見える。この日エクリプス②の姿はなかった。
新たに加わったエクリプス③(2021.10.3 撮影)
エクリプス③(2021.10.3 撮影)
エクリプス③(2021.10.3 撮影)
エクリプス③(2021.10.3 撮影)
エクリプス③(2021.10.3 撮影)
エクリプス③(2021.10.3 撮影)
同日のマガモ①は次のようである。
繁殖期の羽衣に戻ったマガモ①(2021.10.3 撮影)
繁殖期の羽衣に戻ったマガモ①(2021.10.3 撮影)
繁殖期の羽衣に戻ったマガモ①(2021.10.3 撮影)
繁殖期の羽衣に戻ったマガモ①(2021.10.3 撮影)
【10月6日】
この日は再びエクリプス②が雲場池に姿を見せ、エクリプス③と同時に観察することができたので、2羽は間違いなく別個体であることが確認できた。また、この日マガモ♀の姿も見られ、本格的に渡りが始まったことが感じられた。
先ずマガモ①から。
すっかり繁殖の姿になったマガモ① (2021.10.6 撮影)
続いてエクリプス②。
遊歩道から伸びた木に興味を示すエクリプス② (2021.10.6 撮影)
羽をひろげるエクリプス② (2021.10.6 撮影)
エクリプス②(左)とマガモ①(2021.10.6 撮影)
紅葉の始まった雲場池のエクリプス② (2021.10.6 撮影)
次はエクリプス③。エクリプス②に比べると、羽衣も頭部も早めに繁殖期の姿に戻りつつあることが判る。
エクリプス③ (2021.10.6 撮影)
くちばしの左側に黒点の見えるエクリプス③ (2021.10.6 撮影)
次は姿を見せ始めたマガモ♀。
マガモ♀ (2021.10.6 撮影)
この後もしばらくは観察を続けたが、大きな変化がなかった。雲場池の紅葉も少しづつ進み、観光客の姿も増え始めた10月25日に、およそ1週間ぶりに出かけてみると、水鳥の数と種類が増えていた。
マガモは30羽ほどに増えていて、既に繁殖期の羽衣になっている♂も多いが、中にはエクリプスも混じっている。キンクロハジロも群れになって泳いでいた。また、久しぶりにオオバンの姿も見られた。
【10月25日】
雲場池に戻って来た多くのマガモ(2021.10.25 撮影)
雲場池に戻って来たマガモたち(2021.10.25 撮影)
繁殖期の羽衣をとりもどしたマガモ♂(2021.10.25 撮影)
紅葉の反映する雲場池を泳ぐマガモ♀(2021.10.25 撮影)
新たに飛来してきたマガモ♂エクリプス(2021.10.25 撮影)
マガモのペア(2021.10.25 撮影)
マガモ♂エクリプス(左)とマガモ♀(2021.10.25 撮影)
キンクロハジロの群れ(2021.10.25 撮影)
オオバン(2021.10.25 撮影)
この群れの中には見覚えのある、嘴に黒点のある個体が混じっていて、エクリプス③と確認された。
マガモ♂エクリプス③(手前)、マガモ♀(左)とマガモ♂(2021.10.25 撮影)
これまで、図鑑で見ていただけであり、一度実際に出会ってみたいものと思っていたマガモ♂のエクリプスに思いがけず出会うことができ、初夏から秋にかけての変化の様子もある程度観察できた。さらに、おそらくは北で換羽し、渡ってきたであろうマガモ♂のエクリプスも加わり、両者の換羽時期の違いを確認できた。
紅葉の時期を迎え、続いて多くのマガモや他のカモ類も戻ってきた。撮影した写真を見ると、これといった特徴のないエクリプス②は他のよく似たエクリプスに混じってしまい、判別がつかなくなったが、嘴左側に黒点のあるエクリプス③は特定できた。繁殖期の羽衣に戻るにはもう少し時間がかかりそうである。
エクリプスの観察はこれで終了する。