リタイアし、のんびりと余生を過ごせばいい身分になったはずであるが、現役時代に思い描いていたのとは違って、いまだにあくせくとしている。世の中の出来事が、これまで以上に気になるからだと思っている。
それにしても難しい話が多い。世界的な話題としては、やはり戦争のことが一番気がかりである。戦争は殺戮であって、人類の歴史はその戦争の歴史でもあるが、一方で人類が最も大切にしなければならないのは人の命であるはずである。
ヨーロッパでの出来事とは言え、日本も無関係ではいられず、西側と共にロシアへの制裁に日本も加わっている。
日本の問題では、難しい問題は拉致被害者についてだと思う。日本で拉致被害者の帰国を待ち望んでいた親世代は次々と亡くなり、今はもう最後の一人を残すまでになってしまったという厳しい現実がある。
トランプ氏がアメリカ大統領に就任してからは、ガザ地区で停戦が実現し、ロシアのウクライナ侵略についても停戦が実現しそうな空気が一時的にせよ流れている。
トランプ大統領とプーチン大統領が電話会談をして、トランプ氏は「長時間にわたる、とても生産的な電話会談を行った。まず、ロシアとウクライナの戦争が引き起こしている大勢の死を止めたいという考えで一致した」とSNSに投稿したと報じられている。
さて、先日2月24日で、ロシアによるウクライナ侵略開始から3年が経過した。当ブログでは2022年3月1日から、このウクライナ問題について、購読紙に日々掲載される記事の見出しだけを拾い集めて、2024年1月2日まで記録してきた。
いつか、ウクライナに平和が訪れ、避難していた人々が自宅に戻ることができたというニュースに接することができるだろうと思って、その日まで続けようと思っていたが、長引く戦争はついに3年を過ぎてしまった。
改めて、2022年2月24日から2月27日までの購読紙の記事を採録すると次のようである。
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2022年2月24日
・米大統領「侵攻の始まり」 ウクライナ ロシア制裁 欧日と 外相・首脳協議 中止に
・プーチン氏、軍事介入示唆
・ロシア 進軍どこまで 首都攻撃の可能性 報道も
・日本 米欧の対応を見極め
・首相と米国大使 広島訪問見送り ウクライナ情勢悪化で
・ウクライナ危機 ロシア、中南米と連携加速 対米交渉 有利に進める狙い 極超音速ミサイル
配備の恐れも
・「平和維持を曲解」 国連総長 ロシア軍派遣批判
・トランプ氏、「独立」承認評価 「プーチン、なんて賢いんだ」
・「状況 アフリカ史と重なる」 ケニア大使安保理演説 分割の経緯 引き合いに
・論考 制裁 これまでにない影響 駐ジョージア・駐カザフスタン元米大使
ウィリアム・コートニー氏
・在日ウクライナ人「戦争反対」 ロシア大使館近くで抗議
2022年2月25日
・露、ウクライナ侵攻 首都・主要都市攻撃 多方面から 40人以上死 米欧強く非難
・G7、追加制裁確認へ 首脳会議 日本政府きょう発表
・日米欧の結束 試される
・政府、邦人保護に注力 サイバー攻撃を警戒
・原油急騰 100ドル突破
・米制裁 効果未知数 「金融」・ハイテク規制へ 安保理、無力さ露呈 会合中に作戦、
欧州など即座に非難■中国 直接批判せず
・露、外交に見切り ウクライナ侵攻 対米欧「勢力圏」確保図る
・軍事介入繰り返す NATO接近を阻止
・【社説】ウクライナ侵攻 ロシアに暴挙の代償払わせよ 国連憲章踏みにじる重大な挑戦(読売)
・【社説】ロシアのウクライナ侵攻 秩序と民主を侵す暴挙だ(朝日)
・北方領土交渉 振り出し ウクライナ侵攻 露、包囲網に反発必至
・与野党 非難相次ぐ
・露、ウクライナ侵攻 破壊された平和(写真)
・プーチン大統領演説要旨
・バイデン大統領声明全文
・仲介外交 独仏頓挫 「説得力 過信」指摘も
・NATO「露、侵略選んだ」 緊急会合 東欧の防衛強化急ぐ
・軍事力 露が圧倒 予算10倍 最新兵器投入
・米政権に試練 制裁以外 打つ手乏しく
・ウクライナ徹底抗戦へ 大統領 戒厳令、露と断交
・分析 ウクライナ危機 露の軍事行動 止めるのは困難 ベルギー王立国際関係研究所
スベン・ビスコップ教授
・追加制裁 国内注視 大手3行など ロシア向け与信1兆円
・露侵攻 原油急騰 一時100ドル突破 供給停滞 高まる懸念
・ロシア株 一時50%安 追加制裁に警戒 国債売りも加速 リスク回避 円高進む
・日米、石油備蓄再放出を検討 他国との連携 視野
・船舶戦争保険 値上げへ 損保大手 ウクライナ周辺
・論点スペシャル 露のウクライナ侵攻 どう見る プーチン的世界観 背景 日本国際問題研究所
理事長 佐々江賢一郎氏、冷戦後秩序への挑戦 笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助氏
・日本から平和祈る 「戦争いらない」
・未明の街 爆撃音 露、ウクライナ侵攻 首都混乱 おびえる市民
・「欧州のパンかご」◆キエフ・バレエ団
・「プーチンのせいだ」 西部の街リビウ 押し寄せる避難者
・英「傍観せぬ」、仏「連帯を」
・偽情報発信 今後本格化か 日大危機管理部教授 小谷 賢氏
・欧米の制裁 脅威ではない ロシア・政治情報センター所長 アレクセイ・ムヒン氏
・別の形でも欧米に圧力 笹川平和財団主任研究員 畔蒜泰助氏
・バイデン・米大統領 「ロシアにさらなる代償を」
ゼレンスキー・ウクライナ大統領 「慌てないで 私たちは強い」
プーチン・ロシア大統領 「我が国 最強の核保有国」
・壊された日常(写真)
2022年2月26日
・露軍、キエフ到達 ウクライナ首都陥落危機 ミサイル攻撃も 政権早期転覆狙う
・警報 地下で息潜め リビウ
・対露ハイテク輸出規制 金融も 日米欧、追加制裁
・NATO、東欧増派協議 首脳会議
・経済安保 体制整備へ 法案 閣議決定 技術流出を防止
・貿易・金融 露に圧力 日米欧など追加制裁 実行性疑問の声も
・G7がプーチン非難 首脳声明
・駐日米大使 G7連携の必要性強調 「国際社会 侵攻支持せず」
・中国、東シナ海で上陸訓練 米けん制か 新型揚陸艇を展開 現地報道
・中国海警船4隻 尖閣領海に侵入
・露軍、首都を挟撃 ウクライナ侵攻 南部・北部も制圧地域拡大 戦力圧倒 短期決着図る
・【社説】ウクライナ侵略 原油高の悪影響を最小限に(読売)
・東アジア安保 影響懸念 ウクライナ侵攻 政府、中国と台湾 念頭
・「侵略しないための9条」 共産・志位氏に反論相次ぐ
・ウクライナ侵攻 日常 はぎ取られて(写真)
・バイデン大統領記者会見要旨
・NATO 増派で板挟み 東欧地域 露への刺激を懸念
・印首相「暴力即時停止」 電話会談 露大統領に要請
・避難民 隣国が支援 ウクライナ侵攻 わずかな荷物 徹夜で続々 ポーランド、食事・医療提供
・露60都市で侵攻抗議 1800人超拘束
・分析 ウクライナ危機 8年間の西側の支援「失敗」 英国立防衛安全保障研究所
ニック・レイノルズ リサーチアナリスト
・露の報復 製造業警戒 政府追加制裁 レアメタル輸入 滞る恐れ
・JT、ウクライナ工場停止 「キャメル」など製造
・ガソリン補助拡充へ 来月から1リットル最大25円
・欧州天然ガス 6割高 露からの供給不安拡大
・株500円超上げ
・日本郵便 荷物の引き受けを停止 ウクライナ宛て
・視点 ウクライナ危機 プーチン氏 無謀な賭け 露中心 秩序再構築狙う 名古屋外国語大学長
亀山郁夫氏
・IPC、露非難
・欧州CL決勝 露で開催せず フランスに変更
・首都 市民パニック ウクライナ侵攻 早朝に爆発音「絶望的」
2022年2月27日
・キエフ攻防 激化 ウクライナ 市街戦 民間にも被害 露軍、南部都市制圧
・停戦協議 調整難航か プーチン氏 揺さぶり 露ウクライナ
・空襲警戒 静まる夜 リビウ
・米欧、露大統領に制裁 異例の資産凍結 外相にも 「暴君の仲間入り」 「無能表す」露は反発
・対露経済制裁 日本も決定
・大国の横暴 安保理無力 中国は棄権
・安保理の決議 否決 侵攻非難 露が拒否権行使
・G7外相 対露協議へ オンライン
・首都死守へ抗戦 ゼレンスキー氏強気崩さず ウクライナ
・露侵攻作戦 遅滞か 包囲「政権自壊」待つ戦術も
・ウクライナに寄港中止へ 日本郵船
・解説 ウクライナ侵攻 NATO接近 露が警戒 クリミア奪還の動き 引き金 歴史や文化
「兄弟国家」、国際秩序打破 武力で挑んだ
・対露制裁 「決済網排除」賛否割れる 米英積極 資源依存 独など慎重
・NATO 東欧防衛強化
・ポーランドへ長い列 リビウ ガラリ緊迫
・分析 ウクライナ危機 中露接近 侵攻を後押し 米ハドソン研究所政治軍事分析センター
リチャード・ワイツ所長
・人影消え 響く銃声 ウクライナ 緊迫の首都 邦人記者語る 「状況 世界に伝えたい」
・日本各地で抗議集会
・ウクライナ侵攻 「安全圏」のはずが シェルター整備■献血に人殺到
・ロシアとNATO 深い溝の訳は
・非難決議案「提案国」異例の多さ
・国境付近 大量の地上部隊 キエフ制圧に向けた準備か(衛星写真)
・【社説】ウクライナ侵攻 撤兵求める国際圧力を(朝日)
・【社説】ウクライナ侵攻激化 市民の命 これ以上奪うな(信濃毎日)
・古都 響く警報 漂う不穏 ウクライナ11万人国外避難 西武リビウ「安全な場所なくなった」
・米欧、プーチン氏に制裁 国際決済 ロシア締め出し現実味 強硬論台頭
・ゼレンスキー氏「国を守る」首都離れず
・揺れる国際秩序 ウクライナ危機 視線の先に中国の動き 日本政府 制裁で欧米と歩調
・中国の軍事的圧力に直面 台湾への波及 議論が活発化
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続いて、3年が過ぎた今年2月24日から2月27日までの購読紙の見出しを見ると次のようである。
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2025年2月24日
・ウクライナ
侵略3年 見えぬ停戦 民間人1万2300人死亡
・侵略3年
兄が「父」に、抗戦 揺らぐ世論、対露貿易縮小、家族の苦悩・決意、戦闘の構図 変化、露の街 並ぶ墓碑、無人機産業 育成、制裁 欧州に誤算、選手らに深い傷、葬送の調べ 連日
・ウクライナ侵略3年
ヤルタ会談再現 露狙う
母亡くし兄が「父」
自由・平和 守る覚悟は 欧州総局長 尾関航也
・スキャナー
ウクライナ 侵略抗戦3年 揺らぐ世論 領土妥協容認 広がる
米露首脳会談 見通せず 露、制裁緩和要求か
・【社説】ウクライナ侵略
プーチン氏に勝利与えるのか 法の支配と主権平等の堅持を
・続く制裁 対露貿易縮小 日本へのLNG米が逆転 インフラ復興へ日本の技
・物価高のきっかけ
・ウクライナ侵略3年
「子供たち」の未来 守る 「お兄ちゃんは世界一」
変わる家族 苦悩と決意 幸せ 2人ならみえる 露の攻撃 右腕・視力失う
露側プロパガンダ 離れた心 クリミアの父と
国外避難 妻とすれ違い
アプリ活用 結婚促進
ウクライナで結婚が減り、離婚が増えている
・ウクライナ侵略3年
露西部 ウクライナ後退 参戦の北兵士 死傷4000人超か 人海戦術・東部で進軍
変化する戦闘の構図
露、核の使用要件緩和
・中国、和平交渉関与望む 欧ウクライナに接近も
・西武ニジニーノブゴロド露軍需の街 増える墓碑
前線いた兵士「早く停戦」
・戦後復興 米中対話の余地
中国社会科学院 ロシア東欧中央アジア研究所研究員 李勇慧氏
・キーウ:無人機産業 官民が一体 反攻へ育成
国内生産4000機➡400万機に 西側諸国への期待 低下
キーウ国際社会学研究所 アントン・フルシェツキー所長
・公正な和平 日欧協力を
EU・ポーランド駐日大使 共同寄稿
・英仏首脳 停戦巡り訪米へ トランプ氏と一致点探る
・トランプ大統領 支持率低下 官僚改革、物価高で反感
・対ロシア制裁 欧州の誤算
打撃受けず、天然ガス、原油高、停戦交渉
2025年2月25日
・拙速な停戦合意 懸念 ゼレンスキー氏 欧州首脳と連帯
・石破首相 ウクライナ関与 必要性強調
・ウクライナ侵略3年
停戦への道3⃣ 「安全の保証」大国が翻弄
「ブチャの魔女」奮い立つ 「人は2度殺されない」
涙 笑顔 積み重なり
活躍に感化 魔女に新顔 防空部隊 64歳も 夫を殺され 次こそ前線で
・米露交渉チーム 今週末会合 ウクライナ停戦向け サウジで開催か
・ドイツ政権交代へ 総選挙 中道右派第1党 強硬右派倍増
首相候補 対露強硬派 メルツ党首 長射程 供与前向き
・警察チーム1万人救助 22年結成 戦況悪化 ドネツク州で
・西側支援総額42兆円 米4割、今後は停滞可能性
米国1141.5臆ユーロ、ドイツ282.9、英国148.1、フランス142.9、日本105.3、
オランダ96.7、デンマーク91.8
・西部では投資活発 ジェトロ キーウ事務所 柴田 哲男 所長
・鉱物権益譲渡 米に不満 ゼレンスキー大統領 「安全の保証」要求
・米「紛争終結」決議案 ウクライナ侵略 露批判避ける 安保理
・深層NEWS 「トランプ氏は 相手に不信感」
2025年2月26日
・米、露撤退決議に反対 ウクライナ侵略 欧州と亀裂 国連総会
・ウクライナ侵略3年
停戦への道4⃣ 欧州安保 迫られる自立
兵士の遺体 続く検視 キーウ
激しい損傷 身元特定困難 それでも対面望む家族 医師は勧めず
・ウクライナ侵略
米露が接近 揺らぐ秩序 衝撃の反対票 「包囲網」に異変 「米国第一」
・トランプ氏 前政権方針と「決別」
・日本「現状変更」認めぬ構え
・機雷対処演習に海自参加 昨年9月、黒海で 米ウクライナ主催
・併合地 米と共同開発 プーチン氏 呼びかけ ウクライナ4州 鉱物資源
・「今年中に停戦」 駐日大使が期待 ウクライナ
・深層NEWS 「米欧の亀裂は深刻」
2025年2月27日
・米に鉱物権譲渡 合意へ ゼレンスキー氏28日訪米 協定署名見通し
欧米メディア報道
・米露外交団協議 トルコで27日に
・インフレ深刻・GDP減速予測 露経済 戦争依存ひずみ
・外国企業復帰に期待
・トランプ流 高圧的取引 鉱物権益譲渡 合意へ ゼレンスキー氏 妥協応じる
・平和維持部隊構想を議論 トランプ氏、プーチン氏と
・深層NEWS 協定「軍事的抑止」指摘
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米国のトランプ大統領とウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は2月28日、ホワイトハウスで会談した。ウクライナの鉱物資源を共同開発する協定の合意に向けて進むかに見えたが、会談の後半一気に雰囲気は変化してしまった。
きっかけは、バンス副大統領の発言であったが、これにゼレンスキー氏がかみつく形になった。
このやり取りはその後TVニュースで放映され、世界中に配信されたが、新聞紙上でも、主なやり取りとして、次のように紹介されている。
・バンス氏・・・平和と繁栄への道とは、外交に関与することだ。
・ゼレンスキー氏・・・2019年に仏独の首脳も交えてロシアと停戦で合意したが、破られた。
外交とは一体どういう意味か。
・バンス氏・・・あなたの国が破壊されるのを止めることだ。そのような訴えは失礼だ。
・ゼレンスキー氏・・・米国も問題を抱えている。(欧州との間に)海があり、今はわからないかもしれないが、将来感じることになる。
・トランプ氏・・・あなたは我々に指図する立場にない。あなたには切ることができるカード(切り札)を持っていない。
・ゼレンスキー氏・・・カードで遊んでいるわけではない。
・トランプ氏・・・遊んでいる。数百万人の命と第3次世界大戦を賭けたギャンブルをしている。
・トランプ氏・・・今すぐ停戦すれば、銃弾が飛び交うのは止まり、ウクライナの人々が殺されることもなくなる。
・ゼレンスキー氏・・・戦争を止めたいが、「安全の保証」とともにと言っている。
・トランプ氏・・・あなたが取引をするか、我々が手を引くかのどちらかだ。我々が手を引けば、ウクライナは戦い抜かなければならない。
この激しいやり取りの結果、ゼレンスキー氏は鉱物協定に署名せず、共同記者会見は中止され、アメリカを去ることになった。
欧州に戻ったゼレンスキー氏は、各国首脳に暖かく迎えられたようであり、ウクライナ情勢をめぐり、イギリス・ロンドンで2日、ヨーロッパの首脳らによる会合が開かれた。各国は、ウクライナとともに停戦計画を作成し、アメリカと再協議を進めることで合意した。
アメリカとの協議が再開されたとして、どのような合意に至るであろうか。鉱物資源に関する協定は、2国間で合意すれば済む話であるが、長期にわたるウクライナの安全の保証はロシア抜きには語れない。トランプ大統領と言えども簡単に約束できるものではない。
欧州は将来ウクライナのNATO加盟を認める方向であるが、ロシアは勿論のこと、アメリカも和平交渉を進めようとする今の段階ではロシア寄りの立場をとっていてNATO加盟反対の姿勢を貫いている。どのような合意の可能性があるのだろうか。トランプ大統領にこの難しい局面を解決する秘策があるのだろうか。