軽井沢からの通信ときどき3D

移住して10年目に入りました、ここでの生活と自然を写真と動画で発信しています

ミヤマカラスアゲハの孵化と羽化

2024-10-25 00:00:00 | 
 昨年の今頃、ミヤマカラスアゲハの卵だと思って孵化の様子を観察し、そのまま飼育し続けてきた幼虫が終齢になったところで、意外にもカラスアゲハであったことに気がついて驚かされたことがあった。

 この卵は自宅庭のキハダの葉に絡みついていたツル性の植物に産んであったもので、ミヤマカラスアゲハだと思い込んでいたのであった。

 今年もまた同じキハダの木に卵が産みつけられていて、数は昨年より多くなった。これは、すぐそばに植えているクサギが成長し、昨年より多くの花を咲かせ、たくさんのアゲハ類を呼び寄せたからに違いなかった。

 親チョウが産卵するところを目撃したわけではないので、これらの卵がミヤマカラスアゲハのものか、昨年のようにカラスアゲハのものかは幼虫が成長してみないと判らない。今年は全部で9個の卵と6匹の幼虫を見つけ、採集して室内で観察・飼育した。

 9月20日のブログでその途中経過を書いたが、結果、終齢まで飼育して判ったことであるが、これらはすべてミヤマカラスアゲハであった。

 採集した時の卵の外観は異なっていて、まだ全体に白っぽく黒点が見えるものと、全体が黒ずんでいて、中の幼虫の頭部らしいものが確認できるものとがあった。

キハダの葉裏で見つけたミヤマカラスアゲハの卵 1/2(2024.9.4, 14:54 撮影)


キハダの葉裏で見つけたミヤマカラスアゲハの卵 2/2(2024.9.4, 19:10 撮影)

 昨年カラスアゲハの卵を孵化させた時の経験から、このように黒くなっているのもはすぐにも孵化すると判断して、早速撮影に入った。

 ミヤマカラスアゲハの卵からの孵化の様子を観察・撮影したのは今回が初めてであるが、次のようである。最初の映像は30倍タイムラプスで撮影したもので、後半はキハダの葉が乾燥したために撮影中に動いて、幼虫の姿が画面からはみ出してしまったが、孵化後の幼虫が卵の殻を食べてしまう様子が撮影できた。

 
ミヤマカラスアゲハの孵化① (2024.9.4, 23:56 ~ 9.5, 6:19 30倍タイムラプス撮影後編集)

 次は、別の卵が孵化する様子を実時間で撮影した映像で、前後部分は30倍タイムラプスで撮影したものを編集してつなぎ合わせたもの。この個体も孵化後卵の殻をきれいに食べてしまった。

 
ミヤマカラスアゲハの孵化② (2024.9.5, 8:55 ~ 9.5, 10:28 通常撮影と30倍タイムラプス撮影後編集)

 例年であれば、これらの幼虫が脱皮して齢を重ねていくところをビデオ撮影するのであるが、今年はいつものような気力がなく、漫然と飼育してしまった。そして、幼虫が次々と終齢になるのを見届け、前述の通りすべての幼虫がミヤマカラスアゲハであることを確認した。

 最初に終齢になった個体の外観は次のようであった。





ミヤマカラスアゲハの終齢幼虫(2024.9.19 撮影)

 上の写真の個体は頭部のまだら模様の色が特に濃いようであるが、ほぼ同じ時期に終齢になった他の個体を見るとこの部分の濃さの違っているものもいる。

同じ頃に終齢になった3匹のミヤマカラスアゲハ(2024.9.19 撮影)

 この3匹の内、早いものは飼育ケースの壁面で9月26日に前蛹になり、翌々日には蛹になった。

ミヤマカラスアゲハの前蛹(2024.9.26 撮影)

 幼虫が脱皮するところを逐次確認できたのではないので、成長の記録としては不完全であるが、飼育結果は次のようであり、 最終的に蛹が6匹得られた。これは、これまで何種類かのチョウの幼虫の飼育を行ってきた中でも、無事蛹になった割合は低い結果であった。

 卵から蛹になったもの・・・・・・・3
 卵から孵化後幼虫が死んだもの・・・3
 卵が孵化しなかったもの・・・・・・3
 幼虫採集後蛹になったもの・・・・・3
 幼虫採集後死んだもの・・・・・・・3

 来春までの長い眠りについたと思い、蛹化後も、そのまま室内に置いておいたところ、中の1匹が、10月14日にまさかの羽化をして、ケースの中で羽ばたいているのを見つけた。美しい♀のミヤマカラスアゲハであった。 

 軽井沢の外気温はすでに低くなってきていて、季節外れの羽化で、放したとしても仲間と巡り合うこともないだろうと思い、羽化した成虫と、残りの蛹とを屋外のケージに移し、成虫には咲き残っていたクサギの花を与えそのまま飼育していたところ、9日後10月23日には更にもう1頭が羽化した。傍らの2匹の蛹もやや黒く変化していて、羽化が迫っていると感じさせた。

 3匹目の蛹は順調に見えたが、直前で羽化が止まってしまった。4匹目は3匹目を追い越して先に無事羽化し、またも♀が誕生した。そして、3匹目がようやく羽化したが、翅が伸びないまま固まってしまった。

室内の飼育ケース内で最初に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.14 撮影)


屋外の飼育ケージで2番目に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.23 撮影)


直前に室内に取り込み3番目に羽化したミヤマカラスアゲハ♀(2024.10.24 撮影)

 これまでにもミヤマカラスアゲハの終齢幼虫を小諸のMさんから頂いて蛹化させたり、カラスアゲハの卵を庭で採集して蛹になるまで育てたことがあったが、これらの蛹はすべて冬を越して翌年春に羽化していった。

 今回も夏型の成虫が産んだ卵や幼虫を採集して蛹化させたので、ほぼ同じ条件と思われたのであったが、どうした訳か今回のミヤマカラスアゲハはすでに6匹の蛹のうち3匹が羽化して成虫になり、1匹は羽化途中で成長が止まってしまい、ようやく蛹の殻から抜け出したものの翅は伸びないままであった。いったい今回は何が起きたのだろうかと思っている。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アサギマダラの孵化とイケマ

2024-10-11 00:00:00 | 
 昨年、小諸のMさんからアサギマダラの幼虫を分けていただき、飼育して最終的に羽化するところまでを撮影・記録することができた。この時、来年はぜひ卵から孵化するところも観察・撮影したい旨Mさんに話していた。

 今年、ミヤマシジミの観察にMさんのバタフライガーデンを訪問した時、Mさんは前年の私の話を覚えていて、アサギマダラの卵を探しに行きましょうと誘っていただいた。

 昨年、アサギマダラの幼虫を飼育をする際に、食草のイケマの生育場所を教えていただいていて、今回はまずその場所に向かった。イケマはたくさん見つかり、ひとつひとつ葉を裏返してアサギマダラの卵を探して歩いたが、ここでは見つけることができなかった。

 そこで、別の場所に移動し、イケマを探し出して、同じように丹念に葉裏を見てあるいたところ、Mさんが1卵を見つけた。その後、さらに場所を変えて随分多くのイケマを見て歩いたが、結局この日は先にMさんが見つけた1卵だけで、私は全く見つけることができなかった。

 これは、時期がまだ少し早かったからかな・・・とはMさんの話である。この1卵を受け取り、自宅に持ち帰り観察・撮影が始まった。食草のイケマは昨年数株を堀取って持ち帰り、鉢植えにしてあって、それが今年春になり芽を出していて、葉も出始めていたので餌の確保は問題なさそうであった。

 採集した卵は次のようであり、透明感のある白い砲弾型で、縦に筋が見られる。

イケマの葉裏に産み付けられたアサギマダラの卵(2024.6.14, 18時、採集後撮影)

採集翌日のアサギマダラの卵(2024.6.15, am 5時 撮影)

 翌日早朝時点では変化がなかったが、夕方には黒化し、中で幼虫の動きも感じられるようになった。そのまま撮影を続けると、夜に孵化が始まった。次のようである。


黒く変化し、中で動きが感じられるようになる(2024.6.15, 21:53 撮影)

 
アサギマダラの孵化(2024.6.15, 21:57 ~ 22:04)

 幼虫が卵の殻を食べてしまうかどうかを見ていたが、その様子はなく、孵化後は何も食べずに過ごし、約7時間後に卵のあった場所近くのイケマの葉の表面を齧るようにして食べ始めた。

卵の殻のすぐそばでイケマの葉を齧る1齢幼虫(2024.6.16, am4:45 撮影)

 孵化後約1日経つと幼虫には特有の模様も見え始め、イケマの食痕も大きくなった。


アサギマダラの1齢幼虫とイケマの葉にあいた食痕(2024.6.16, pm23時 撮影)

 1齢幼虫は順調に育っているように見え、孵化直後には白灰色であったものが、次第に特有の縞模様も濃くなり、やがて2齢への脱皮の時期を迎えた。

 脱皮も順調に見えたが、脱皮し終わった直後幼虫に異変が起きた。残念なことに、今年の飼育は2齢になったところで終わってしまった。

 この頃、小諸のMさんから電話があり、我が家近くに来ているのだという。理由を聞くと、近くのT小学校の理科担当の女性教師からアサギマダラの幼虫を飼育しているが、食草のイケマが足りなくなってきたので、協力してほしいと人づてに依頼され、山に行ってイケマを採集して持参したところであった。

 この日、私は仕事もあり同行できなかったが、この話を聞いて、自治会で一緒に仕事をしていて、小学校の放課後の生徒の見守りをしているH女史にこのことを伝え、我が家にもイケマの鉢植えがあるのでよかったら提供しますと、その女性教師を探して伝えてもらった。お名前はT先生だと教えていただいた。

 さっそく翌日になって、そのT先生から電話連絡があり、今は餌のイケマは足りているが、そのうち校庭の一角にチョウの飼育のためのコーナーを作るので、その時に改めてお願しますということであった。

 その電話がかかってきたのは、9月下旬であった。校庭の準備ができたので、イケマを届けてもらえないか、子供たちがお手紙を用意して待っています・・とのことである。我が家の鉢植えのイケマは葉の色がやや黄ばんできてはいるが、まだ元気な様子である。早速日程を打ち合わせて届けることになった。

 小学校の昼休みが過ぎたころ、車にイケマの鉢植えを載せ、妻と小学校に向かった。駐車場に車を停めて校舎の入り口に向かうと、ちょうど中から一人の若い先生が出てきて私の名前を確認した。T先生であった。

 私が車にイケマの鉢植えを取りに行って戻ってくると、二人の女子生徒が先生と一緒に待っていて、アサギマダラの飼育担当だと挨拶をしてくれて、用意してあった手紙を手渡された。授業を抜けてきたとのことで、すぐに先生も生徒たちとも別れたが、私たちからは、妻の用意したチョウの形に切り抜いた色紙や、我が家のブッドレアにやってきたアサギマダラの成虫の写真と、幼虫から飼育した時に撮影した蛹の写真を絵葉書にしたものをプレゼントした。

 家に帰って女子生徒から受け取った手紙を読んだが、「ぶじにイケマとアサギマダラが育ったら見に来てくれるとこうえいです。」とある。来年、アサギマダラが、このイケマに産卵のために飛来することを楽しみに待ちたい。当地の小学生にチョウなど昆虫好きの生徒がいることも判り、嬉しく思ったのであった。


 2人の女子生徒からの手紙

 

 

 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブッドレアとクサギ

2024-09-20 00:00:00 | 
 もともと蝶好きのわれわれ夫婦であるが、軽井沢に移住してから自宅庭にもチョウを呼び寄せたいと考え、ブッドレアの苗を購入して植えた。

 2年ほどして、花が咲くようになるとすぐにいろいろなチョウが吸蜜にやってくるようになった。代表格はタテハチョウとヒョウモンチョウの仲間である。

 これらのチョウについては、順次「庭に来たチョウ」として当ブログで紹介してきたが、これまでに30種類ほどに達した。

 ところで、日本のチョウの中でも特に美しさで際立っている種のひとつがミヤマカラスアゲハだと思うが、軽井沢には比較的多く生息していて、初夏と盛夏の頃に2回発生する。

 我が家のブッドレアにもまれにやってくるが、夏型は8月になると、ちょうどこの頃、山野に咲くクサギの花によく集まってくるのを見かける。ミヤマカラスアゲハのほかに、カラスアゲハやオナガアゲハ、クロアゲハなどもこのクサギの花の常連である。

 以前から、南軽井沢の別荘地近くの林地にこのクサギの樹があることに気がついていて、花の咲く季節になると仕事に出かける前の早朝、アゲハ類の撮影に出かけていた。しかし、私有地の中にあったため、ある年行ってみると切り倒されてしまっていた。

 ほかにクサギの樹はないかと随分探してみたが、周辺地には見つけることができなかったので、それでは自宅庭に植えようということになった。クサギは名前通り臭いを嫌う人もいるようで、庭木として見かけることは少ない。しかし、その集蝶力から、信濃追分にあるTさんのバタフライガーデンにも、小諸のMさんのバタフライガーデンにも植えられている。

 我が家では、ミヤマカラスアゲハが来てくれることを優先したので、臭いのことは気にしないで、3年前に苗を3本買って植えた。成長は早く、植えて2年目の昨年は2mほどに成長して、少しながら花を咲かせた。その花を目指して早速ミヤマカラスアゲハとカラスアゲハが吸蜜に来るようになった。

 クサギのすぐそばに、キハダも植えていて、昨年はこのキハダにカラスアゲハが産卵するところを妻が偶然目撃したので、その卵を2個採集して蛹になるまで育てたが、その記録は当ブログで紹介している。

 クサギは今年さらに成長し、樹高3m以上になり、花芽もおどろくほどたくさんついた。そして、花が咲き始めた8月上旬、はじめてミヤマカラスアゲハが吸蜜に来ているところを見ることができた。


クサギの花に吸蜜に訪れたミヤマカラスアゲハ♂(2024.8.10 スマホで撮影)


夢中になってクサギで吸蜜するミヤマカラスアゲハ♂(2024.8.10 スマホで撮影)

 この数日前から、旧軽井沢銀座にあるショップの前の道路を悠々と飛ぶカラスアゲハかミヤマカラスアゲハの姿を目撃していたし、この日の朝の雲場池散歩でも同じように目撃していたので、そろそろ我が家のクサギにもやってくるのではと思っていた矢先、期待に違わず、朝仕事に出かけようと庭に出たところに、ちょうど飛来した。

 しばらく様子を伺うように、私の頭すれすれに飛んでみたり、手にも止まりそうなところまで近づいてきたりしたが、やがて咲き始めたクサギの花穂に止まり蜜を吸い始めた。こうなると、もう私が手持ちのスマホを近づけて撮影しても驚いて飛び去ることもなくなる。数枚の写真を撮影してから、やや後ろ髪をひかれる思いでショップに出かけた。

 クサギの花はゆっくりと開花していて、咲きはじめから満開になるまで、かなりの日数を要するようである。以前山地で見ていた時には、ミヤマカラスアゲハを見るのはお盆の頃がピークであったが、我が家のクサギに集まるミヤマカラスアゲハはそれよりも遅く、8月10日に見て以来なかなか姿を見せず、その間にカラスアゲハ、オナガアゲハ、クロアゲハを見るようになった。


ブッドレアで吸蜜するオナガアゲハ♀ 1/2(2024.8.10 撮影)


ブッドレアで吸蜜するオナガアゲハ♀ 2/2(2024.9.3 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 1/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 2/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 3/4(2024.8.23 撮影)

クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♀ 4/4(2024.8.23 撮影)


クサギの花に吸蜜に訪れたオナガアゲハ♂(2024.9.3 撮影)

ブッドレアで吸蜜するクロアゲハ♀(2024.9.1 撮影)

クサギの花で吸蜜するクロアゲハ♀ 1/2(2024.9.1 撮影)

クサギの花で吸蜜するクロアゲハ♀ 2/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアに来た翅がかなり傷んだミヤマカラスアゲハ♀ 1/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアに来た翅がかなり傷んだミヤマカラスアゲハ♀ 2/2(2024.9.1 撮影)

ブッドレアで吸蜜するカラスアゲハ♂ 1/2(2024.9.4 撮影)

ブッドレアで吸蜜するカラスアゲハ♂ 2/2(2024.9.4 撮影)

吸蜜の合間にモミの樹で休息するカラスアゲハ♂ (2024.9.4 撮影)

 9月に入り、ふたたびミヤマカラスアゲハが来るようになり、♀の姿も見かけるようになった。昨年は、♀チョウがキハダの枝先に産卵しているところを妻が目撃したので、容易に卵を採集できたが、今年はまだそうした機会もなかった。しかし、ミヤマカラスアゲハの♀が近くまで来ているので、どこかに卵を産んでいるのではないかとの期待もあり、キハダの枝先を丹念にみていくと4個卵を見つけることができた。

 昨年、卵を採集して室内で育てたものは蛹になり、さらに今年の春、無事羽化させることができたが、キハダの葉で幼虫(多分2齢)になっているところを見つけ、採集して育てたものは、すでに寄生バチに卵を産み付けられていたらしく、蛹にはなったものの、今年春には羽化することなく、蛹の殻に丸い穴をあけてハチが出てきた。

 こうした経験があったので、できるだけ卵を見つけるとすぐに採集し、室内で育てるようにしている。それでも見落としがあり、幼虫になっているものを見つけることもあるが、見つけ次第飼育ケースに移している。


採集した卵から孵化する様子(上から 2024.9.5, 9:03, 9:06, 9:09, 9:12 撮影動画からのキャプチャー画像 )


卵を採集し孵化させた幼虫(孵化直後 2024.9.14 撮影)


卵を採集し孵化させた幼虫(孵化後10日目 2024.9.14 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 A(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 B(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 C(2024.9.11 撮影)

キハダの葉上にいた幼虫 A(右)とC(2024.9.11 撮影)

 今年はまだ、♀チョウが産卵しているところを見ているわけではないので、得た卵や幼虫がミヤマカラスアゲハのものか、カラスアゲハのものかは判らない。昨年カラスアゲハを育てているので、今年はぜひミヤマカラスアゲハを飼育したいものと思っているが、卵はもちろんのこと、幼虫をみても2種のどちらか区別がつかないでいる。今、早いものは4齢になっているが、終齢になってみないと私には判定がつかない。その後も次々と卵や幼虫が見つかっていているが、ぜひこの中にミヤマカラスアゲハがいて欲しいものと思いながら飼育を続けているところである。
 
 

 




 





 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

庭に来たチョウ(30)メスアカミドリシジミ

2024-09-13 00:00:00 | 
 久々にゼフィルスが我が家の庭にやってきた。夕方、帰宅時にブッドレアの花の上を活発に飛び回っている1個体を目撃し、目で後を追っていると、傍らのカツラの枝先に止まり動かなくなった。カメラを取りに2階に行って戻ってきてもまだそのままじっと止まっていたので、撮影することができた。
 高い場所に止まっていて、翅裏しか写すことができなかったが、図鑑で調べてみて、メスアカミドリシジミだろうと判定した。

 いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)には次のように紹介されている。

 「日本全土に産するがいずれの地にも多産せず、近縁種の雌は多く翅裏の黒褐色なO型のものが多いが、本種の雌は他種のB型に類する翅端の橙色紋が大型で色もあざやかで、その雌の翅紋に因る名が、和名として、定められている。しかしこの美しい翅紋も近畿以西のものは暖地に向かって次第に小さくなり、中にはほとんど消失して名に反するものもあるが、それとは逆に中部以北は次第に橙色紋が大きく、北海道に産するもののごときは前翅のなかばにも拡大しすばらしい。
 本種の特徴は前翅雌雄とも裏面中室に現れる『短帯は明らかな白線でくまどられる』ことである。・・・
 従来コナラ・カシワと推定されていた食樹はエゾザクラ・オオヤマザクラなどであることが知られ、発芽の早いサクラによって本種が他のゼフィルスにさきがけ6月末から7月中旬に現れることもうなずける。・・・
 北海道では平地・山地、いずれも広く産し、関東・中部では山地各所に、近畿では滋賀・京都の山地にまれながら産するが、大阪府下には未だ発見されたことを聞かない。・・・」
 
 種の同定にはこの解説に示されている裏面中室に見られる短帯の形状とそのくまどりを参考にしたが、これはアイノミドリシジミとよく似ているので、翅裏だけでは迷うところである。



自宅庭に来たメスアカミドリシジミ 1/2(2024.8.10 撮影)


自宅庭に来たメスアカミドリシジミ 2/2(2024.8.10 撮影)

 今年は、もう1度このメスアカミドリシジミを見ている。小諸のMさんのバタフライガーデンを訪ねた時で、ガーデンから少し離れた場所にある、やはりMさんの畑地に案内されたときである。ここにはチョウの食樹となる数種類の木が植えられているが、この日はスミナガシの幼虫がいるというアワブキの木を見に行った。

 この時、近くの大きな木の枝先にチョウがいると妻に教えられて、超望遠レンズ越しに眺めてみると、ゼフィルスらしい姿が認められた。撮影した画像を帰宅後確認して、メスアカミドリシジミではないかと判定したのであった。
 
小諸のMさんの畑で見たメスアカミドリシジミ1 /2(2024.6.19 撮影)

小諸のMさんの畑で見たメスアカミドリシジミ2 /2(2024.6.19 撮影)

 メスアカミドリシジミを初めて見たのは弘前にアカシジミの大発生を見に行った時で、この時は渓流に架かる橋の上から見下ろす形で枝先に止まって、テリトリーを張る数種類のゼフィルスを見ることができた。

 翅表を撮影することができたので、その内の1頭が、その太い後翅の外縁黒帯からメスアカミドリシジミと判定できた。

弘前の山間地の渓流で撮影したメスアカミドリシジミ♂(2013.7.6 撮影)

 義父のコレクションにもメスアカミドリシジミが含まれている。よく似たアイノミドリシジミ、ミドリシジミと比べてみると次のようである。

標本写真(上から ミドリシジミ、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミの♂)


同上裏(上から ミドリシジミ、アイノミドリシジミ、メスアカミドリシジミの♂)





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

庭に来たチョウ(29)カラスアゲハ

2024-08-16 00:00:00 | 
 2020年11月以来久々の「庭に来たチョウ」の紹介。今回はカラスアゲハ。 

 いつもの「原色日本蝶類図鑑」(1964年 保育社発行)には次のように紹介されている。

 「東部アジア全域に棲息するこの蝶の、本土内においての分布は、『キアゲハ』ときわめて酷似している。北海道の寒冷高地に現われ、沖縄から台湾に及び、亜熱帯にも棲息するが、温暖な地方や平地には少ない。
 本種はこの種の『あげはちょう』の中で最も華麗な『ミヤマカラスアゲハ』と、青緑鱗の美しさも発生の場所や季節も似ているので、両種の判別は時に困難であるが、やや顕著な特徴は本種後翅裏面の外縁に添う白帯が現れない。・・・
 8月半ばから現れる夏型は、形も大きく路上に群がって吸水するものや、小暗い樹間の『蝶道』を行き返るものや、好んでクサギの花上に飛来するさまは壮観である。・・・
 産卵はコクサギ・キハダに多く、カラタチ・サンショウにも幼虫は見いだされる。
 雌雄はきわめて顕著な相違を認められるが、特に雄は『あげはちょう』の雄共通の特徴として、前翅の発香鱗(ビロード状長毛)によっても更に明らかである。」

 上記の記述にも見られるように、カラスアゲハはミヤマカラスアゲハと、とてもよく似ており、判定に迷うことがしばしばである。

 表・前翅の外縁部の帯が広く、上に向かって広がっていることと、裏・前翅の黄白帯も同様に幅広く上に向かって広がっているところが、カラスアゲハの特徴とされる。

 裏・後翅の黄白帯がミヤマカラスアゲハには現われるが、カラスアゲハには見られないことも、私は判定に迷った時に用いている。ただ、春型では明瞭とされるが、夏型では不明瞭になったり、時にないこともあるというので、注意を要する。

 軽井沢でも両者を見ることができるが、ややミヤマカラスアゲハの方が多いようである。

 これまで、庭のブッドレアの花に吸蜜に来たところを撮影しているが、頻度はそれほど多くなく、数回にとどまっている。

 昨年からクサギの花が庭で咲き始めたこともあり、さっそくカラスアゲハやミヤマカラスアゲハが吸蜜に来るようになった。その際、すぐ横に植えているキハダに産卵するところを妻が目撃したので、ミヤマカラスアゲハだと思い込み、室内に取り込んで育て、観察・撮影した。ところが、幼虫が成長してしばらくして、カラスアゲハだったと気が付いたことがあった(2023.10.13 公開当ブログ)。

 このカラスアゲハの成長記録はすでに当ブログで数回にわたって紹介しているが、今年春、無事2頭の♂が羽化し飛び立っていった(2024.5.31 公開当ブログ)。

 庭のクサギは今年はさらにたくさんの花をつけている。本種やミヤマカラスアゲハなどアゲハの仲間の大好物の花なので、これからどれくらいの数のチョウが吸蜜に訪れるか、楽しみにしている。

 以下、庭のブッドレアに来たもの、山地のクサギに来ていたもの、雲場池の遊歩道脇のアザミの花に来ていたものを紹介する。

 義父のコレクションを見ると、ミヤマカラスアゲハが圧倒的に多く、カラスアゲハは意外に少ないのであるが、これは特に義父がミヤマカラスアゲハ好きだったことによるものかと思う。

ブッドレアの花に吸蜜に来た前・後翅共に激しく傷んでいるカラスアゲハ♂(2017.8.12 撮影)

ブッドレアの花に吸蜜に来た前・後翅共に激しく傷んでいるカラスアゲハ♂(2017.8.12 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♀(2016.8.8 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♂(2016.8.8 撮影)

クサギの花で吸蜜するカラスアゲハ♂(2016.8.8 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)

アザミの花に訪れたカラスアゲハ♀(2023.9.12 撮影)


キハダに産卵した卵から飼育し羽化させたカラスアゲハ♂(2024.5.13 撮影)

カラスアゲハ春型♂(2024.5.14 撮影)


カラスアゲハ春型♂(2024.5.14 撮影)

庭に咲き始めたクサギ(2024.8.15 撮影)

 義父の蝶コレクションには次のようなカラスアゲハの標本が含まれているので紹介させていただいて本稿を終わる。


義父のコレクション・カラスアゲハ♂
(上から 1977.5.5/オニシ、1977.5.21/ナガトロ、1974.8.15/イシガキ )


同上・裏面

カラスアゲハのペア(上♂ 1975.8.24/アカギ、下♀ 1975.8.24/アカギ)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする