すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 20/21】南野、ローテーション入りか?

2020-12-24 07:20:00 | イングランド・プレミアリーグ
クロップは南野を認めている

 クロップの南野拓実に対する信認は相当に厚いようだ。

 なんせリバプールの3トップは、泣く子も黙るサラー、マネ、フィルミーノだ。どこにも付け入るスキがない。で、南野はインサイドハーフで試され始めて一定の結果を出した。これでインサイドハーフ確定か? と思いきや……。

 現地時間19日、プレミアリーグ第14節クリスタル・パレス戦に、南野はサラーにかわり3トップの一角として先発出場。7-0の完勝劇の狼煙を上げる先制点を叩き出した。

 ラ・リーガのビジャレアルで戦力外か? と噂される久保とは対照的に、監督の信認が相当厚いんだなと思い知らされる。クロップはいいヤツだしなぁ。

南野はトランジションの申し子だ

 とはいえ南野はお情けで厚遇されてるわけじゃない。南野はクロップがめざすサッカーに非常に近い選手なのだ。

 ストーミングで知られるFCレッドブル・ザルツブルクで過ごした南野は、トランジションの申し子のような選手である。

 ボールを失っても、絶対に足を止めない。素早いネガティブ・トランジションからカウンタープレスをかけ、ボールの即時奪回からショートカウンターをめざす。むろんポジティブ・トランジションの局面でも、足を止めずに素早いポジショニングやドリブルから攻撃の起点になる。

 南野はこんなクロップがよだれを垂らしそうな「リバプールらしい」スタイルをもとからレッドブル・ザルツブルクで身につけているのだ。

リバプールとRBグループはスタイルが近い

 実際、ゲームモデルがリバプールに近い「RBグループ」とリバプールの縁は深い。

 南野の「先輩」であるリバプールのFWサディオ・マネも、もともとはレッドブル・ザルツブルクの選手だった。また同様にリバプールの先輩MFナビ・ケイタも、レッドブル・ザルツブルクとRBライプツィヒでプレイしていた。

 これは何も人脈のお話ではない。似たサッカーをしているRBグループにいる選手なら、(わかりやすく大げさに言えば)クロップが何も指示しなくてもすぐリバプールでプレイできるわけだ。

 自分のプレイスタイルやゲームモデルが近いチームに移籍すると、いかに有利か。おまけにクロップはいいヤツだし(またそれかい)。

 チームと監督に恵まれた南野を見ていると、つくづく久保との対比が残酷なまでに目立ってしまう。久保も自分に合ったチームに移籍し、がんばってほしいものだ。

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【プレミアリーグ 19/20 第5節】ノリッジのコレクティブ・カウンターが炸裂する ~ノリッジ 3-2 マンチェスターC

2019-09-16 08:40:32 | イングランド・プレミアリーグ
シティは圧倒的に押し込むが……

 立ち上がりからマンチェスター・シティは圧倒的なポゼッションで、昇格組のノリッジを自陣に押し込んだ。だがいつもと違いスムーズにボールを運べない。

 これでひとたびシティがボールを失うと、前線に次から次へと人が湧き出してくるノリッジのコレクティブ・カウンターが炸裂。3発を叩き込んで王者シティを粉砕した。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、オタメンディ、ジンチェンコ。

 またこの日のアンカーはロドリ。インサイドMFは右がギュンドアン、左がダビド・シルバ。3トップは右からベルナルド・シウバ、アグエロ、スターリングだ。

プレスを受けシティのパスワークが各駅停車に

 シティのビルドアップは左SBのジンチェンコと右SBのウォーカーが、アンカーのロドリの高さまで1列上がって内に絞り、偽SB化して2-3-5で攻める。これでインサイドMFがサイドに開いて内側にスペースを作り、そのスペースにSBがインナーラップしハーフスペースを使う形だ。

 ところがこの日のシティはボールの運びがスムーズじゃない。いつもの縦への速さがない。シティは通常2タッチ以内で流れるようにパスをつなぐが、この日はシティのボールホルダーがマーカーと正対してたっぷり3秒間、考え込んだりしている。

 で、あげくノリッジのプレッシングを受けてひんぱんにバックパスしているのだ。こんな各駅停車のシティは見たことがない。この形でシティは、ノリッジ陣内でボールを失ってはカウンターを食らうことになった。

アグレッシブなノリッジは前へ前へと真っ向勝負

 一方、ノリッジのフォーメーションは2センターの4-4-2だ。彼らはていねいにビルドアップしグラウンダーのパスでポゼッションしようとする。非常にアグレッシブで躍動感があり、前へ前へと真っ向勝負してくる。気持ちで戦う素晴らしいチームである。

 ノリッジは終始シティに攻め込まれ自陣に押し込められているため、自陣でボールを奪うと長い距離を運んでカウンターに移る。その際、ロングボールをトップに当てたりするのでなく、ポジティブ・トランジションで選手が前へ前へと続々湧き出し、グラウンダーのボールを次々につないでコレクティブ・カウンターをかける。

 シティの高い最終ラインの背後にはたっぷりスペースがあり、ノリッジはこのスペースをうまく使っておもしろいようにカウンターを決めた。

シティは守備の崩壊が痛い

 ノリッジは前半28分に2点目を奪って以降、ボールを失うと明確にディフェンディングサードまでリトリートし自陣に4-4-2のブロックを作るようになった。守備固めの逃げ切り策だ。そのため逆にシティがますますノリッジ陣内に押し込み、完全にハーフコートマッチの様相を呈して行く。

 そしてシティは前半45分にアグエロがゴールを奪い反攻の狼煙を上げたが、どうもうまく行かない。特に後半5分の3点目の点の取られ方はひどかった。シティのビルドアップ時にCBのオタメンディがハイプレスを受けてボールを失ない、ノリッジのプッキにゴールを決められたのだ。

 シティはその直前にもライン裏のスペースを狙われ決定機を与えるなど、どうにもリズムがおかしかった。シティは8月31日に行われた第4節のブライトン戦でCBのラポルトが右膝を負傷し、長期離脱したばかり。そのため守備に変調をきたしている。

 さて第5節を終え、首位を走るリバプールは開幕から5戦全勝の勝ち点15。それを追う2位のシティはすでに1分け1敗しており勝ち点10だ。昨季のシティとリバプールの優勝争いは、リバプールがたった1敗しただけで優勝を逃す僅差だった。それだけに今季のシティは早くも雲行きが怪しくなってきたかもしれない。

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【プレミアリーグ 19/20 第4節】今季のブライトンには注目だ ~マンチェスターC 4-0 ブライトン

2019-09-03 08:10:40 | イングランド・プレミアリーグ
ていねいにビルドアップするブライトン

 マンチェスター・シティが精巧なビルドアップとフィニッシュで、ブライトンを大差で破った。だが、ていねいにビルドアップしポゼッションしようとするブライトンのサッカーにはなかなか見どころがあった。彼らはビッグ6以外との対戦では健闘しそうだ。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、オタメンディ、ラポルト、ジンチェンコ。

 またアンカーにはロドリを置き、インサイドMFは右がデ・ブライネ、左がダビド・シルバ。3トップは右からマフレズ、アグエロ、スターリングだ。

シティは2-3-5に可変する

 立ち上がり、ブライトンは最終ラインからていねいにビルドアップしようとするが、シティはハイプレスで襲いかかり敵のビルドアップを無効化する。

 ブライトンは前線でボールを失うとミドルサードまでリトリートし、5-2-2-1に変化してブロック守備に移行する。ただブライトンはこのあとボールを奪うとパスをつないでポゼッションしようとするが、なかなか最前線のFWにボールが入らない。

 ブライトンの守備ゾーンが低いため、シティは完全に2バックで最終ラインからビルドアップする。両SBのウォーカーとジンチェンコがともに1列上がり、中に絞って偽SB化し2-3-5で攻める形がひとつ。

 あるいはウォーカーだけが偽SB化してロドリと2人でバイタルを埋める。一方、前ではダビド・シルバが左に大きく開いて幅を取り、左SBのジンチェンコがその内側をインナーラップしてハーフスペースをボックス付近まで上がる。これで2-2-3-3の形で圧をかけるパターンもよく見られた。

シティに勝つには2タッチ以内が基本だ

 試合開始2分、まさにその形で早くもシティに1点目が入る。左WGのスターリングが引いてくる動きで作った左前のスペースめがけ、インサイドMFのダビド・シルバがダイアゴナルランして縦パスのコースを作る。

 そして左サイドをブライトン陣内までドリブルで持ち上がったSBジンチェンコがそのダビド・シルバにパス。シルバがマイナスの折り返しを入れ、デ・ブライネがどフリーで楽々シュートを決めた。

 続くシティの2点目は前半42分だ。右SBのウォーカーがマフレズに縦パスを出し、マフレズは2タッチで右に開いたデ・ブライネにパス。そのデ・ブライネが今度は中央に折り返し、受けたアグエロがゴールをぶち抜いた。

 ブライトンは立ち上がりにいきなり失点した後、前半ずっとよくガマンしていただけに痛い2失点目だった。敵への寄せが甘かった。とはいえ彼らはビルドアップの形をもっているし、ただ守っているだけではない。中位のチームとはいい試合をしそうだ。

 ただブライトンはプレースピードがやや遅い。シティはボールホルダーへの寄せが速いため、2タッチ以内でプレーしないと引っかけられてしまう。そこが上位と戦う場合の課題だろう。

 このあと後半にはアグエロと途中出場したベルナルド・シウバが1点づつを決め、終わってみればシティが4-0で大勝した。しかしブライトンも一方的にやられたわけではなく、しっかり自分たちのゲームモデルを貫いた興味深い試合だった。

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【プレミアリーグ 19/20 第3節】エメリ監督の慎重策が裏目に ~リバプール3-1アーセナル

2019-08-26 06:23:07 | イングランド・プレミアリーグ
カウンター狙いのアーセナルが沈没する

 第2節までを全勝している唯一のチーム同士の対戦になった。アーセナルは相手をリスペクトし、中盤の底にMFを3枚並べる守備的な布陣でカウンターを狙う。だが3点を失い、リバプールに格の違いを見せつけられた。

 アーセナルは後半4分に2-0とリードされた時点で、攻撃的な布陣に変えるかと思われた。だが、この日スタメンから外していた核弾頭、ラカゼットを途中投入したのは後半36分。最低でも勝ち点1を拾いに行くカウンター戦術自体はあり得る選択だとしても、選手交代などリードされてからの対応策が後手を踏んだ。後悔の残るエメリ采配だった。

 リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアドリアン。最終ラインは右からトレント・アレクサンダー=アーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン。アンカーはファビーニョ、インサイドMFは右がヘンダーソン、左がワイナルドゥム。3トップは右からサラー、フィルミーノ、マネである。

 一方、アーセナルのフォーメーションは4-3-1-2だ。スタメンはGKがレノ。最終ラインは右からエインズリー・メイトランド=ナイルズ、ソクラテス、ダビド・ルイス、モンレアル。中盤の底はゲンドゥージ、ジャカ、ウィロック。トップ下はセバジョス。2トップはオーバメアンとペペである。

リバプールが見せる猛プレッシング

 リバプールは立ち上がりから、前からのものすごいプレッシングを見せる。アーセナルのビルドアップに対してはアーセナル陣内でハイプレスをかけ、ボールロスト時には同じくアーセナル陣内でゲーゲンプレッシングする。すべての攻守がアーセナル陣内で進んで行く。

 逆にアーセナルはボールを奪うと、速いパスワークから2トップにボールを預けて逆襲を狙う。リバプールは両SBを高く上げ2バックで攻撃してくるため、アーセナルはボールを奪ったら早めに2トップに当て、リバプールの2CBに対し2対2の同数を作る作戦である。

 そしてアーセナルは敵陣でボールを失った場合、その場でプレスをかけてリバプールのビルドアップを制限することはしない。逆にスルスルとディフェンディングサードまで素早くリトリートし、自陣に4-4のブロックを作る。

 アーセナルは第2節までは持ち前のポゼッション志向だったが、今節は強敵リバプールを前に完全にカウンター狙いのゲームモデルを選択している。

ダビド・ルイスが試合をぶち壊す

 だが前半41分、リバプールの左コーナーキックからマティプにヘッドで先制ゴールを叩き込まれ、リードを許す。アーセナルとしては、あのまま前半は0-0で終えたかったはずだが、これで目算が大きく狂った。

 続く後半4分には、アーセナルのゴール前でCBダビド・ルイスがサラーのユニフォームを引っ張り、なんとPKを取られて2点目を失う。

 この2失点目を境にアーセナルは攻撃的なシフトチェンジをするかと思われたが、それでもやり方は変えない。このあと後半14分にはボールをキープするサラーに、またもダビド・ルイスが一発で飛び込んでかわされ、痛い3点目を失う。

 明らかにダビド・ルイスは、自分のファウルでPKを取られた2失点目でプッツンしているのがアリアリとわかった。いかにもブラジル人らしい我慢のきかないキレやすさだ。この試合を壊したのは、そのダビド・ルイスと、3失点するまで守備的なプランを引っ張り続けたエメリ監督の消極策だろう。

 アーセナルは前で張るFWにボールさえ出れば、完全な決定機になるケースが前半から数回あった。あそこで決められなかったのが運命を分けた。「決定力」は、なにも日本代表だけのテーマではないようである。

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【2019/20プレミア展望】野獣・マンUは番狂わせを起こす(ただし気分が乗れば)

2019-08-22 06:55:58 | イングランド・プレミアリーグ
カギはメンタルと相手との相性だ

 誤解を恐れずに言えば、マンチェスター・ユナイテッドは獰猛な野獣の集団だ。それだけに平均点の仕事ができず、出来不出来の非常に激しいチームである。

 ではなぜそうなるのか? それは彼らが2つの要素に大きく左右されるからだ。(1)モチベーション(メンタル)と、(2)相手チームとの噛み合わせである。

 その意味で2019-20シーズン・プレミアリーグ第1節のチェルシー戦(4-0)と、第2節のウルブス戦(1-1)は今季の彼らを占う上で貴重なサンプルになるゲームだった。

マンUはカウンターのチームである

 まず大前提として、ユナイテッドはカウンター型のチームである。そして4-0で圧勝した相手のチェルシーは、ポゼッション型のチームだった。ゆえにこの試合では、噛み合わせ的に「盾と矛」の関係が成立した。

 つまりカウンターが得意なユナイテッドにとって、チェルシーのようにパスをつないでポゼッションしてくるチームはやりやすい相手なわけだ。

 流れるようなパスワークで前にかかって攻めてくるチェルシーの背後には、広大なスペースがたっぷりある。ユナイテッドからすればボールを奪い、カウンターをかければ、このスペースを使うことができる。

 フィニッシュが甘く攻撃を完結できない今季のチェルシーは、こうしてボールを奪われユナイテッドの格好の餌食になった。

 獰猛な野獣の集団であるユナイテッドは、チェルシー戦のように1点、2点と得点を連取し、相手が血しぶきをあげてのたうち回るのを見て、ますます精神が高揚する。いよいよメンタルが上がり、ゴールするたびに味方同士が集団で抱き合い喜びを爆発させる。5~6人の選手が繰り広げるユナイテッドのあの抱擁の塊は、さながら野性的な原始の儀式を思わせる。

 相手チームとの噛み合わせがハマり、モチベーションが上がって激しい肉体の競り合いになれば劇勝する。これが野獣ユナイテッドの勝ちパターンである。

気勢が上がらない「盾と盾」の関係

 一方、ユナイテッド戦を1-1の引き分けに持ち込んだウルブスは、ユナイテッドと同じカウンターのチームである。ゆえに噛み合わせ上、前半はユナイテッドが仕方なくポゼッションしていたが、得意でない戦い方だけにパスのつなぎがぎこちない。

 しかも自陣に引きこもり、守備ブロックを作って待つ専守防衛のウルブス陣内にはチェルシー戦のようなスペースがまったくない。

 ユナイテッドはボールを持たされ、苦手な戦い方を強いられたあげく、敵陣には自分たちの好物であるスペースがないのだ。当然、試合運びがギクシャクし、思ったように攻められない。展開のしかたも雑だった。

 これではさっぱりメンタルが上がらない。高揚感がない。チェルシー戦のようなノリノリの展開ならば疲れていても「出るはずの1歩」が、出ない。「まあいいか」と足を止めてしまうーー。これでは勝てるはずがない。かくてウルブス戦は、まんまと引き分けに仕立て上げられてしまった。

5位、6位あたりが指定席か?

 さて、ここから導き出せる今季ユナイテッドの行く末はどうか? まずマンチェスター・シティやアーセナルなど、格上、または同格でポゼッションしてくるチームとは案外いい試合になるだろう。

 まあ圧倒的な王者シティに勝てるとは思えないが、それでもユナイテッドのカギになるメンタルの盛り上がり、精神の高揚さえ試合で呼び起こすことができれば何が起こるかわからない。中心選手のポグバが典型だが、彼らは気持ちさえ乗れば奇跡も起こせる(が、気持ちが乗らなければヤル気のない凡百のチームに成り下がる)

 一方、ウルブスのようにビッグ6をうかがう中位のチームが守備的な戦いをしてくれば、ユナイテッドはけっこう苦戦するだろう。実力がそう変わらない上に、戦い方がまったく噛み合わないのでは苦しい。

 ただし下位のチームがゴール前にバスを停めてディフェンディングサードにブロックを作るようなやり方をしてきたとしても、さすがに下位なら力の差があるだけに何とかしてしまう可能性は高い。

 とすれば総合的に考えれば、シティやリバプール、トッテナムには勝てなくても、それを追う第二グループを形成する5位、6位あたりがユナイテッドの指定席になりそうだ。

 いやいや、気持ちがグイグイ乗り、上位を食いまくる彼らの暴虐的な野生の戦いが本当は見たいのだが……と個人的な希望を最後に書き添えておこう。

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【プレミアリーグ 19/20 第2節】早くも開幕のヤマ場がきた ~マンチェスターC 2-2 トッテナム

2019-08-19 07:52:56 | イングランド・プレミアリーグ
両者一歩も譲らず

 第2節にして早くも優勝決定戦のような切迫した展開になった。マンチェスター・シティは1試合を通じてハイプレスをかけ続け、トッテナム・ホットスパーのビルドアップを制限する策に出た。

 シティの5レーン戦術と、ライン間でボールを受ける動きにトッテナムが幻惑されやや後手を引いたが、どちらが勝ってもおかしくない引き締まったいい試合だった。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、オタメンディ、ラポルト、ジンチェンコ。アンカーにはロドリ。インサイドMFは右がデ・ブライネ、左がギュンドアン。3トップは右からベルナルド・シウバ、アグエロ、スターリングだ。

 一方、トッテナムのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがロリス。ディフェンスラインは右からカイル・ウォーカー・ピータース、 アルデルヴァイレルト、ダヴィンソン・サンチェス、ローズ。セントラルMFはウィンクスとエンドンベレ。2列目が右からシソコ、ラメラ、エリクセン。ワントップはハリー・ケインだ。

敵のウラをかく巧妙なフィニッシュ

 試合の立ち上がりから、シティが激しくハイプレスをかけてトッテナムのビルドアップを壊そうとする。

 逆にシティのビルドアップに対しては、トッテナムは守備時に4-4-1-1へ変化しミドルプレスでパスコースを制限する対応をする。トップ下のラメラが、シティのアンカーのロドリを見ている。

 シティの1点目は前半20分だった。シティは左サイドから最終ラインに落ちてきたボールを今度は右サイドに展開した。まずCBオタメンディが右WGのベルナルド・シウバにパス。シウバは寄せてきたデ・ブライネにボールを落とし、デ・ブライネがダイレクトでアーリークロスを入れる。

 これに対し逆サイドに走り込んだスターリングが、どフリーのヘッドでファーサイドに叩き込んだ。スターリングは前節のハットトリックに続き早くも4ゴール目だ。彼はボールのある(シティの)右サイドを見ている敵DFの背後から、死角を突いてうまくライン裏に走り込む動きをした。好調だ。

 一方、トッテナムも負けじとその3分後に追いつく。セントラルMFのエンドンベレがトップ下のラメラに縦パスを入れ、ラメラは軽く運ぶドリブルをしてからゴール中央、ボックスのすぐ外から左スミにきれいなシュートを決めた。

 このときは前にいたエリクセンが、マーカーを引っ張ってラメラのためのスペースを作った。このエリクセンの動きが、ラメラにフリーでシュートを打たせる事前の仕込みになった。

 両チームのこれら1点目を見ると「シュートってこんな簡単に入るのか?」と感じさせるが……それだけ完全に敵のウラをかいた巧妙なフィニッシュだったということだ。

シティの5レーン戦術が威力を発揮する

 この後も両チームは点を取り合う。まずシティだ。前半35分。右サイドでベルナルド・シウバからパスを受けて裏抜けしたデ・ブライネが、敵GKと最終ラインの間を狙って絵に描いたような強くて速いグラウンダーのクロスを入れる。アグエロはダイレクトでただゴールに流し込むだけだった。2-1だ。

 シティは大外から右SBのカイル・ウォーカーが、その内側のハーフスペースからはデ・ブライネが圧をかける。(トッテナムから見て)これら左サイドを突くダブルの動きに、トッテナムは左SBのローズとCBサンチェスのコンビネーションに迷いがあり、しきりにデ・ブライネにニアゾーンを狙われる。シティの5レーン戦術が奏功していた。

 これに対しトッテナムは後半11分、左コーナーキックから途中出場したばかりのルーカス・モウラがヘッドで押し込んで2-2とする。

 その後、途中出場したジェズスのゴールが、今シーズンからプレミアリーグに導入されたVAR判定でハンドを取られ取り消される一幕も。結果、シティは決勝ゴールを召し上げられた。これにて2-2の引き分け、痛み分けだ。

 とはいえジェズスは前節もVARでゴールを取り消されており(このときはオフサイド)、きわどいところを狙うシティにVARの導入は凶と出ているかも? もっとも圧倒的な王者シティには、それくらいのハンデがあったほうがリーグがおもしろくなるかもしれないが。

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【プレミアリーグ 19/20 第1節】アーセナルが手堅く1勝 ~ニューカッスル 0-1 アーセナル

2019-08-12 07:56:11 | イングランド・プレミアリーグ
危なげなく1点を守り切る

 アーセナルは立ち上がり、ボールが落ち着かなかったが徐々に持ち前のパスサッカーを見せ、1点先行してからは危なげなくポゼッションして逃げ切った。

 アーセナルのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがレノ。ディフェンスラインは右からメイトランド-ナイルズ、チェンバース、ソクラティス、モンレアル。セントラルMFはジャカとゲンドゥージ。2列目は右からネルソン、ウィロック、ムヒタリアン。ワントップはオーバメヤンだ。

 アーセナルはラカゼットやルーカス・トレイラ、ペペら主力をやや温存したようなスタメンでスタートした。

 ニューカッスルはボールを奪うと、速いタイミングで前線にロングボールを送り込むダイレクト攻撃をする。ただし攻撃が単発で、ボールを失うと二の矢、三の矢がない。

 前半20分頃からはニューカッスルがゾーンを下げ、以降はアーセナルがパスをつないでポゼッションする試合展開になった。特に前半終盤はニューカッスルがずっとブロック守備をする形が続いた。

 この試合、唯一の得点は後半13分だった。アーセナルのメイトランド=ナイルズが右サイドで敵のパスをカットし、そのまま速いカウンターからクロスを入れる。エースのオーバメヤンはこれをワントラップしてから、敵GKの脇をループシュートで抜いた。

 1点先行され、ニューカッスルはアーセナルのビルドアップに対し前からプレスをかけるようになった。だがニューカッスルはパスがつながらず、攻撃が形にならない。

 逆にアーセナルは先制してから慎重にパスをつなぐようになり、そのままポゼッションして最後まで逃げ切った。アーセナルは戦力を温存し若手を使ったため攻撃に破壊力は感じさせなかったが、1点先行してからは無難な試合運びだった。

 これで開幕からビッグ6はリバプールとトッテナム、マンチェスター・シティ、アーセナル、マンチェスター・ユナイテッドが順当に勝ち点3をあげ、チェルシーだけは痛い1敗を喫した。さて、シーズンはこれからだ。

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【プレミアリーグ 19/20 第1節】シティが開幕大爆発、スターリングがハットトリック ~ウェストハム 0-5 マンチェスター・C

2019-08-11 08:58:57 | イングランド・プレミアリーグ
シティが開幕節からスタートダッシュ

 イングランド・プレミアリーグの2019-20年シーズンが幕を開けた。開幕節では、王者マンチェスター・シティがスターリングのハットトリックなどで大量5点をもぎ取り、いきなりスタートダッシュをかけた。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3だ。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からカイル・ウォーカー、ストーンズ、ラポルト、ジンチェンコ。アンカーはロドリ。右インサイドハーフにデ・ブライネ、左インサイドハーフにはダビド・シルバ。3トップは右からマレズ、ジェズス、スターリングだ。

 シティはジンチェンコが偽SB化してステイしたり、逆にボックス辺りまでボールを持ち込んだり活発だ。CBのラポルトもスペースがあればドリブルで持ち上がる。こうして彼らは最終ラインから2タッチ以内で流れるようにビルドアップする。

 一方、ウェストハムはボールを失うと、前の2人を残してディフェンディング・サードまでリトリートし4-4のブロックを作る。逆に前で失うとプレスをかけるが、シティは簡単にウェストハムの第1プレッシャーラインを突破して行く。

 前半のポゼッション率はイーブンだが、ウェストハムはボールを持っても中盤で引っかけられ、なかなかフィニッシュへ行く形にならない。

後半、シティのポゼッション率は70%を超えた

 シティの1点目は前半25分だった。ボールを持ち、ドリブルで左から中に入り込んだジンチェンコが右サイドへボールを展開する。オーバーラップしたSBウォーカーがパスを受けてセンタリングし、最後はジェズスが決めた。

 後半6分のシティの2点目は、(シティから見て)右サイドに偏っていたウェストハムの陣形を横パスの連続技でうまく突いた。まず中盤でボールを奪ったマレズがドリブルから左のデ・ブライネにパス。デ・ブライネがさらに左のスターリングにラストパスを送り、スターリングがゴールに沈めた。

 一方、後半30分の3点目は、中央でボールをキープしたスターリングが右サイドのマレズにパス。スターリングはその間に縦へ走ってライン裏へ飛び出し、マレズからラストパスを受けてGKの頭上を抜くシュートを放った。

 また後半41分の4点目はマレズがPKをもらい、アグエロが決めたもの。そしてとどめの5点目は後半47分だった。こぼれ球を拾ったマレズが、裏抜けを狙ったスターリングにスルーパスを出し、スターリングがこれをゴール右スミに決めた。

 シティはポジショニングとボールの運び方が非常に機能的で、その点、ウェストハムとは雲泥の差があった。後半のシティのポゼッション率は実に70%を超えた。またスターリングはワンプレイ終わっても足を止めずに3人目の動きをするなど、よく走った。運動量が彼のハットトリックを呼んだ。

 さて、まずはマンチェスター・シティが開幕1勝目をあげた。果たしてこれが長い今シーズンの行方を暗示する勝利になるのだろうか。ペップの高笑いが聞こえてくるようだ。

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【2019/20 プレミア展望】今季のアーセナルは目が離せない

2019-08-09 07:52:36 | イングランド・プレミアリーグ
チェルシーからダヴィド・ルイスが電撃移籍

 イングランド・プレミアリーグの移籍期限となる8月8日(日本時間9日午前1時)に、ビッグディールのニュースが飛び込んできた。アーセナルが、チェルシーからブラジル代表DFダヴィド・ルイスを完全移籍で電撃獲得したのだ。イギリスBBCは、2年契約で移籍金800万ポンド(約10億円)と報じている。

 加えてアーセナルは同日、以前から狙っていたスコットランド代表DFキーラン・ティアニーを移籍金2500万ポンド(約32億円)で獲得している。左SBのティアニーは1997年生まれの22歳。昨季はリーグ戦21試合に出場し4アシストを記録した。2016年にはスコットランド代表デビューし、12試合に出場している。

 これまで攻撃の比重が高かったアーセナルはDF陣の弱体化がネックになっていたが、これらの補強によりチーム全体がグッと締まった。特にベテランで守備陣を指揮できるダヴィド・ルイスの加入は大きい。

ペペの加入でリーグ屈指の3トップに

 一方、攻撃陣に目を転じれば、リールからクラブ史上最高額8000万ユーロ(94億円)の移籍金でコートジボワール代表FWニコラ・ペペを獲得している。ペペは昨季リーグ・アン全試合に出場し、22ゴール11アシストと輝かしい活躍を見せた。

 かくてアーセナルの3トップは、リーグ屈指のリバプール3トップにも匹敵する破壊力を備えるに至った。

 ピエール=エメリク・オーバメヤンは昨シーズン通算22得点を挙げ、リバプールのサラー、マネと並び得点王に輝いた。かたやアレクサンドル・ラカゼットは19ゴール10アシストをマークしている。

 これにスピードのあるテクニシャンのペペが加われば、指揮官ウナイ・エメリの構想はグンと広がりを増す。この3人を生かし、新たに4-3-3の採用も見えてくる。

中盤にはダニ・セバジョスを獲得

 また中盤にはレアル・マドリーから期限付き移籍で22歳のダニ・セバジョスを獲得しており、これによる戦力アップも見逃せない。4-2-3-1フォーメーションならば、プレシーズンで好調なエジルとのトップ下争いには注目だ。

 このほか中盤では守備的MFルーカス・トレイラのほか、グラニット・ジャカやマッテオ・ゲンドゥージの成長が著しい。

 アーセナルはプレシーズンマッチでは、アグレッシブな全域プレッシングで敵を自由にさせないコレクティブさが目を引いた。トランジションを重視し、監督のコンセプトが見事に浸透したコンパクトでオートマチズムを感じさせるチームに仕上がっている。

 ダヴィド・ルイスの加入により課題だった最終ラインが引き締り、ペペが加わった「黄金の3トップ」が爆発すれば、マンチェスターシティとリバプールの優勝争いにからんで、ズバリ4位以内。チャンピオンズリーグ出場権獲得もいよいよ現実味を増すだろう。

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【PLアジアトロフィー】プレシーズンマッチとは思えない興奮度 ~マンチェスター・シティ4-1ウェストハム

2019-07-19 08:53:44 | イングランド・プレミアリーグ
シティは今季もやりそうだ

 プレミアリーグもいよいよ2019-2020シーズンが迫ってきた。で、「プレミアリーグ・アジアトロフィー2019」と銘打ち、マンチェスター・シティとウェストハム、ニューカッスル、ウルブスの4チームによる勝ち抜きプレシーズンマッチが中国で行われている。

 そのうち注目のカード、シティとウェストハムの対戦を、シティにスポットを当ててレビューしよう。

 マンチェスター・シティのスタメンは、ダビド・シルバら一部を除き若手である。だがそれでも十分にうまくて速い。鬼のようにプレッシングし、球際も激しく相手に自由にやらせない。

 なんせボールスピードが日本人とはまるでちがう。何気ないインサイドキックのボールが、スーッと糸を引くような軌道を描きカッ飛んで行く。加えて非常にコンパクトだ。10代後半の選手がスタメンに名を連ねているのに、これだけレベルが高いのだから参ってしまう。

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。急造チームだからか、あまり可変しない。とはいえグレードはやはりシティのそれであり、きっちり最終ラインからビルドアップして最後はアタッキングサードへなだれ込んで行く。

 この日彼らがあげた4得点のうち、ダントツだったのは前半33分のダビド・シルバによる1点目だ。右サイドからの長いアーリークロスを、軽く胸トラップから2タッチ目で決めて見せた。

 クロスが当たったのは胸というより肩に近く、そのせいで胸トラップしたボールが高く上がってしまったので「外すかな?」と思ったのだが余裕だった。さすがである。

後半にはお待たせのレギュラーメンバーが

 一方、後半のシティはデ・ブライネやベルナルド・シウバ、スターリング、サネら、お待たせのレギュラーメンバーがぞろぞろ交代出場した。

 前半は「若手とは思えないおもしろい試合だ」と思って観ていたが、後半に彼らが入るととたんに空気が変わった。ファーストタッチの滑らかさがまるでちがう。敵に考える時間を与えないプレースピードが凄まじい。

 後半のハイライトは、58分のスターリングによる3点目だろう。背後からの斜めの長いラストパスをもらい、短いドリブルからしっかりゴールに収めた。

 おまけにサネのアシストも凄かった。敵のミスパスをカットしたサネが、そのままダイレクトでそれをラストパスに変えたのだ。何でもかんでも2タッチ以内で仕上げてしまう。あんなプレイはあんまり記憶にない。

 なお点差はついたがウェストハムも、カウンターからの滑らかなパスの繋ぎがなかなかよかった。瀕死のニューカッスルで腐っているFW武藤嘉紀は、当初、ウェストハム入りも噂されたが……つくづくウェストハムに入団していたらなぁ、と残念でならない。

 それはともかく、シティは今季も優勝争いをリードするのだろう。リバプールとのつばぜり合いが今から楽しみだ。

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【プレミアリーグ 19/20】グアルディオラがサッカーを「つまらなく」している

2019-05-04 15:44:52 | イングランド・プレミアリーグ
やる前から結果がわかっているリーグ

 プレミアリーグは首位のマンチェスター・シティが勝点92、2位のリヴァプールが勝点91で「優勝争いが白熱している」などと騒がれている。だが、私などはすっかりシラケ切っている。

 だってマンC、リヴァプールとも残り試合を全勝し、勝点1差でマンCが優勝するに決まってるんだから。なんとリヴァプールは1敗しかしてないのに、優勝できないのだ。プレミアリーグというのは本当に「異常」な世界である。

 それもこれもすべてはあのグアルディオラのおかげだ。

 そもそもマンCの試合で観る気になるのは、「ビッグ6」内での対戦だけ。マンCと「ビッグ6以外」のチームとの試合は、まったく観る気が起こらない。なぜならどの下位チームも「ゴール前にバスを停めて」自陣に引き込み、守備的に戦うだけだからだ。それでもマンCが勝ってしまうのだからまったく呆れてしまう。

 プレミアリーグというのは実質「6チーム」で争っているリーグであり、しかもマンC、リヴァプールという2強と、他の上位4チームとの間にさえあきらかに差がある。もっといえば、その2強の一角であるリヴァプールですら、(繰り返しになるが)1敗しかしてないのに優勝できないのだ。

 すべてはグアルディオラのしわざである。

 昨日の記事で書いた通り、バルセロナは今季のチャンピオンズリーグをすっかりつまらなくしたが、かたやグアルディオラはプレミアリーグを観る気がしない死んだリーグにしている。

 本当にグアルディオラ&バルサにはうんざりさせられる。

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【プレミアリーグ 18/19 第11節】鬼気迫るアーセナルのファイティグ・スピリット 〜アーセナル1-1リバプール

2018-11-08 07:51:27 | イングランド・プレミアリーグ
アーセナルのパスワークが冴え渡る

 両チームともボールを失ってもリトリートせず、その場でプレッシングして即時奪回を狙う激しい展開になった。

 アーセナルは持ち前の美しいパスサッカーでペースを握った。だがリバプールのCBファン・ダイクにあわやゴールシーンという惜しいシーンもあり、前半は0-0で折り返す。そして逆に先制点を取ったのはリバプールだった。後半16分だ。

 その後は一進一退の攻防が続き、リバプールが押し切るかに思われたが、後半37分にアーセナルが1点を取りゲームは引き分けで終わった。アーセナルは気合い十分でポゼッション率も高く、おそらく今季、彼らのベストゲームのひとつではないだろうか。

 これでリーグは第11節を終わり、マンチェスター・シティが勝ち点29の首位。それを勝ち点27で並び得失点差での2位チェルシー、3位リバプールが追う混戦が続く。4位のトッテナムも勝ち点24と迫り、5位のアーセナルは勝ち点23だ。

威力十分、リバプール3トップのハイプレス

 リバプールのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがアリソン。4バックは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤3センターはアンカーがファビーニョ、右がワイナルドゥム、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 一方、アーセナルのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがレノ。最終ラインは右からベジェリン、ムスタフィ、ホールディング、コラシナツ。セントラルMFはルーカス・トレイラとジャカ。2列目は右からムヒタリアン、エジル、オーバメヤン。1トップはラカゼットだ。

 アーセナルは上位リバプールが相手とあって選手にエネルギーがみなぎり、速いパスワークが非常に利いていた。彼らは最終ラインから時間をかけ、サイドチェンジも交えながらていねいにビルドアップする。ざっくりSB経由とセントラルMF経由の2ルートだ。

 一方、リバプールのビルドアップも同様にその2ルートのほか、局面によっては3トップにロングボールを当てるダイレクト攻撃もよしとしている。両チームとも、プレイスピード、ボールスピードともにトップクラスのデキである。

 ただアーセナルは2CBが横に広がってビルドアップし、そこへリバプールの3トップがハイプレスをかけて2対3の場面を作られ、あわやのシーンもあった。アーセナルは通常、セントラルMFのルーカス・トレイラが左SBとCBの間に下りたり、2CB間に落ちて数的優位を作っていた印象があったが……。

 それだけリバプールの3トップの破壊力はすさまじく、3人だけでショートカウンターを成立させてしまう攻撃力がある。

 さて試合が動いたのは後半16分だった。リバプールだ。左サイドで裏抜けしたマネがクロスを入れる。これをリバプールGKとDFが弾いたこぼれ球に、ミルナーがゴール正面から低い弾道のシュートを叩き込んだ。

 だがこの日のアーセナルは気迫がすごく、その後何度もリバプールゴールに襲いかかる。そしてどん詰まりの後半37分。アーセナルは途中出場のアレックス・イウォビが出した縦パスで裏抜けしたラカゼットが、一度GKをかわして反転してからゴール右スミに突き刺すビューティフルゴールで同点に追いついた。

 その後もアーセナルはボールを保持して一方的に攻め立てたが、惜しくも逆転はならず。1-1の引き分けに終わった。アーセナルのファイティグ・スピリットには敬意を表したい。

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【プレミアリーグ 18/19 第10節】バーンリーの魂に敬意を 〜バーンリー0-4チェルシー

2018-11-02 09:48:40 | イングランド・プレミアリーグ
バーンリーのラッシュにチェルシーが動揺

 立ち上がり、バーンリーが激しくラッシュした。チェルシー陣内にどんどんボールを放り込んでくる。で、ボールを失ってもチェルシーの選手に激しくデュエルを挑んでくる。

 そんなバーンリーの勢いに押され、前半のチェルシーはボールを保持してもパスがつながらない。だが次第に試合の展開に慣れ、前半10分頃から落ち着いた。決してデキがいいわけではないが、尻上がりに調子を上げて行く。

 そんな矢先の前半22分にあげたモラタのゴールを皮切りに、結局、後半には3点を追加し、終わってみればチェルシーの圧勝で終わった。

 これでプレミアリーグは第10節を終わり、勝ち点26で並んだマンチェスター・シティとリバプールが得失点差でそれぞれ1位、2位を分け、3位のチェルシーが勝ち点24。4位のアーセナルが勝ち点22、5位のトッテナムが勝ち点21となった。相変わらずマンC、リバプール、チェルシーの3強が激しいつばぜり合いを繰り広げている。

巧みに斜めのパスコースを作るチェルシー

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーが不動のジョルジーニョ、右インサイドハーフが同じく不動のカンテ、左インサイドハーフがバークリー。3トップはペドロ、モラタ、ウィリアンだ。

 立ち上がり、バーンリーに押されたチェルシーは前半22分に均衡を破る。カンテが左のバークリーに展開し、受けたバークリーが縦パスを出す。これに3人目の動きでダイアゴナルランしながらボールを受けたモラタがダイレクトでゴールを撃ち抜いた。

 これで立ち上がりのドタバタは落ち着き、完全にチェルシーがボールを保持し、バーンリーが自陣に引いて待ち受ける展開になった。チェルシーはトライアングルを作り、巧みに斜めのパスコースを作ってきれいにボールを回す。

 特にウィリアンは左サイドに開いてボールを受け、攻撃の幅を取る。かと思えば2ライン間に引いてボールをもらい基点になる。非常にいい動きをしている。

 後半、バーンリーはボールを保持しても、チェルシーの守備ブロックの外側でUの字を描くように安全にボールを回すだけだ。最後は焦れてロングボールを縦に放り込んでくるが、チェルシーにあえなく回収されてしまう。

 チェルシーの2点目は後半12分だった。中盤でこぼれ球を拾ったチェルシーはカンテがドリブルしながら左にいたバークリーにパス。バークリーは短くドリブルしてから、ペナルティエリアの外から豪快なシュートをゴール右スミに決めた。彼はリーグ戦3試合連続ゴールである。

 この後、後半17分、同47分にもチェルシーは得点をあげ一方的に攻め立てるが、バーンリーの選手は何点取られてもあきらめず球際で激しく競る。まったくメンタルが衰えない。バーンリーは最後まで試合を捨てず、サポーターに魂を見せつけた。熱い彼らには敬意を表したい。

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【プレミアリーグ 18/19 第9節】拙攻同士の身のない凡戦 〜ハダースフィールド0-1リバプール

2018-10-25 09:08:04 | イングランド・プレミアリーグ
師弟対決となった両監督

 クロップとワグナーという両監督の師弟対決となったこの試合。ハダースフィールドは立ち上がりからハイプレスで激しくハメにくる。その網の目をかいくぐってリバプールがビルドアップする、という展開だ。対するリバプールは、ハダースフィールドのビルドアップに対し3トップでプレッシングする。

 リバプールのフォーメーションは4-3-3。スタメンはGKがアリソン。4バックは右からゴメス、ロブレン、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はシャキリ、ヘンダーソン、ミルナー。3トップはサラー、スタリッジ、アダム・ララーナだ。

 試合は前半24分に早くも動いた。リバプールだ。右SBのゴメスからシャキリに縦パスが通り、そのシャキリがサラーにスルーパスを出す。これで裏抜けしたサラーが軽くゴール左スミにボールを突き刺した。

カウンターの掛け合いはリバプールに軍配が

 両チームともボールを失うとリトリートせず、その場でプレッシングして即時奪回を狙う。必然的にカウンターの掛け合いになるが、ハダースフィールドのほうはボールを保持してもなかなかシュートまで行けない。ボックスの外側でパスを回している感じだ。

 後半になると逃げ切りを見たのか、リバプールはミドルプレスに切り替えた。と同時にハダースフィールドのカウンターを警戒し、ボールを失った場合の帰陣を早くした。これでクロップの思惑通り試合は収束し、リバプールの勝利に終わった。

 ハダースフィールドはハイプレスとファイティグスピリットはすばらしいが、アタッキングサードでの決定力に乏しいのが低迷の原因だ。リバプールはチャンピオンリーグのための先発ローテーションのせいで戦力が落ちて拙攻が続き、ハダースフィールドに決定力さえあれば試合はどうなっていたかわからなかった。

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【プレミアリーグ 18/19 第9節】「王」の底力 〜チェルシー2-2マンチェスターU

2018-10-23 13:11:05 | イングランド・プレミアリーグ
息詰まる熱戦は痛み分けに

 立ち上がりからマンチェスター・ユナイテッドは、チェルシーのビルドアップに対し自陣にリトリートしてブロックを作った。相手をリスペクトし、ボールを持たせてカウンターを狙う作戦だ。

 これに対しチェルシーは、グラウンダーのショートパスをつなぎながらポゼッションする。ポゼッション率は60%。試合は当初、そんな展開が続いた。当然、チェルシーが先制する。

 だが後半10分にユナイテッドが1-1と追いつくや勢いづき、試合は思わぬ展開になる。最後は2-2の痛み分けである。まさにユナイテッドには「腐っても鯛」という言葉がふさわしいゲームとなった。

位置的優位を確保するチェルシー

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはまずGKがケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはジョルジーニョがアンカーで右がカンテ、左がコバチッチ。3トップはウィリアン、モラタ、エデン・アザールだ。

 一方、ユナイテッドは4-2-3-1。スタメンはGKがデ・ヘア。4バックは右からアシュリー・ヤング、リンデレフ、スモーリング、ルーク・ショー。セントラルMFはマティチッチとポグバ。2列目は右からラシュフォード、マタ、マルシャル。1トップはルカクだ。

 試合が動いたのは前半21分。右CKからリュディガーがヘディングシュートを決め、チェルシーが先制した。

 チェルシーはトライアングルとロンボ(菱形)がよくできており、フィールドを横切るダイアゴナルな中距離のパスがよく通る。位置的優位、質的優位を確保した彼らは、スペースのない狭いゾーンでも流麗にパスをつなぐ。下りてきてポストになった選手がクサビのボールを受け、ボールをいったん落として次に前方へ展開するパターンが利いている。

 これに対しユナイテッドは、チェルシーの心臓部であるジョルジーニョには、トップ下のマタとCFのルカクが前後に挟み込んで対応している。

 自陣に引いたユナイテッドはボールを奪って時おりカウンターを発動するが、結実しない。ボールを奪う位置が低い(自陣)のでなかなかうまくパスをつなげず、すぐロストしている。もともと彼らは相手にボールを持たせるシナリオだが、やってるうちに相手にボールを保持されている心理的圧迫感に見舞われている感じだ。

逆転しユナイテッドが勢いづく

 ところがハーフタイムを挟んだ後半10分。そのユナイテッドが同点に追いつく。敵ゴール前に押し込んだユナイテッドはまずアシュリー・ヤングが右からシュートし、それをマルシャルがゴール前でトラップする形でシュートを決めた。

 同点に追いついたユナイテッドは勢いづき、自陣でボールを奪ってからのコレクティブ・カウンターが形になってきた。ルカクのポストプレイも目に見えて多くなる。

 そしてユナイテッドは後半28分、2点目を取りついにリードを奪う。CBのリンデレフが右サイドのアシュリー・ヤングにパス。次にヤングが前方のマタに当てていったん落としたボールを、再びヤングがマタの前方のオープンスペースに落としてマタが抜け出した。

 右サイドをフリーで進むマタは、左のラシュフォードにパス。そのラシュフォードが逆サイドのマルシャルに展開し、マルシャルがゴール右スミに鮮やかに突き刺した。自陣からきれいに組み立てた美しいゴールだった。逆転しユナイテッドの選手たちは全身にエネルギーがみなぎり、競り合いにことごとく勝ち始める。

 そのままユナイテッドが勝ち切るかに思われた後半51分。運命の時が訪れる。チェルシーが同点に追いついたのだ。右から入ったクロスにダビド・ルイスがヘディングシュートし、ゴールポストを叩く。そのリバウンドを途中出場のバークリーがきっちり押し込んだ。

 アディショナルタイムでの劇的な追撃弾で両者痛み分けである。息詰まる熱戦にふさわしい幕切れだった。これで第9節を終わってチェルシーは勝ち点21とし、勝ち点23の首位マンチェスター・シティを追う3位に。ただしチェルシーと同勝ち点でアーセナル、トッテナムの三者が並び、得失点差で順位がつく混戦に突入した。今季もプレミアリーグは熱い。

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