すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

【プレミアリーグ 18/19 第8節】機敏なトランジションを操るチェルシーの魔法 〜サウサンプトン0-3チェルシー

2018-10-09 07:22:05 | イングランド・プレミアリーグ
敵を置き去りにする切り替えの速さ

 チェルシーの特徴は2タッチ以内のスピーディなパスワークと、ボールを失ってからの切り替えの早さ、それとボールを奪ってからの切り替えの早さだ。これらの土台の上に、ドリブルでリズムを変えられるエデン・アザールの個人技が大輪の花を咲かせている。この試合も、そんな彼らの個性が遺憾なく発揮されたゲームになった。

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーにジョルジーニョ、右にカンテ、左にバークリー。3トップはウィリアン、ジルー、アザールだ。

 試合の立ち上がりから、サウサンプトンの最終ラインはチェルシーの攻撃を恐れてズルズル下がり深くなる。ほぼ5バック状態だ。設定ゾーンが低すぎ、仮にボールを奪っても出しどころがない。で、またボールを奪われる。必然的にハーフコートマッチの様相を呈してくる。試合開始からたった10分で、だいたいどんなゲームになるかは想像がついた。

 試合が動いたのは前半30分。前がかりになったチェルシーは、ボックス手前でいったんボールを失った。だが彼らは素早いネガティブ・トランジションからバークリーがサウサンプトンのボールホルダーにプレスをかけ、たった3秒でボールを奪い返す。

 このときサウサンプトンの最終ラインは、味方がボールを奪った瞬間、「さあ攻撃だ」とラインを上げかけていた。その次の瞬間にすぐボールを奪い返され、完全にフリーズし足が止まってスキができた。

 そこを見逃さずゴール前で、どフリーになったアザールにラストパスが出る。彼は軽くワントラップし、慎重に狙いを定めてボールをゴールに沈めた。先制点である。

31本のパスをつないだ3点目

 チェルシーは完全に前がかりになり、たびたびサウサンプトンのボックス内でミニゲームをやっているような状態になる。サウサンプトンとすれば、修正が必要だ。そこで彼らは後半開始と同時に4バックに変え、攻撃のタクトを振れるMFオリオル・ロメウを投入する。

 これでサウサンプトンは最終ラインを上げ、やっと中盤でボールをキープできるようになったが、それもつかの間。後半12分に2点目を食らって水泡に帰した。

 そして大団円の後半48分には、圧倒的なチェルシーのゴールショーが待っていた。なんと彼らは31本のパスをつなぎ、最後はアザールから途中出場のモラタにラストパスが出て完全フリーの状態でシュートが決まった。サウサンプトンの守備陣を完全に崩し切った遅攻からのゴールだった。

 これで第8節が終わり、マンチェスター・シティとチェルシー、リバプールの3チームが勝ち点20できれいに並び、得失点差でシティが首位に立った。いちばん美しいのはチェルシーで、力強さならリバプール、最もシステマチックなのがマンCだ。芸風が見事に異なり、それぞれの個性を味わえるのも見どころのひとつである。はてさて、いったいどこが最後に美酒に酔うのだろうか?

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【プレミアリーグ 18/19 第8節】睨み合いの90分 〜リバプール0-0マンチェスター・シティ

2018-10-08 14:08:41 | イングランド・プレミアリーグ
守備に重心を置き慎重だったマンC

 剣の達人ふたりが間合いを詰め、見合ったまま息を殺しているかのようなゲームだった。すごい緊張感だ。リバプールはボールを奪ってからのショートカウンターが速いが、それ以上にシティの守備対応が早い。アウェイのシティは慎重に引き分けを睨みながらの90分間だったのだろう。

 リバプールとシティのフォーメーションはともに4-3-3。リバプールのスタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からゴメス、ロヴレン、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにヘンダーソン、インサイドハーフはミルナーとワイナルドゥム。3トップはサラー、フィルミーノ、マネだ。

 シティのスタメンはGKがエデルソン。4バックは右からウォーカー、ストーンズ、ラポルト、メンディ。中盤はフェルナンジーニョ、ベルナルド・シウバ、ダビド・シルバ。3トップはマレズ、アグエロ、スターリングである。

マレズがPK失敗、シティ先制ならず

 試合は基本的にホームのリバプールがボールを保持し、シティが守りながらボールロストを狙う、という展開になった。シティは、どちらかといえばポゼッションが苦手なリバプールにあえてボールを持たせる作戦だったのだろう。

 マイボールの時間が長いリバプールは、多少アバウトでも早めにライン裏にロングボールを入れて行く。意識的に縦に速く攻めようという狙いだ。相手DFの背後に入れたボールを、スピードのある3トップが競ってナンボ、というサッカーである。

 そしてリバプールはボールを失うと、4-3-3のままミドルブロックで守備対応する。ときには相手ボックス内まで3トップが入り込んでプレッシングしている。ただシティはボールを持つとわずかなスペースを見つけて入り込み、きわどい局面を作り出す。

 おもしろかったのは試合終了間際になり、やっとシティがアタッキングサードで鋭いフィニッシュを見せ始めたところだ。攻めれば、明らかにシティの攻撃のほうが緻密だった。

 そして最大のヤマ場は、後半40分にリバプールのファン・ダイクが与えたPKである。これをシティはマレズが蹴って失敗した。ファン・ダイクは焦って無理にタックルすることはない場面だったが、プレッシャーがそうさせたのだろうか。マレズにPKを決められていたら万事休すだった。

 いずれにしろ首位攻防戦にふさわしいねじり合いだった。攻め合いにはならなかったが、あのヒリヒリするような異常な緊張感を味わえただけでもお客さんは本望だろう。

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【プレミアリーグ 18/19 第7節】マンC、ついに首位に立つ 〜マンチェスター・シティ2-0ブライトン

2018-10-02 09:08:19 | イングランド・プレミアリーグ
ブライトンのロングカウンターならず

 この試合、マンチェスター・シティはひたすらパスをつないでポゼッション率80%を記録した。かたやブライトンは自陣深く引いてブロックを作り敵の攻めに耐える。で、ボールを奪えばロングカウンターを狙う、という展開になった。

 ほぼブライトンは引きっ放しなので、必然的にボールを奪うのは自陣の低い位置になる。

 せっかくボールを保持しても、そこからシティのゴールははるか遠くで攻めが難しい……ように思えるが、彼らはやり慣れた戦い方なのか、ボールを奪えばスルスルとポジションを上げ複数のパスをつないでコレクティブ・カウンターに打って出る。

 これで試合のバランスは取れていたが、いかんせんブライトンはアタッキングサードでシュートに行く形を作れず、結局シティに2点を取られて敗戦になった。

 これでシティは6勝1分けの勝ち点19。前節まで開幕6連勝して首位を走っていたリバプールが第7節は引き分けたため、得失点差でついにシティが首位に立った。

偽SBが予防的カバーリングを行う

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはまずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、ラポルト、オタメンディ、ジンチェンコ。中盤3センターはアンカーにフェルナンジーニョ、右にベルナルド・シウバ、左にダビド・シルバ。3トップはスターリング、アグエロ、サネである。

 立ち上がりからシティは、今季初出場の左SBジンチェンコがしきりに縦に攻め上がるが、そうでないときは右SBのウォーカーとともに偽SB化してアンカー脇のスペースを埋め、2-3-2-3の形を作る。

 なぜペップが偽SBなるものを考案したのか、それはシティの試合を見ればよくわかる。圧倒的なポゼッション率を誇る彼らの対戦相手は、自陣深く引いて守備的に専守防衛でくることが多い。

 ならばシティのSBは縦に上がって攻撃の幅を取るか、そうでなければ自陣CBの横にいる必要などない。かたや4-1-2-3のようにアンカーを置く中盤3センターはアンカーの脇のスペースを狙われやすい。それならシティのSBは敵のカウンターにあらかじめ備えて(予防的カバーリング)一列上がって絞り、2-3-2-3としてアンカー脇を固めておくのがかしこい。そういうことなのだろう。

 一方、シティの攻撃時、ブライトンはディフェンディング・サードに4-5-1のブロックを作り、なるべくゾーンのギャップができないよう、4-5の2ライン間のスペースを圧縮している。で、もしサイドを破られた場合はSBが行くのでなく、「5」のサイドの選手がスライドして対応していた。つまり中央を締めて厚くしようという意図だ。

首位に立ったシティはこのまま走り始めるのか?

 さて試合が動いたのは前半29分だ。ブライトンが攻撃時にミドルサードでボールを失った瞬間、シティは素早いポジティブ・トランジションからショートカウンターをかける。

 まずベルナルド・シウバがアグエロに縦パスを出し、そのアグエロが右に開いたサネにパス。最後はサネがクロスを入れ、スターリングが倒れながら右足インサイドでシュートを決めた。文字通り、あっという間だった。

 シティの2点目は後半20分だ。アグエロがドリブルで中盤を抜け出し、ボックス手前で左にいたスターリングにパス。スターリングはこれをダイレクトで折り返し、アグエロがゴールに沈めた。

 全体にシティにしては攻めあぐねた印象はあったが、ここで勝ち点3を得たのは大きい。ついにシティが首位に立ち、さて、そのまま走り始めるのか? 固唾を飲んで見守るしかない。

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【プレミアリーグ 18/19 第7節】納得の引き分けに両軍監督、破顔一笑 〜チェルシー1-1リバプール

2018-10-01 10:04:33 | イングランド・プレミアリーグ
終了間際にスターリッジが同点弾

 やはりパスのつなぎ合いになると(支配率は別にして)チェルシーのほうがスムーズだった。それを象徴するかのように前半25分、チェルシーは中盤で7本のパスをつなぎ、最後はエデン・アザールが鮮やかに仕上げた。先制弾だ。

 その後はリバプールも盛り返し、ボールを回すがなかなか得点に至らない。

 チェルシーの勝利で終わるかと思われた後半44分、途中出場したリバプールのスターリッジが大きな仕事をやってのけた。ボックス外から左足で糸を引くような強烈な一発をゴール右スミに突き刺した。6連勝してきたチームの無敗を守る同点弾だ。

 スターリッジはケガがちで昨季はWBAにローンで出された。だが今季はサブながら公式戦7試合で目下、チーム得点王のマネと並ぶ4ゴールを挙げている。この日も3枚目の選手交代で出場した「第3の男」だったが、意地の一撃で男を上げた。

 これでリバプールは首位マンチェスター・シティと勝ち点19で並ぶ得失点差の2位。3位のチェルシーが勝ち点17でそれを追う。また開幕2連敗後に5連勝して追い上げてきたアーセナルも、勝ち点15で4位トッテナムと並び得失点差で5位につける。勝負の行くえはまだまだわからない。

チェルシーの先制弾はサラーのサボりが原因

 この試合、両チームのフォーメーションは同じ4-1-2-3だった。チェルシーのスタメンはまずGKにケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーにジョルジーニョ、右がカンテ、左がコバチッチ。3トップはウィリアン、ジルー、エデン・アザールだ。

 一方、リバプールのスタメンはGKにアリソン。4バックは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにヘンダーソン、右がワイナルドゥム、左がミルナー。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 序盤、チェルシーが押し込むと、リバプールはミドルプレス時にマネが左の中盤に下りて4-4-2の守備ブロックを作って対応した。

 両チームともボールを失うと、基本的にはその場でプレスをかけて即時奪回を狙う。だが一の矢がかわされると、ミドルサードまでリトリートしブロック守備に移る。ただしリバプールはチェルシーのビルドアップに対しては、3トップによるハイプレスとミドルプレスを使い分けていた。

 両チームはフォーメーションは同じだが、相手からボールを奪った瞬間の挙動がちがう。リバプールはボールを奪うと素早いポジティブ・トランジションから一気にショートカウンターへ行くが、チェルシーはボールを奪回するといったんパスをつないでポゼッションを確立しようとする。ここは両軍のチームカラーのちがいだ。

 試合が動いたのは前半25分。チェルシーはパスをつなぎにつなぎ、最後はコバチッチがライン裏に抜けたアザールにきれいなスルーパスを出す。受けたアザールがそれをゴール右スミに叩き込んだ。

 美しい得点だったが、ただしきっかけはリバプールの守備のミスだった。チェルシーの中盤でのクサビのボールに対し、リバプールは右SBのアレクサンダー=アーノルドが前へ出てプレスをかけたため右サイドにポッカリ無人のスペースができ、そのスペースへアザールに走り込まれたのだ。

 前へ出た右SBのアレクサンダー=アーノルドと入れ替わりで中盤に下りたサラーが、そのスペースをカバーリングしていればなんてことはなかった。だがサラーはサボって足を止め、自分の目の前を走り抜けるアザールをただ見送った。

 確かにリバプールの3トップは強力だ。だが諸刃の剣でもある。マネとフィルミーノは守備に回っても働くが、サラーの守備意識は目に見えて低い。もしリバプールが首位戦線を脱落するようなことがあれば、そこがネックかもしれない。

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【プレミアリーグ 18/19 第6節】3強対策が進み首位争いは混沌 〜ウェストハム0-0チェルシー

2018-09-28 07:10:06 | イングランド・プレミアリーグ
チェルシー、6連勝ならず

「そうは問屋が卸さない」という言葉がある。

 今季、のっけからマンチェスター・シティとリバプール、チェルシーが連勝を続け、気の早い向きにはもはや優勝争いは3強に絞られたかのようなムードが漂った。

 だが、ことはそう簡単には行かない。他チームによる3強対策が進み、ついにチェルシーの連勝がストップした。しかも内容を見ると、ウェストハムの健闘はフロックでもなんでもない。明らかに研究の成果である。

 これで第6節を終え、リバプールが開幕6連勝の勝ち点18。それを5勝1分けのマンC、チェルシーが追っている。この時点で先を読むのは鬼が笑うが……リバプールはサラー、フィルミーノ、マネの強力3トップの破壊力とチームの勢いで勝つチームだけに、バイオリズムが下がると波ができそうだ。

 とすればこのままリバプールが勝ち続けるとも思えないし、そうなると勢いのリバプールより、システマチックな計算づくの勝ち方ができるマンC有利にも思える。また今節で連勝が止まったとはいえ、チェルシーがこのまま負け始めるとはとうてい思えない。

 はてさて、どうなるのか。

 まあ神のみぞ知る、ということでしばらくは首位争いを興味深く堪能するとしよう。

パスワークを寸断したウェストハムの守備

 さてゲームのレビューへ行こう。まずチェルシーのフォーメーションはいつもの4-1-2-3だ。スタメンはGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤3センターはアンカーがジョルジーニョ、右がカンテ、左がコバチッチ。3トップはウィリアンにジルー、エデン・アザールである。

 さてこの試合、チェルシーは前節に見せた流麗で美しいパスワークがまるで幻だったかのように沈黙した。中央を締めてスペースを消すウェストハムの粘り強い守備にあい、チェルシー側のボールの流れはすっかりブツ切りにされ、各駅停車にされていた。

 エデン・アザールは焦りからかボールを持ちすぎ、ボールを失うまでドリブルを続ける。味方を使わない。個人技の高い選手の典型的な自滅パターンだ。

 ウィリアンにもいつもの切れ味がなく、ジルーに至っては前節に披露した鮮やかなポストプレイがまるで嘘のようにゲームから消えていた。

 一方、ウェストハムはインテンシティの高い守備からボールを奪うと、サイドチェンジを絡めてうまく攻めた。だが残念ながらアタッキングサードで決め切る力がなく、ゴールが奪えない。

 結果、持ち前のパスワークが寸断されたチームと、守備は固いが決定力のないチームの噛み合わせになり、ゲームは0-0の引き分けに終わった。

 前節と今節では、敗れはしたがカーディフがチェルシーおよびマンチェスター・シティ攻略の一端を示した。またこのゲームではウェストハムがチェルシーを封じた。今シーズンの立ち上がり、マンC、チェルシー、リバプールの3強はまるで無人の野を行くかのような勝ちっぷりだったが、次第に中位、下位各チームによる研究が進み対策が取られ始めたようだ。

 さて、ここから果たして3強は新たにプランB、プランCという対抗策を出し、中位、下位による包囲網をうまく出し抜けるのか? いよいよおもしろくなってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第6節】マンC攻略の糸口 〜カーディフ 0-5 マンチェスター・シティ

2018-09-27 08:13:16 | イングランド・プレミアリーグ
フォアプレスで振り向かせない

 結果的に大量得点が入ってしまったが、カーディフがマンチェスター・シティ攻略のための一端を立派に示した試合だった。

 シティのビルドアップに対し、彼らはミドルサードの敵陣側からプレッシングを始めた。カーディフが中央をガッチリ締めて背後から圧力をかけてくるため、シティの選手は縦パスを受けても振り向けず、ダイレクトでバックパスを繰り返した。少なくとも1点目が入るまでは。

 シティがボールを味方に当てても、カーディフはボール保持者の背中に張り付いて決して振り向かせない。この粘りの守備が90分間続けば試合になるが、さてどうなるか? と見ていたが……やはりカーディフの選手は疲れからか次第にスペースを与えてしまうようになり、やられてしまった。

 とはいえ彼らの粘り強いファイティグスピリットには敬意を表したい。このゲームがきっかけになり、マンC攻略の糸口が開けるかもしれない。

わずかなスペースも与えるな

 シティのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKにエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、オタメンディ、ラポルト、デルフ。中盤3センターはアンカーがフェルナンジーニョ、右にベルナルド・シウバ、左にギュンドアン。3トップはスターリング、アグエロ、サネだ。

 冒頭に書いた通り、先制点を取るまでシティの選手は後ろ向きでボールを受けても振り向けず、バックパスばかり繰り返していた。そのカーディフの固い守備網がほどけたのが前半32分だった。

 わずかな狭いスペースを見つけて間受けしたギュンドアンがファーストタッチで振り向き、ベルナルド・シウバに縦パスを出す。ここで守備者の寄せが甘くなり、シウバに中へ折り返しを入れられ、パスを受けたアグエロにシュートされた。

 この先取点が契機になり、まるで堤防が決壊するかのようにシティのゴールが続く。

 前半35分。シティのCKでショートコーナーからサネがクロスを入れ、それをニアでベルナルド・シウバがバックヘッドのような形でボールの軌道を変えて見事にファーに沈めた。

 シティは高い位置でボールを失うと、素早いネガティブ・トランジションからボールを即時奪回する。左SBのデルフは例によって偽SB化してアンカー脇を埋め、中盤の組み立てにも参加している。

 シティの選手は全員が「居るべき場所」へと移動を繰り返し、2タッチ以内で次々にパスをつなぐ。この試合、彼らのポゼッション率はなんと80%を記録した。

 シティの3点目以降は省略するが、いずれもダイレクトプレイやちょっとしたスペースを見つけての機敏なポジショニングが口火を切ったものだ。とすれば彼らを倒すには絶え間ないフォアチェックと、わずかなスペースも与えない守備のポジショニングが必要になる。

 彼らは子供が歩くほんの一歩分のスペースさえあれば何でもできる。絶対にスペースを与えてはいけないーー。

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【プレミアリーグ 18/19 第6節】弱者と強者の対比がくっきり 〜リバプール 3-0 サウサンプトン

2018-09-26 06:06:09 | イングランド・プレミアリーグ
シャキリ先発、リバプールのワンサイドゲームに

 試合開始早々、サウサンプトンは自陣に引き込み、以後リバプールは2バックで押し込み攻め立てるワンマンショーになった。

 たまにサウサンプトンが前がかりになって攻めると、彼らのライン裏にはたっぷりスペースがある。そのスペースに攻め残ったサラーが走り込み、ボールを奪ったリバプールが彼に縦パスを入れるとおもしろいように速攻が決まった。

 この日は新加入のシャキリが先発し、中盤を自由に泳いでゲームを作る。まだ未整理な部分はあるが、リバプールの新しい攻撃の形を披露する形になった。

守備者2人に当たって入る珍しいオウンゴール

 リバプールのフォーメーションは4-2-3-1。スタメンはGKがアリソン。最終ラインは右からアレクサンダー=アーノルド、マティプ、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤は右からマネ、シャキリ、フィルミーノ。サラーの1トップだが、前の4枚は自由に動く形だ。

 サウサンプトンがほぼ自陣に引きっ放しなため、リバプールのビルドアップは2-2-6のような形になる。試合が動いたのは開始間もない前半10分だ。

 マネが前のスペースに入り込んだシャキリに縦パスを出し、シャキリがシュートを打ったが、そのボールが敵の守備者2人に当たって入る、という珍しいオウンゴールになった。

 リバプールの2点目は前半21分だ。右CKからマティプがヘディングであっさり決めた。続く3点目は前半48分、リバプールのFKをシャキリが蹴り、サラーが詰めた。

 サウサンプトンが引いていることもあり、これですっかり楽勝ムードになり、リバプールはフィニッシュをミスしても笑顔がこぼれる親善試合モードに。まったりユルい雰囲気だ。

 サウサンプトンは選手交代で3バックに変え、両ワイドを高く上げる作戦に出たがゴールは生まれない。そうこうするうちリバプールは後半1分にシャキリを引っ込めミルナーを投入、いつもの4-1-2-3に戻して実験モードは終了した。

 同じリーグでも上位と下位ではこれだけ差があるのか、というゲーム。前回も書いたが、ますますマンCとリバプール、チェルシーの3強がトップ争いをする展開になってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】チェルシーはサッリが創ったしなやかな絶世の美女である 〜チェルシー 4-1 カーディフ

2018-09-20 11:52:20 | イングランド・プレミアリーグ
エデン・アザールがハットトリックを達成

 チェルシーは1タッチ、2タッチで何本ものパスが連なる美しいパスサッカーを披露した。両SBを高く上げる淀みないビルドアップから、ジルーのポストプレイが演出する驚愕のゴールまでがひとつの出し物となり、観劇料を払って見る者を虜にした。

 試合前には「アザールと今季初先発のジルーが楽しみだ」と思っていたら、なんとそのアザールがハットトリックを決め、ジルーは2アシストするのだからたまらない。

 これでチェルシーは、リバプールと同じく開幕5連勝。勝ち点15づつで並んだ。それを勝ち点13のマンチェスター・シティが追う。ここまでの彼らの圧倒的なゲーム内容から考えれば、優勝争いは早くもこの3チームに絞られたという感じさえする。

カーディフが先制、嵐の前触れだった

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3だ。スタメンはまずGKがケパ。4バックは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダビド・ルイス、マルコス・アロンソ。中盤はアンカーがジョルジーニョ、右インサイドMFがカンテ、左インサイドMFがコバチッチ。3トップはジルーをCFに右がペドロ、左がエデン・アザールだ。

 立ち上がり、アザールはしきりに中盤へ下りてゲームメイクしている。かたやコバチッチは左SBとCBの間のハーフスペースに落ちてビルドアップに参加。左SBのアロンソは偽SBの動きをして中盤の組み立てに参加したり、インナーラップしてひんぱんに前線へ駆け上がる。またCBのリュディガーは目前にスペースを発見するとドリブルでボールを前に持ち運べる。優れたCBである。

 だがこの日、先制点を取ったのはカーディフだった。前半16分。カーディフは右からのFKをヘッドで折り返したボールをスレイマン・バンバが競り合いながら足で決めた。チェルシーが先取点を取られたのは、今季これが初めてである。

 以後、カーディフは前線と中盤で激しくプレスをかけ、うまく戦っていた。少なくともチェルシーに1点目のゴールを取られるまでは。

ジルーのポストプレイが生んだ美しい2つのゴール

 チェルシーの歓喜は前半37分に訪れた。CBのリュディガーが軽くドリブルしてから、最前線のジルーへ糸を引くようなグラウンダーの斜めの縦パスを出す。

 ゴールに背を向けたジルーはこれをダイレクトでアザールに落とし、アザールは短くドリブルしてゴール左スミへ決めた。2本のパスとシュートがすべて地を這うようなグラウンダーのボールで描かれた美しいゴールだった。

 だが続く前半44分には、それに負けないような絶世の美女がピッチに舞い降りた。

 ジョルジーニョがFKを素早く蹴り、インナーラップしたSBアロンソにパス。アロンソは短くドリブルしてから、左サイドにポジションチェンジしていたペドロにボールを入れる。そのペドロからのセンタリングをゴールに背を向けたジルーが倒れ込みながらダイレクトでアザールに落とし、アザールはひとつ小突いてからゴールに沈めた。

 おそらく神様でも防げないだろう、素晴らしい組み立てからのビューティフル・ゴールだった。あれを食らったカーディフの選手たちには「ご愁傷さま」と言うしかない。

 チェルシーの3点目は後半35分にアザールがPKを蹴ってハットトリックを達成。続く4点目は左サイドでチェルシーが作り、パスが敵に当たったこぼれ球を途中出場のウィリアンがハーフスペースから左45度のシュートをゴール右上スミに突き刺した。

 後半はほとんどチェルシーがボールを握り、ポゼッション率は77%を記録した。いったいこのチームを止めるのはマンチェスター・シティか? それともリバプールか? なんだかゴジラ対キングギドラを観ているような気分になってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】リバプール、余裕の開幕5連勝 〜トッテナム 1-2 リバプール

2018-09-19 11:11:38 | イングランド・プレミアリーグ
両者譲らぬ白熱の攻防

 両チームともボールを失ってもリトリートせず、その場で激しくプレッシングして即時奪回をめざす。そのためフィールド全域で真っ向勝負になり、至る所で火花が飛び散る立ち上がりになった。

 トッテナムはショートパスを足元で丁寧につなぎ、ポゼッションを確立させる。それに対しリバプールがボールを奪って速いカウンターを見舞う展開になった。ゆえにリバプールのポゼッション率は前半で40%を切ったが、逆にシュート数では上回り「やられている感」はない。

 かくて試合はリバプールが効率的な攻めで2点を先制して逃げ切った。リバプールにとっては節目に当たるビッグ6との対戦になったが、相手にボールを持たせても十分に戦えることを証明した一戦になった。

ゴツゴツした手触りの荒々しさ

 リバプールのフォーメーションはいつもの4-1-2-3。スタメンはまずGKがアリソン。最終ラインは右からアレクサンダー=アーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーがワイナルドゥム、右インサイドハーフがミルナー、左インサイドハーフがナビ・ケイタ。3トップはサラー、フィルミーノ、マネである。

 試合はトッテナムがポゼッションする展開になったが、彼らはボールは持ってもアタッキングサードでの破壊力がない。その点、最強3トップを擁するリバプールはケタ違いだ。

 リバプールはポゼッション率ではトッテナムに譲っても、別にベタ引きしているわけではない。トッテナムが少しでもボールを下げると、すかさずラインを上げてプッシュアップする。そしてミドルサードでプレッシングし、ボールを奪えば速攻を決める。

 試合が動いたのは前半39分。リバプールの左CKをトッテナムGKのミシェル・フォルムが弾き、そのこぼれ球をワイナルドゥムがヘディングで押し込んだ。続く後半9分にはマネが左サイドをドリブルで崩し、折り返しは弾かれたもののフィルミーノが詰めた。これでリバプールが悠々2点リードした。

 トッテナム無得点のまま、リバプールのクリーンシートで終わるかと思われた後半48分。トッテナムの左CKがファーへ抜けたところを、ラメラが冷静に胸トラップからシュートを決め、トッテナムが一矢を報いた。

 点差こそ1点差でポゼッション率もトッテナムが上回ったが、内容的にはリバプールこそが勝者にふさわしい試合だった。

 それにしてもリバプールのスペクタクルな3トップは強力だ。昨季の覇者マンチェスター・シティがお公家さんのお上品なサッカーだとすれば、リバプールはゴツゴツした手触りのワイルドなサッカーだ。ゴリっとした荒々しい野生っぷりがたまらない。まだまだ気が早いが、シーズン末の優勝争いが楽しみになってきた。

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【プレミアリーグ 18/19 第5節】マンCの高速パスワークが炸裂 〜マンチェスター・シティ 3-0 フラム

2018-09-18 09:35:33 | イングランド・プレミアリーグ
芸術的な間受けの競演

 マンチェスター・シティは前半2分にいきなりサネのゴールで先制すると、少ないタッチ数で光速パスワークを自在にあやつり独演会を繰り広げた。

 シティの選手はどんなに狭いスペースでも、中央レーンのライン間で間受けを連続させ、ボールをスルスルと前へ運ぶ。ワンツーや3人目の動きを入れながら、フラムの守備者など存在しないかのようにパスをつなぐ。まるですばしっこい無数のゴーカートが、機敏に障害物をよけて走り回っているかのようだ。

 ネガティブ・トランジション(攻→守の切り替え)もいい。ボールを失った瞬間、獲物に飛びかかるスピードとタイミングがものすごく速く、まるでパスカット製造機のようにフラムの甘い横パスをインターセプトし続けた。あれだけ精密でスピーディなサッカーでは、下位や中位のチームではとても勝てないだろう。

選手は引越しを繰り返し電話番号を変える

 シティのフォーメーションは4-1-2-3だが、それは単に試合が始まった時点での電話番号にすぎない。彼らはポジション間で絶えず引越しを繰り返し、電話番号を変える。例えばビルドアップで左SBが高く張り出し3-1-3-3になったかと思えば、偽SBが登場し2-3-2-3になったりする。

 そんなシティのスタメンは、まずGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、オタメンディ、ラポルテ、デルフ。中盤はアンカーがフェルナンジーニョで、右インサイドMFがベルナルド・シウバ。左インサイドMFはダビド・シルバ。3トップはスターリングとアグエロ、サネである。

 前半2分、鮮やかなシティの先制点は鋭いパスカットで始まった。フラムのビルドアップ時、まずGKから右サイドに縦パスが出る。それを受けたフラムの選手が自陣で緩慢な横パスを出したその瞬間、猛スピードでスプリントしてきたフェルナンジーニョがパスカットし、ドリブルから右へ折り返す。直後にゴールを決めたサネは、ダイレクトでただ触るだけだった。

 続く前半21分のシティの2点目は、ベルナルド・シウバが立役者になった。彼がペナルティエリア右のオープンスペースに走り込んでパスを受け、中へセンタリング。ゴール前中央で混戦になったこぼれ球をダビド・シルバがワンタッチで押し込んだ。

 仕上げは後半2分の3点目だ。右サイドからアグエロが敵GKと最終ラインの間に絵に描いたようなシュート性のクロスを入れ、それをスターリングがダイレクトで決めた。自ゴールに向いて守る敵DFがクリアしようとボールに触るとオウンゴールになってしまうコースに強いラストパスが出て、試合は決まった。

 シティがあげた3ゴールは、すべてダイレクトで決めたものだ。パスワークが1タッチ、2タッチならば、シュートも1タッチ。プレイスピードがあまりにも速すぎて敵の守備者はなすすべがない。

偽SB化しカウンターに備えるデルフ

 おもしろかったのは左SBで出場したデルフだ。本来、MFの彼は幅をいっぱいに取ってサイドを激しく上下動し攻撃にも参加する。

 かと思えばチームが3点目を取り安全圏に入ったと見るや、彼は偽SBのポジショニングをしてアンカー脇のスペースを埋める。これで中央を厚くして敵のカウンターに備えると同時に、中盤での組み立てにも加わっていた。

 一方、前線に目をやれば、CFのアグエロはボールを保持する敵GKにまで激しくプレスをかけ、意図的にロングボールを蹴らせてそのボールをチームで回収するスイッチャー役になっていた。

 こんなふうにペップのチームは最前線から最終ラインまで、すべての選手が攻撃と守備の両方に貢献する。相手から見れば敵が22人いるのと同じだ。これでは勝ち続けるのも道理かもしれない。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】ワトフォード、堅守速攻で開幕4連勝 〜ワトフォード 2-1 トッテナム

2018-09-10 07:42:55 | イングランド・プレミアリーグ
2つのセットプレイをモノにし手堅く2点

 開幕3連勝同士の対決だ。昨季14位に終わったワトフォードはFKとCKで手堅く2点をあげ、ビッグ6のトッテナムを破った。ワトフォードは低い陣形から相手にボールを持たせてカウンターを狙うスタイル。いわゆる「弱者のサッカー」が奏功しリバプール、チェルシーと並び見事に開幕4連勝を飾った。

 ワトフォードのフォーメーションはベーシックな4-4-2だ。スタメンはGKがフォスター。最終ラインは右からヤンマート、キャスカート、カバセレ、ホレバス。中盤はドゥクレ、キャプエのセントラルMFに右SHがヒューズ、左SHがペレイラ。2トップはグレイとディーニーだ。

 一方、複数のフォーメーションを操るトッテナムは3-1-4-2で来た。スタメンはGKがフォルム。3バックは右からアルデルヴァイレルト、サンチェス、フェルトンゲン。中盤はアンカーがデンベレ、右インサイドハーフがエリクセン、左インサイドハーフがアリ。右WBはトリッピアー、左WBはデイビス。2トップはケインとモウラだ。

 試合は前半10分すぎからワトフォードがラインを低く構えるようになり、必然的にトッテナムがボールを握った。ポゼッション率は7割近い。かたやワトフォードは堅守速攻。相手にボールを持たせて縦に速いカウンターを狙う。お互いゲームプラン通りだろう。

 トッテナムのビルドアップは3バックが大きく幅を取り両WBを押し出す。これでグラウンダーのパスとサイドチェンジを効果的に使う。足元のパスを正確につなぎポゼッションする。時おり混ぜるロングフィードも武器だ。

 一方、ワトフォードは緻密にビルドアップするというより、ボールを奪ったら早めにライン裏を狙うダイレクト攻撃をする。ボールを失うとリトリートして自陣に4-4のブロックを作り、途中まではボールを持たせるが最後はハードワークでシュートまで行かせない。フィジカルを生かした球際の強さが光る。特にセントラルMFのドゥクレは、しなやかな動きでバネの効いたプレーをするいい選手だ。

ワトフォードは台風の目になるか?

 さて前半はほぼトッテナムのポゼッション・ショーで終わり、後半8分。トッテナムが後方からのロングフィードのこぼれ球をエリクセンが拾いパス・アンド・ゴー。最後は右からの折り返しをワトフォードのドゥクレが胸トラップしたボールがそのまま入ってオウンゴール。トッテナムが先制した。

 これで流れがトッテナムに行くかと思いきや、さにあらず。後半24分。ワトフォードが右45度からのフリーキックにFWディーニーが頭できれいに合わせ同点とする。

 追いついたホームのワトフォードは一転してラインを上げ、猛攻をかける。それまで守備的にプレイしていたSBが上がるようになり、幅の取れた攻撃になる。

 そして後半31分。ワトフォードが左からのコーナーキックにキャスカートがヘディングで左スミに叩き込み、2-1とする。決勝点だ。リードされたトッテナムは3バックを4バック(2バック)に変えて激しく攻めたが届かず。そのまま押し切られた。

 ワトフォードは背伸びしない堅守速攻とハードワーク、またセットプレイを確実にモノにする手堅い試合運びで絵に描いたように開幕4連勝をもぎ取った。戦力を考えればこのまま勝ち続ける可能性は高くないかもしれないが、台風の目にはなりそう。一方のトッテナムは勝利の女神に見放されたがチーム状態はよく、最終的には優勝戦線にからんできそうだ。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】チェルシー、リバプールと並び開幕4連勝 〜チェルシー 2-0 ボーンマス

2018-09-06 09:55:18 | イングランド・プレミアリーグ
後半ドン詰まりに2点連取

 ボーンマスは立ち上がり、激しいハイプレスで入った。彼らのラインは高く、プレスをかわされるとチェルシーにカウンターを食うがリスクを取っている。これで試合の入りはバタバタしたが、前半15分頃からボーンマスがブロック守備に移行してから膠着状態に入る。0-0のまま前半を終え、ボーンマスのゲームプランが奏功したかに見えたが、後半終盤にチェルシーが2点を連取し決着をつけた。

 チェルシーのフォーメーションは4-1-2-3。スタメンはGKがケパ。最終ラインは右からアスピリクエタ、リュディガー、ダヴィド・ルイス、アロンソ。中盤はアンカーにジョルジーニョ。右インサイドMFはカンテ。左インサイドMFにはコバチッチを入れてきた。3トップは右からウィリアン、モラタ、エデン・アザールだ。

 ボーンマスは3バック。立ち上がりを除き、相手ボールになると彼らは自陣に5-4-1のゾーンを敷いた。これでチェルシーのビルドアップに対し、ミドルサードの敵陣側からプレッシングする。チェルシーがサイドにボールを出すと、中盤の4枚がボールサイドにスライドする。

 チェルシーは意識的にか、真ん中のゾーンを使っている。これで敵を中央に引きつければサイドが空く。で、サイドを使う。そういうことなのだろう。

ハーフコートマッチになるも均衡破れず

 こうしてボーンマスがハイプレスをやめ、リトリートするようになった前半20分頃からはチェルシーが押し込み始め、次第にハーフコートマッチの様相を呈してきた。

 とはいえボーンマスの選手は意外にキープ力があり、自陣でボールを奪うとパスをつないでチェルシー陣内になだれ込む。だがアタッカーの人数が少なく、得点には至らない。ポゼッション率は圧倒的にチェルシー優勢だが、ボーンマスのカウンターも効いてゲームは完全な膠着状態になった。

 このジリジリするような一進一退の攻防に決着をつけたのはチェルシーだった。後半27分。チェルシーは左サイドで縦パスを2本つないで途中出場のペドロが同じく途中出場のジルーの足元に当て、そのダイレクトの落としをゴール左スミに決めた。

 続く後半40分には左サイドでチェルシーのアザールがアロンソにいったんボールを預け、そのリターンをもらってファーサイドに決めた。ボーンマスは健闘したが、疲れからか後半大詰めにきて立て続けに失点。万事休した。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】リバプール、ビルドアップに課題も開幕4連勝 〜レスター 1-2 リバプール

2018-09-05 09:03:46 | イングランド・プレミアリーグ
GKアリソンのミスで痛い1失点

 リバプールはどうもボールが落ち着かない。レスターに競り合いにされ、いつものパスワークが見られない。レスターのプレッシングがキツく、ビルドアップもままならない。ポゼッションできない。そんな「ないないづくし」の試合だったが、強引に個の力で押し切った。そこがリバプールの強みである。

 リバプールのフォーメーションはいつもの4-1-2-3。スタメンはGKがブラジル代表のアリソン・ベッカー。最終ラインは右からアーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにスタメン復帰したヘンダーソン、右インサイドMFはワイナルドゥム、左インサイドMFはミルナーと変えてきた。3トップは昨季得点王のサラーと偽9番のフィルミーノ、セネガル代表のマネである。

 最初の得点はリバプールだった。試合開始10分だ。左SBロバートソンのマイナスのクロスを、マネが腿でトラップしたあと2タッチ目でゴール左スミに叩き込んだ。マネはパスを受ける直前、前に飛び出すスピードを微妙にタメて角度を作り、マイナスのパスコースを作り出した。あれで決まった。

 さて、これで今日もゴールラッシュか? と思われたが、さにあらず。リバプールのボールになるとレスターは前から積極的にプレスをかけ、自由にさせない。おかげでボールのつなぎに珍しくミスもあり、リバプールは苦し紛れにビルドアップを省略しロングボールを入れたりしている。

 いつもの、アンカーがたくさんボールに触り、SBをフル活用したビルドアップができてないのだ。今日は開幕からずっとアンカーを務めたワイナルドゥムでなく、復帰したヘンダーソンが代っているせいか? それともレスターのプレッシングのせいか? その両方だろう。

 そのためクロップは修正策として後半26分にヘンダーソンを引っ込め、ずっとスタメンだったナビ・ケイタを投入して左インサイドMFとし、アンカーをいつものワイナルドゥムに代えている。

クロップはプランBを用意する必要がある

 そんな厳しい状況だったが、この日の2点目もリバプールだった。前半45分だ。右CKからフィルミーノがあっさりヘッドで決めた。よく見るとフィルミーノは目前で行われた競り合いから抜けてくるボールに対し、すかさずフリーになる動きをしている。カンタンに決めたように見えるが、ここが隠し味だ。

 ところが後半18分には、レスターがラシド・ゲザルのゴールで1-2と追い上げる。この得点シーンは大いに議論を呼ぶだろう。リバプールのGKへのバックパスがそれ、GKアリソンが飛び出したのだがボールを奪われ、センタリングされて失点したのだ。

 足技に自信のあるGKアリソンは、このとき余裕で敵をかわそうとしたのだが失敗した。クリアすればなんでもないのにGKとしてはあり得ないミスだった。

 試合は結局そのままリバプールが押し切ったが、課題の残るゲームだった。第2節で戦ったクリスタル・パレスもこの日のレスター同様リバプールを研究し、プレッシングとSHのポジショニングでリバプールのビルドアップを阻害してきた。それならクロップはプランBを用意する必要がある。さて彼はどう出るのか? 期待して待とう。

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【プレミアリーグ 18/19 第4節】ブロック守備を無効化するマンCの魔法 〜マンチェスター・シティ 2-1 ニューカッスル

2018-09-03 10:26:03 | イングランド・プレミアリーグ
冴える間受けとフリーラン

 アウェイのニューカッスルは5-4-1で、前節チェルシー戦に引き続き相手ボールになると全員が自陣へ引くディフェンシブなプランで来た。ただニューカッスルは人で自陣のスペースを密に埋めているように見えるが、マンチェスター・シティはライン間でうまくボールをつないでゾーンのギャップを突く。

 シティはまるで守備ブロックなど存在しないかのように、針の穴を通すようなパスが次々につながる。絶妙な間受けとポストプレイ、フリーランニングで敵のブロック守備を無効化している。

 そのマンチェスター・シティのフォーメーションは4-4-2だ。スタメンはGKがエデルソン。最終ラインは右からウォーカー、ストーンズ、ラポルト、メンディ。中盤はリヤド・マレズ、フェルナンジーニョ、ダビド・シルバ、スターリング。2トップはジェズスとアグエロである。

 シティの中盤センターでは、フェルナンジーニョがアンカー的に常にバイタルエリアを埋めている。彼らは相手に引かれてはいるが、ビルドアップに何の障害もない。中央のフェルナンジーニョ経由、またはサイドのスペースを使ってスルスルと前へボールを運ぶ。

ウォーカーの地を這うようなミドルシュート

 試合が動いたのは前半8分だ。左サイドでシティのメンディからスターリングに縦パスが通り、スターリングは右に切り返してゴール右スミに冷静に叩き込んだ。シティの先制だ。

 これに対してニューカッスルは前半30分。ケネディのポストプレイからロンドンが左でタメて、右サイドをロング・スプリントして上がってきたイェドリンにパス。イェドリンはこれをダイレクトで決めた。1-1の同点である。

 ニューカッスルは同点に追いついて守備が締まり、以後はシティを手こずらせた。だが、それもつかの間。後半7分。バックパスを受けたシティのウォーカーが、ニューカッスルの守備ブロックの外から地を這うようなミドルシュートを突き刺し2-1と突き放した。これでジ・エンドだ。

 前節のチェルシー戦で「ホームなのに守備的すぎる」と批判されたニューカッスル。だが彼らは自分たちの戦力と対戦相手との力関係を計算し、現実的な戦い方をしている。非難されるいわれはない。

 現にこのゲームでも引き気味ではあったが、ファイティグスピリットは光った。特に自陣からゴール前まで、右の大外を猛ダッシュしてゴールを決めたイェドリンのスプリントはすばらしかった。なかなか結果は出ないが、腐らずがんばってほしい。

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【プレミアリーグ 18/19 第3節】リバプール、首位に躍り出る 〜リバプール 1-0 ブライトン

2018-08-29 07:42:05 | イングランド・プレミアリーグ
不動のスタメンで3連勝

 リバプールは開幕から無失点の2連勝でブライトン戦に臨んだ。この試合もリバプールは高いポゼッション率で敵を自陣に釘付けにする。ブライトンを押し込み、またも無失点による3連勝だ。これでリバプールは堂々、首位に躍り出た。

 リバプールのフォーメーションはいつもの通り4-1-2-3。スタメンも不動だ。GKがローマから新加入のブラジル代表アリソン・ベッカー。最終ラインは右からアーノルド、ゴメス、ファン・ダイク、ロバートソン。中盤はアンカーにワイナルドゥム、右インサイドMFはミルナー、左インサイドMFはRBライプツィヒから新加入のギニア代表ケイタ。3トップは昨季得点王のサラーと偽9番のフィルミーノ、セネガル代表のマネである。

 リバプールのビルドアップはいつものように両SBが高く張り出し、2-3-2(ワイド)-3や2-1-4-3の形になる。またアンカーが両CBの間に下りたり、左右どちらかのMFがCBとSBの間に落ちて3バックを形成する3-1-3-3などのバリエーションもある。またセントラルMF経由のルートもあり、ビルドアップは2ルートだ。

 一方のブライトンは4-5-1で、中盤に5人をフラットに並べる。これで相手ボールになれば自陣にリトリートし4-5-1の守備ブロックを作る。ブライトンが攻撃してアタッキングサードまで到達する頻度は高くないが、それでも強固な守備から鋭いカウンターを狙っている。やるべきことが明確なサッカーだ。

ポジショナルプレー全開の完璧なゴール

 さて、この試合唯一のスペクタクルな得点は前半23分に訪れた。中盤でのブライトンのFKからのボールにリバプールのミルナーが激しくプレスをかけ、ロストさせる。

 このセカンドボールを拾ったマネはダイレクトで右にいたフィルミーノに斜めのパス。そしてフィルミーノが右のサラーにダイアゴナルなボールを出し、最後は3人目の動きをしたサラーがゴール左スミにダイレクトで突き刺した。ポジショナルプレー全開の完璧なゴールだった。

 ブライトンがFKを蹴った時点でまずフィルミーノがプレスのスイッチを入れ、同時にミルナーはプレスからのボール奪取を明らかに最初から狙っていた。リバプールはプレッシングからのボール奪取とショートカウンターを有機的に連動させている。

 加えてボール奪取時、サラーとフィルミーノ、マネはフィルミーノを頂点とする逆三角形のポジショニングをしていた。トランジェント志向とポジショナルプレーを融合させたパーフェクトなオーガナイズである。

 失点後、ブライトンはブロックの位置を高くしてやや攻撃的なプランBに変えたが、時すでに遅し。リバプールに行った流れは取り戻せなかった。

 この試合のリバプールの3トップはいつもなら攻め残るサラーも含め、相手ボールになれば下がって守備もしていた。その意味では全員サッカーで奪った貴重なゴールだ。得点は1ゴールだけだったが、非常に密度の濃いゲームだった。

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