すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

日本に「ゲシュタポ」を作ってどうする? 人権擁護法案が招く暗黒の世界

2005-04-06 02:13:24 | 社会分析
 おい、みんな。おキラクにネットなんかしてる場合じゃないぞ。何がって、今、とんでもない法律がまかり通ろうとしてるんだよ。政府が今国会に再提出を目指してる「人権擁護法案」のことだ。

 といわれても「なにそれ?」って人も多いだろう。で、まずはこやつの骨子と、問題点をカンタンに整理してみよう。

◆5人の人権委員会、人権擁護委員2万人からなる組織が、「この行為は差別だ」と独断でジャッジしたら罰則が下される。

⇒そもそも、いったいだれが委員になるのかが不明。「差別」の基準もあいまいで、いくらでも拡大解釈できる。人権委員会は差別と決めたらもうナンでもアリ、いわば「神」の集団である。これにより、あらゆる芸術活動、言論活動が萎縮する可能性がある。

◆人権委員会は、人権侵害、および「人権侵害を誘発・助長する恐れ」のある発言や出版などに対し、調査する権限を持つ。人権侵害が疑われると、委員会は該当者を出頭させることができる。

⇒あやふやな基準で「差別」と疑われ、調査されたり出頭させられる。

◆委員会は証拠品の提出や、立ち入り検査などの措置を取ることができる。委員会は「令状なし」で立ち入り検査まで行える。

⇒罰則を含む「措置」はなんと裁判所の令状もなしで、人権委員会の判断だけで行われる。警察でさえこんな権限はもってない。まさに超法規的集団である。一歩まちがえるとほかならぬ彼ら自身が、逆にとんでもない人権侵害を犯す可能性がある。

◆委員会はこうした措置に非協力的な人物に対し、罰則を課すことができる。たとえば「氏名等を含む個人名」を公表する権限がある。

⇒あいまいな基準でプライバシーを侵され、「差別者」の烙印を押されたあげく、名前を公知される。

◆差別と判断されて実は冤罪だった場合、人権委員会は訂正・謝罪する事はない。

⇒はぁ? ていうか、「差別者だ」と公に告知されたあとで、訂正なんかしてもらっても後の祭りだ。本人の名誉回復はとてつもなくむずかしい。

◆委員会をコントロール(抑止)する機関や法律がない。

⇒人権委員会が差別と判断したら止めようがない。たとえ組織が暴走したとしても「やりっぱ」である。

 これっていわば、「絶対にまちがえない正しい独裁者ならば、国の運命をまかせてもいいね」って論理でできてる法案なわけだ。チェック機構がないんだから。

 あるいはまた、被疑者を一方的に断罪する「セクハラ論議」とも共通してる。女性本人が「イヤだ」と感じさえすれば、すべてがセクハラ。片思いの好きな男性にされるんならいいけど、同じことをイヤな相手にされたらそれはセクハラ。

 なんでもかんでも「人権委員会」が独断で決める、この法案と似てないだろうか?

 さすがに自民党の中にも「これはヤバイ」と考える議員もいて、4月6日付の読売新聞によれば、総勢30人が法案に反対するための懇談会を設立したようだ。
 
 こんなのが可決されたら、まさに暗黒時代の到来だ。日本に「ゲシュタポ」を作ってどうしようっていうんだ?

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コメント (3)
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