すちゃらかな日常 松岡美樹

サッカーとネット、音楽、社会問題をすちゃらかな視点で見ます。

なぜ日本では議論が生まれにくいのか? ──議論とケンカのメンタリティ

2005-08-28 09:51:42 | メディア論
「真性引き篭もり」さんはエントリー「なぜ議論をしたいと思うのか、何を目指して議論をするのか」の中で、議論好きな人間は「人を見下し叩きのめすことで快楽を得るタイプ」だという。これはちがうと思うぞ。

議論好きな人々の多くは、「勝利至上主義」という誰かを見下し叩きのめす事に快楽を得タイプ、あるいは議論くらいでしかコミニケーションが取れないコミニケーション不全の孤独人間であると感じる。(同エントリーより)
 たしかにあちこちブログを読んでると、議論することの目的が「勝つこと」になってる人はいる。一面それは事実だし、そもそもhankakueisuuさんはどっからが本気でどっからがネタなのかわかんない微妙な文章を書くので(笑)、マジレスするのもアレかもしんないけれど。

 たとえば議論していて、自分が想像もしなかった斬新な視点物の見方を提示され、おどろくことはしょっちゅうある。それってすごくエキサイティングな体験だ。人と議論したことで人生が変わっちゃう人だってたくさんいるだろう。

 これって本を読んで「なるほどそんな考え方もあるのか」とか、「世の中にはこんなことがあったんだ」と自分が広がっていくのと同じだ。私にとって議論で相手の意見を聞くのは、「自分の知らないことが書いてある本を読む」のとイコールなのだ。

 だから「議論に勝つのが目的で議論してる人」のメンタリティってのが、これまたさっぱりわからない。「日本人は議論がヘタだ」、「日本人は議論するとたいていケンカになる」とよくいわれるのは、勝つことが目的でやってる人が多いからなのかもしれない。

 もっといえば日本人は、反対意見をぶつけられると自分自身の自我が傷つけられたように感じる人が多いんだと思う。でもそういうことじゃないんだよなあ。

 たとえば「BLOG STATION」さんはエントリー「批判について考える 」の中で、「はてなグループ」を引用しながらこう書いている。

■価値観って、人格の一部でしょ?

「○○って映画を見たけど面白かったよぉ」「それって宣伝先行のクソ映画でしょ。しかもパクりだし」「ねぇ、どうして私にケチをつけるの?」「えっ? 映画にケチはつけたけど、君にケチはつけていないよ」「ひどい。バカにしているのね」
 (はてなグループ:モヒカン族 - キーワード「ムラ社会」)

私たちは全員、ムラ社会の中に住んでいます。(もちろん、モヒカン族も例外ではありません。)
モヒ男君は、「映画にケチはつけたけど、君にケチはつけていないよ」と言い訳していますが、「○○という映画が面白い」と言っている、ムラ子さんという人間の価値観を否定していることに、気づいていないようですね。
 私の意見はまったくちがう。

 モヒ男クンの荒っぽい言い方に是非はあるだろうが、なんでこれが「ムラ子さんの価値観を否定してる」ことになるのか、私にはまるでわからない。そもそもこれを「批判」と表現してること自体が理解できない。

 つまり前述したようにムラ子さんは、自分とはちがう意見をぶつけられたことで「自我が傷つけられた」と感じてるわけだ。「BLOG STATION」さんの見方も同じだ。そうじゃないだろう、と私は思う。

 このモデルケースについては「むだづかい日記♂」のえっけんさんも、似たようなことを書いているので参考までにリンクを。私とえっけんさんの意見は微妙にちがう部分もあるが、方向性としては同じだ。
「事実確認は人格の否定ではないしょ」
「ネット上で議論を仕掛ける事について」

 たとえば上記のケースを例に取れば、意見のぶつかり合いがケンカにしかならないケース【パターン1】と、生産的な議論になるケース【パターン2】はこんなふうだろう。

【パターン1】

ムラ子「○○という映画はおもしろかった」

モヒ男「オレはおもしろくないと思う。なぜならば~」⇒論拠Aを提示する

ムラ子 ⇒この時点で自我を傷つけられたと感じ、「感情的」な反応をする。

結論●ケンカにしかならない

【パターン2】

ムラ子「○○という映画はおもしろかった」

モヒ男「オレはおもしろくないと思う。なぜならば~」⇒論拠Aを提示する

ムラ子「じゃあ、なぜ自分はおもしろいと思ったのか?」について、冷静に論拠Bを提示する

結論●論拠Aと論拠Bをもとに、生産的な議論が発生する

 日本のブログはアメリカとちがって議論が生まれにくい、とかいわれるのも、日本では【パターン1】になるケースが圧倒的に多いからだろう。まあ個人的には日本のブログだって、除々に議論ができるようになってきてるとは思うけどね。
コメント (18)
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