新監督ポステコグルーがスパーズを生まれ変わらせた
世界中から猛者が集まるプレミアリーグは、第10節を終えた序盤戦で早くも優勝候補が絞られたような感がある。ズバリ、マンチェスターシティとトッテナム・ホットスパー、そしてアーセナルが有力だ。
なかでも第10節終了時点で8勝2分けと負けなしの勝ち点26で首位に立つスパーズは調子がいい。監督が横浜F・マリノスとセルティックで結果を出した戦略家ポステコグルーに代わり、なにより選手のメンタルが激変した。選手たちがイキイキとのびやかにプレーしているのが手に取るようにわかる。アンジェ・ポステコグルーのモチベーターぶりが光っている。
昨季までの彼らは単に「ビッグ・シックス」の1クラブというだけで、淡々とルーティーンワークをこなすサラリーマンみたいな集団だった。熱いものがなく、そこそこの成績は残すが優勝は絶対しない。そんな万年課長みたいなチームだった。
だが今季は新監督ポステコグルーの薫陶を受け、8ゴールを上げて得点ランキング2位にいる韓国代表FWソン・フンミンを筆頭に、レスターから移籍してきたイングランド代表MFジェームズ・マディソンも第10節を終えて3ゴール5アシストと爆発している。
またメンタルの問題を抱えていることを明かし、不振に陥っていたブラジル代表FWリシャルリソンも復活の兆しを見せている。
ポステコグルーのサッカーはお得意のハイライン・ハイプレスだ。コンパクトな陣形を保ち、ゾーンを圧縮して敵を窒息させる。最終ラインから少ないタッチ数でグラウンダーのショートパスをていねいに繋ぎ、ビルドアップするスタイルである。
ただしシティやアーセナルとくらべると、選手層がそう厚いとは言えないのが減点ポイントか? だがチームの勢いは彼らが明らかに断トツだ。
手堅いシティはFWドクに注目だ
これに対し、8勝2敗の勝ち点24で3位につけているペップ率いるマンチェスター・シティーも、強さに揺るぎがない。エースのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドは、11ゴールで相変わらず得点ランキングのトップにいる。
また今季はなによりスタッド・レンヌから移籍してきたベルギー代表FWジェレミー・ドクがすさまじい。
筋肉隆々で躍動感がハンパない彼は無双のドリブルでごりごりサイドを食い破り、チームのチャンスを作り続けている。しかもそんな彼とポジション争いをしているのが、イングランド代表MFのジャック・グリーリッシュなのだから選手層の厚さに驚かされる。
シティーは大黒柱のMFケビン・デ・ブライネが長期離脱中なのが不安材料だが、同じく離脱中だったMFマテオ・コバチッチとMFベルナルド・シウバが戻り、出場停止処分が解けてMFロドリが復帰したのも大きい。あのデ・ブライネがいなくても3位につけているのだからすごい。
勝ち慣れている彼らは試合運びもうまく、安定感がある。ペップの魔法も相変わらず健在で、手堅い優勝候補であることはまちがいない。
選手層が分厚いアーセナルも有力だ
選手層という意味ではプレミアリーグで1、2を争うのがアーセナルだ。彼らは7勝3分けの負けなし。勝ち点24で2位につけている。目玉は右WGで使われるブカヨ・サカの突破力だ。
また第10節のシェフィールド・ユナイテッド戦でハットトリックを達成したFWエドワード・エンケティアやFWガブリエル・マルティネリなど、あのトロサールやウーデゴールらがスタメンで出られないくらいの層の厚さを誇る。
このチームの死角といえば左SBオレクサンドル・ジンチェンコの守備力くらいだが、彼は偽SBをはじめ攻撃への貢献度が高いので監督のミケル・アルテタも外せないところ。試合展開に応じて冨安を途中投入するなどしてやりくりしているが、この左SBのレギュラー争いも見物のひとつだ。
個人的には冨安はCBで使ってほしいが、まあ上がつっかえているので仕方ない。
もうひとつアーセナルの死角を挙げるなら、個人的な印象だが指揮官アルテタの胆力だろうか。彼は見た目が神経質そうで、どこかどっしりとした余裕が感じられない。常にピリピリと何かにイラ立っているように見える。
昨季、ペップにひっくり返されて逆転優勝されたように、監督としての器がまだ板についてないように感じる。ペップやポステコグルーのような「俺にまかせろ」感がイマイチ感じられない。「このおっさんのために死ぬ気でプレーしよう」と選手に思わせる「何か」が欠けているような気がする。まあ個人的な印象だが。
チェルシーとマンUの再建はあるか?
このほかリバプールも爆発的な攻撃力・得点力があり有望だが、今季は本職じゃないマクアリスターがバイタルエリアを守る「アンカー問題」が解決しない限り守備が安定しないので優勝はないと見る。
そのほかマンチェスターユナイテッドとチェルシーは絶対に優勝はない(笑)。今季のチェルシーは「ひょっとしたら立ち直るのでは?」と微かな期待をして観ていたが、まさか第10節でブレントフォードに0-2で負けるなんて夢にも思わなかった。しかも内容が悪すぎる。やれやれだ。
他方、マンUももはや「負け慣れ」してしまい回復の兆しがない。
この2チームは「昔の名前で出ています」という看板だけのチームだ。有名なだけで抜け殻である。いちばん深刻なのは選手のメンタルだ。覇気もなければヤル気もない。
スパーズも昨季まではこの駄目グループに属したが、名モチベーターのポステコグルーが見事に立て直した。マンUとチェルシーも選手のメンタルをゼロからモチベートできる人物が監督にならない限り、浮上はむずかしいだろう。
このほか優勝まではないだろうが、アストン・ヴィラとニューカッスルもいいサッカーをしている。見ごたえがある。あと個人的には、順位は下の方だがウルヴズも面白い存在だ。
彼らはガッツのあるメンタルで非常に攻撃的だ。かつ、負けていても絶対に試合を諦めない(マンUやチェルシーは彼らの爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい)。選手別では、FWペドロ・ネトとFWファン・ヒチャンのプレイは必見だ。見て損はない。おすすめです。
世界中から猛者が集まるプレミアリーグは、第10節を終えた序盤戦で早くも優勝候補が絞られたような感がある。ズバリ、マンチェスターシティとトッテナム・ホットスパー、そしてアーセナルが有力だ。
なかでも第10節終了時点で8勝2分けと負けなしの勝ち点26で首位に立つスパーズは調子がいい。監督が横浜F・マリノスとセルティックで結果を出した戦略家ポステコグルーに代わり、なにより選手のメンタルが激変した。選手たちがイキイキとのびやかにプレーしているのが手に取るようにわかる。アンジェ・ポステコグルーのモチベーターぶりが光っている。
昨季までの彼らは単に「ビッグ・シックス」の1クラブというだけで、淡々とルーティーンワークをこなすサラリーマンみたいな集団だった。熱いものがなく、そこそこの成績は残すが優勝は絶対しない。そんな万年課長みたいなチームだった。
だが今季は新監督ポステコグルーの薫陶を受け、8ゴールを上げて得点ランキング2位にいる韓国代表FWソン・フンミンを筆頭に、レスターから移籍してきたイングランド代表MFジェームズ・マディソンも第10節を終えて3ゴール5アシストと爆発している。
またメンタルの問題を抱えていることを明かし、不振に陥っていたブラジル代表FWリシャルリソンも復活の兆しを見せている。
ポステコグルーのサッカーはお得意のハイライン・ハイプレスだ。コンパクトな陣形を保ち、ゾーンを圧縮して敵を窒息させる。最終ラインから少ないタッチ数でグラウンダーのショートパスをていねいに繋ぎ、ビルドアップするスタイルである。
ただしシティやアーセナルとくらべると、選手層がそう厚いとは言えないのが減点ポイントか? だがチームの勢いは彼らが明らかに断トツだ。
手堅いシティはFWドクに注目だ
これに対し、8勝2敗の勝ち点24で3位につけているペップ率いるマンチェスター・シティーも、強さに揺るぎがない。エースのノルウェー代表FWアーリング・ハーランドは、11ゴールで相変わらず得点ランキングのトップにいる。
また今季はなによりスタッド・レンヌから移籍してきたベルギー代表FWジェレミー・ドクがすさまじい。
筋肉隆々で躍動感がハンパない彼は無双のドリブルでごりごりサイドを食い破り、チームのチャンスを作り続けている。しかもそんな彼とポジション争いをしているのが、イングランド代表MFのジャック・グリーリッシュなのだから選手層の厚さに驚かされる。
シティーは大黒柱のMFケビン・デ・ブライネが長期離脱中なのが不安材料だが、同じく離脱中だったMFマテオ・コバチッチとMFベルナルド・シウバが戻り、出場停止処分が解けてMFロドリが復帰したのも大きい。あのデ・ブライネがいなくても3位につけているのだからすごい。
勝ち慣れている彼らは試合運びもうまく、安定感がある。ペップの魔法も相変わらず健在で、手堅い優勝候補であることはまちがいない。
選手層が分厚いアーセナルも有力だ
選手層という意味ではプレミアリーグで1、2を争うのがアーセナルだ。彼らは7勝3分けの負けなし。勝ち点24で2位につけている。目玉は右WGで使われるブカヨ・サカの突破力だ。
また第10節のシェフィールド・ユナイテッド戦でハットトリックを達成したFWエドワード・エンケティアやFWガブリエル・マルティネリなど、あのトロサールやウーデゴールらがスタメンで出られないくらいの層の厚さを誇る。
このチームの死角といえば左SBオレクサンドル・ジンチェンコの守備力くらいだが、彼は偽SBをはじめ攻撃への貢献度が高いので監督のミケル・アルテタも外せないところ。試合展開に応じて冨安を途中投入するなどしてやりくりしているが、この左SBのレギュラー争いも見物のひとつだ。
個人的には冨安はCBで使ってほしいが、まあ上がつっかえているので仕方ない。
もうひとつアーセナルの死角を挙げるなら、個人的な印象だが指揮官アルテタの胆力だろうか。彼は見た目が神経質そうで、どこかどっしりとした余裕が感じられない。常にピリピリと何かにイラ立っているように見える。
昨季、ペップにひっくり返されて逆転優勝されたように、監督としての器がまだ板についてないように感じる。ペップやポステコグルーのような「俺にまかせろ」感がイマイチ感じられない。「このおっさんのために死ぬ気でプレーしよう」と選手に思わせる「何か」が欠けているような気がする。まあ個人的な印象だが。
チェルシーとマンUの再建はあるか?
このほかリバプールも爆発的な攻撃力・得点力があり有望だが、今季は本職じゃないマクアリスターがバイタルエリアを守る「アンカー問題」が解決しない限り守備が安定しないので優勝はないと見る。
そのほかマンチェスターユナイテッドとチェルシーは絶対に優勝はない(笑)。今季のチェルシーは「ひょっとしたら立ち直るのでは?」と微かな期待をして観ていたが、まさか第10節でブレントフォードに0-2で負けるなんて夢にも思わなかった。しかも内容が悪すぎる。やれやれだ。
他方、マンUももはや「負け慣れ」してしまい回復の兆しがない。
この2チームは「昔の名前で出ています」という看板だけのチームだ。有名なだけで抜け殻である。いちばん深刻なのは選手のメンタルだ。覇気もなければヤル気もない。
スパーズも昨季まではこの駄目グループに属したが、名モチベーターのポステコグルーが見事に立て直した。マンUとチェルシーも選手のメンタルをゼロからモチベートできる人物が監督にならない限り、浮上はむずかしいだろう。
このほか優勝まではないだろうが、アストン・ヴィラとニューカッスルもいいサッカーをしている。見ごたえがある。あと個人的には、順位は下の方だがウルヴズも面白い存在だ。
彼らはガッツのあるメンタルで非常に攻撃的だ。かつ、負けていても絶対に試合を諦めない(マンUやチェルシーは彼らの爪の垢でも煎じて飲んでもらいたい)。選手別では、FWペドロ・ネトとFWファン・ヒチャンのプレイは必見だ。見て損はない。おすすめです。