3月5日
昨夜はとても暖かく寝ることが出来ました。
雪洞の入り口をしっかり閉じたせいか寝袋の中が暖かく、時々、腕を寝袋の外へ出したくらいです。
3時半に起きましたが、何せ雪洞の中は真っ暗です。
みんなの話を聞くと誰もが十分な睡眠を取ったようです。
さっそく寝袋をしまって食事の準備をします。
今日の出発準備は、今夜もこの雪洞で寝る予定ですのでソエマツ岳へのアタックに必要のない物は
雪洞の中へ置いていきます。
順調に準備が進み、さあいよいよ雪洞の入り口を開けます。
天気はどうでしょうか?
ちょっとドキドキする瞬間です。
入り口のブロックを崩した途端に明るい光が雪洞を満たします。
明るい空がポッカリ開いた入り口から見えています。
さあ、今日は頑張らなければなりません。
外へ出るとピリカヌプリの山頂に雲が掛かっています。
風の強さも昨日とあまり変わりません。
6時少し前にソエマツ岳に向かって出発です。
歩くにしたがってピリカヌプリの山頂に張り付いていた雲が動きます。
そして、ピリカヌプリがその綺麗な姿を見せてくれました。

ほんのりと朝日に輝くピリカヌプリです。
十分な睡眠が取れたメンバーの意気も上がります。

今日のルートは大きな雪庇がないものの所々尾根が狭いところもあり注意が必要です。
後ろを振り返ると太陽の光が雲の合間から射しており、赤く輝くサンピラーが見えています。

ピリカヌプリのコルに向かって歩いていると狭い尾根があります。
十勝側に雪庇があり十分に注意をして歩いていました。
丁度、私がトップを歩いている時です。
私の刺したストックの右手50センチ位のところから「ズン!」という低い音と共に幅1メートル、長さ7~8メートルの雪庇が崩れました。
でも、私の歩いていたところは固い雪の斜面なので、この足元から崩れることはないと思って歩いていました。
ですから、雪庇が崩れても何の動揺もありません。
ドンドン先へ向かって歩きます。
私達は交代でトップを変わります。
4人とも誰がトップに出ても良いだけの力量を持っています。
ですから、安心して歩くことが出来ます。

晴れていた天気が微妙に曇ってきます。
浦河側(西側)からは始終強い風が吹き付けています。
その強い風により顔の左頬が冷たくなってきます。
凍傷にならないようにジャケットのフードを深く被ります。
いよいよピリカヌプリへの登りになります。

シュカブラで固くなった雪面に苦労しますが、この辺りは広い尾根ですのでストックを使って登ります。

登るに従って視界が悪くなってきます。
いよいよ山頂下かと思うところでストックからピッケルに換えて登ります。
滑落した場合に備えたのですが、シュカブラした急な雪面はそれほど長くはありませんでした。
8時、雪洞を出発してから約2時間で山頂へ到着です。

ピリカヌプリの山頂は、On氏を除いて初めてのメンバーです。
あたりはすっかり視界が50mほどに落ちています。
風も強くなっています。
ここで、ソエマツ岳へ進むかどうか話し合います。
この先の稜線は視界がないと歩くのが大変です。
天気予報より早く天気が崩れているようです。
停滞するとしたら、しっかりと作った雪洞があります。
食料も燃料も2~3日は十分に耐えられるだけの量があります。
しかも、時間はまだ8時なのです。
もう少し先まで歩いてみるかという意見もありました。
でも、話し合った結果、ここから下山することにしました。
停滞するとしても、何日になるか分かりません。
ここを冒険する必要はありません。
さあ、下山すると決めたらグズグズしている時間はありません。
直ちに下山開始です。

こんな稜線を歩いてたのです。

トヨニ岳は雲の中です。
雪洞へ戻ると荷物をまとめてパッキングをします。
稜線の風は強くなってきます。
ここからは、まず、1512mまでの急斜面を登らなければなりません。
我慢の時間が続きます。
途中で2度ほど休憩を取りましたが、稜線を十勝側に2~3m外れると風がまったく吹いていません。
風が当たらなければ暖かいくらいなのです。
気温は-3~4度でしょうか。
午後2時過ぎにトヨニ岳の南峰下に作った雪洞に到着です。
この雪洞で休憩を取り、軽く行動食を食べて少なくなった水を作っておきます。
1人当たり500ccの水を作ります。
ここで私とKm氏がスノーシューを付けて歩きます。
リーダーのSz氏とOn氏はアイゼンを付けたままで歩きます。
しかし、南東尾根は急な斜面です。
スノーシューを付けたまま滑ってしまいます。
それを騙し騙し降るのですが、何度か転んでしまいます。
Sz氏達のアイゼン組は、登ってきた時のトレースを上手く使って降ります。
トレースは固くなっているのであまり沈まないのです。
スノーシュー組の方が分が悪く遅れがちになります。
とうとう我慢できなくなってKm氏がスノーシューを外してしまいます。
でも、私は頑張ってスノーシューで降ることにしました。
2時間以上掛かってやっと南東尾根の取付点まで降りました。
時計を見ると5時近くなっています。
もうすぐ日が暮れてしまいます。
ここからも登った時のトレースがしっかり残っています。
暗くなってくるのと競争で歩きます。
前方に天馬街道の街路灯が見えてきます。
最後の渡渉点を超えるとここからは緩い上り坂です。
疲れた身体にこの緩い坂道が堪えます。
それを頑張って、やっと、野塚トンネルの駐車場へ着きました。
時間は午後6時になっていました。
何と、今日の行動時間は12時間となっていました。
小雪がちらつく駐車場で車の中へザックを詰め込み、一路、「AERUの湯」を目指します。
今回はソエマツ岳を目指しての縦走を計画していましたが、途中のピリカヌプリまでとなってしまいました。
でも、心の中に厳冬期にピリカヌプリの頂を踏めたのは評価できるかという気持ちも湧いています。
ソエマツ岳からピリカヌプリの稜線は、夏にヌビナイから沢を登って歩くことを考えています。
それまで、この間の稜線はお預けとなります。
最後に私達が歩いたログを貼っておきます。
昨夜はとても暖かく寝ることが出来ました。
雪洞の入り口をしっかり閉じたせいか寝袋の中が暖かく、時々、腕を寝袋の外へ出したくらいです。
3時半に起きましたが、何せ雪洞の中は真っ暗です。
みんなの話を聞くと誰もが十分な睡眠を取ったようです。
さっそく寝袋をしまって食事の準備をします。
今日の出発準備は、今夜もこの雪洞で寝る予定ですのでソエマツ岳へのアタックに必要のない物は
雪洞の中へ置いていきます。
順調に準備が進み、さあいよいよ雪洞の入り口を開けます。
天気はどうでしょうか?
ちょっとドキドキする瞬間です。
入り口のブロックを崩した途端に明るい光が雪洞を満たします。
明るい空がポッカリ開いた入り口から見えています。
さあ、今日は頑張らなければなりません。
外へ出るとピリカヌプリの山頂に雲が掛かっています。
風の強さも昨日とあまり変わりません。
6時少し前にソエマツ岳に向かって出発です。
歩くにしたがってピリカヌプリの山頂に張り付いていた雲が動きます。
そして、ピリカヌプリがその綺麗な姿を見せてくれました。

ほんのりと朝日に輝くピリカヌプリです。
十分な睡眠が取れたメンバーの意気も上がります。

今日のルートは大きな雪庇がないものの所々尾根が狭いところもあり注意が必要です。
後ろを振り返ると太陽の光が雲の合間から射しており、赤く輝くサンピラーが見えています。

ピリカヌプリのコルに向かって歩いていると狭い尾根があります。
十勝側に雪庇があり十分に注意をして歩いていました。
丁度、私がトップを歩いている時です。
私の刺したストックの右手50センチ位のところから「ズン!」という低い音と共に幅1メートル、長さ7~8メートルの雪庇が崩れました。
でも、私の歩いていたところは固い雪の斜面なので、この足元から崩れることはないと思って歩いていました。
ですから、雪庇が崩れても何の動揺もありません。
ドンドン先へ向かって歩きます。
私達は交代でトップを変わります。
4人とも誰がトップに出ても良いだけの力量を持っています。
ですから、安心して歩くことが出来ます。

晴れていた天気が微妙に曇ってきます。
浦河側(西側)からは始終強い風が吹き付けています。
その強い風により顔の左頬が冷たくなってきます。
凍傷にならないようにジャケットのフードを深く被ります。
いよいよピリカヌプリへの登りになります。

シュカブラで固くなった雪面に苦労しますが、この辺りは広い尾根ですのでストックを使って登ります。

登るに従って視界が悪くなってきます。
いよいよ山頂下かと思うところでストックからピッケルに換えて登ります。
滑落した場合に備えたのですが、シュカブラした急な雪面はそれほど長くはありませんでした。
8時、雪洞を出発してから約2時間で山頂へ到着です。

ピリカヌプリの山頂は、On氏を除いて初めてのメンバーです。
あたりはすっかり視界が50mほどに落ちています。
風も強くなっています。
ここで、ソエマツ岳へ進むかどうか話し合います。
この先の稜線は視界がないと歩くのが大変です。
天気予報より早く天気が崩れているようです。
停滞するとしたら、しっかりと作った雪洞があります。
食料も燃料も2~3日は十分に耐えられるだけの量があります。
しかも、時間はまだ8時なのです。
もう少し先まで歩いてみるかという意見もありました。
でも、話し合った結果、ここから下山することにしました。
停滞するとしても、何日になるか分かりません。
ここを冒険する必要はありません。
さあ、下山すると決めたらグズグズしている時間はありません。
直ちに下山開始です。

こんな稜線を歩いてたのです。

トヨニ岳は雲の中です。
雪洞へ戻ると荷物をまとめてパッキングをします。
稜線の風は強くなってきます。
ここからは、まず、1512mまでの急斜面を登らなければなりません。
我慢の時間が続きます。
途中で2度ほど休憩を取りましたが、稜線を十勝側に2~3m外れると風がまったく吹いていません。
風が当たらなければ暖かいくらいなのです。
気温は-3~4度でしょうか。
午後2時過ぎにトヨニ岳の南峰下に作った雪洞に到着です。
この雪洞で休憩を取り、軽く行動食を食べて少なくなった水を作っておきます。
1人当たり500ccの水を作ります。
ここで私とKm氏がスノーシューを付けて歩きます。
リーダーのSz氏とOn氏はアイゼンを付けたままで歩きます。
しかし、南東尾根は急な斜面です。
スノーシューを付けたまま滑ってしまいます。
それを騙し騙し降るのですが、何度か転んでしまいます。
Sz氏達のアイゼン組は、登ってきた時のトレースを上手く使って降ります。
トレースは固くなっているのであまり沈まないのです。
スノーシュー組の方が分が悪く遅れがちになります。
とうとう我慢できなくなってKm氏がスノーシューを外してしまいます。
でも、私は頑張ってスノーシューで降ることにしました。
2時間以上掛かってやっと南東尾根の取付点まで降りました。
時計を見ると5時近くなっています。
もうすぐ日が暮れてしまいます。
ここからも登った時のトレースがしっかり残っています。
暗くなってくるのと競争で歩きます。
前方に天馬街道の街路灯が見えてきます。
最後の渡渉点を超えるとここからは緩い上り坂です。
疲れた身体にこの緩い坂道が堪えます。
それを頑張って、やっと、野塚トンネルの駐車場へ着きました。
時間は午後6時になっていました。
何と、今日の行動時間は12時間となっていました。
小雪がちらつく駐車場で車の中へザックを詰め込み、一路、「AERUの湯」を目指します。
今回はソエマツ岳を目指しての縦走を計画していましたが、途中のピリカヌプリまでとなってしまいました。
でも、心の中に厳冬期にピリカヌプリの頂を踏めたのは評価できるかという気持ちも湧いています。
ソエマツ岳からピリカヌプリの稜線は、夏にヌビナイから沢を登って歩くことを考えています。
それまで、この間の稜線はお預けとなります。
最後に私達が歩いたログを貼っておきます。
