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ベートーヴェンでも「アルバン・ベルク現象」?

2010年07月22日 22時57分19秒 | ベートーヴェン
いよいよ学校では夏休みですね。20日が終業式だったみたいで、翌日の通勤は、なぜか車の通行量が少なかったのですね。まさか、学生さんが車で通学するわけではないので、ご家族の方が通学に何らかの形で車を出しておられるのでしょうか。家から学校まで送って行っているってわけではないでしょうが、駅までとかアッシー君をしているのでしょうね。かく言う私も、大学生の息子を通勤の途中に駅まで送っているのでした。所要時間は、わずか1~2分なんですけどね。それくらいなら、歩け!というご意見もあるでしょうね。まあ、ついでですから。おそらくそんなついでの輩が多いことが、交通量を増やしているのでしょうねえ。

そんなわけで、今回はベートーヴェンの弦楽四重奏曲です。弦楽四重奏曲第12番変ホ長調作品127であります。いわゆるベートーヴェンの後期の弦楽四重奏曲であります。ロシアのニコラス・ガリツィン公爵からの依頼で作曲された三曲(12・13・15番)のうちのひとつ。1824年第九の初演のあと作曲に着手し、翌年はじめに完成したもの。一般にこれらの後期の弦楽四重奏曲は、なかなか晦渋であるともいわれますが、まあ慣れていけばそれほどでもなく、そりゃー、比較するのがおかしいかもしれませんが、バルトークの弦楽重奏なんかのほうがよっぽどねえ。まあ、そういう問題ではないでしょうが…。ともかく、この三つのガリツィン四重奏曲には、ともにとてつもなく美しい楽章があるので、私は好きです。この12番ですが、これ以降の曲に比べれば、四楽章で形式もごく普通であります。聴きどころとしては、断然第2楽章の変奏曲です。これは誠にきれいなで叙情的な楽章であります。

そして、この演奏についても、いろんなものがありますが、一枚を選ぶとなれば、アルバン・ベルク四重奏団のものになってしまいます。『レコード芸術』5月号の「新編名曲名盤300④」の特集でモーツァルトのハイドンセットの記事で矢沢孝樹氏が「弦楽四重奏曲におけるアルバン・ベルク現象」として「ほとんどすべての弦楽四重奏曲で、この団体の録音が第1位を独占していること」とされています。うーん、ベートーヴェンにおいてもこの現象なんでしょうかねえ。たしかにこのSQは、たいした演奏を聴かせてくれますね。この12番の演奏も、四重奏曲としてのバランスがピカイチですね。圧倒的にビヒラーのヴァイオリンが他を引っぱるって場合もあるんですが、この曲では他の三人との呼吸がすごいし、そこんところが聴きどころですね。第1ヴァイオリンなんかは、もっと聴かせてくれる演奏もあるんですが、このアルバンベルクは、決して声高にはせず、その楽器も突出せず、しっとりと落ち着いた音色で、4つの楽器の妙技が聴けます。1989年6月13日ウィーンのコンツェルトハウスでのライブ録音。ライブとは思えない完成度であります。

第1楽章、序奏の和音から、バランスよさを感じる。けっこうあっさりとしており、控えめな印象。それぞれの楽器の流麗で、コクのある演奏がいいです。第2楽章も、5つの変奏曲、ヴァイオリンによる主題も、控えめな印象ですが、それでいて美しさは抜群。変奏曲が進んでいく中でも、この主題が浄化されていくよう。時たま全休止でもありそうなくらいの、物静かな中にも、しっとりと穏やかな印象で曲はすすんでいく。その分、楽器の美しさは特筆すべきです。第3楽章スケルツォガリツィン伯爵はチェロをよくしたらしいですので、チェロがよく活躍。よくありがちなスケルツオですが、ここでもバランス感がいい。そして、第4楽章終曲。展開部でも生き生きとしてしっとりとしているところは、実にあざやか。

このライブによる全集は、第1集と第2集があって、それぞれ4組のセットです。H○Vのウェブでも見れません。第2集しか持っていなかったのですが、先日、元町で発見しました。
(EMI TOCE-8180-83 1993年)

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