秋も深まってきました。先週の土曜日には、恒例の正倉院展に行ってきました。遷都1300年祭ということもあり、例年にも増してのすごい人でした。家を6時過ぎに出て、8時半には博物館に到着しましたが、もう長蛇の列。約一時間待って入場しましたが、館内でも今年の目玉の「螺鈿紫檀五絃琵琶」を見ようというこれまた長蛇の列。私のお目当ては、いつものように正倉院文書です。「右京計帳」「駿河国正税帳」、そして「種々薬帳」など。これらも、人だかりで例年よりは少々見にくかったかなってところでしょうか。来年は平日に行くのも考えなければ…、と思ったのでありました。
その正倉院展の帰り、なんばで金龍ラーメンを食べて、梅田に繰り出しました。そして、久々に梅田の中古CDやさんに行ってみました。最近は三宮のお店に行くことが多かったのですが、同じ中古やさんに繰り返して行っていますとあまりよくないのです。というのは、初めて見たときには、なかなかいいなあって思っても買うほどでもないCDがあったとします。そんなCDが、次回に行ったとき、まだ売れずに残っていたとすると、ああ、まだあるなあって思いますよね。そして、その次ぎに行ったときもそれを見つける、これを幾度か続けると、段々とそのCDに愛着が湧いてきて、遂には買ってしまう、ということになるんですねえ。そんなことってないですか?。梅田のお店ではなかなか三宮にはないCDがありまして、いろいろと刺激的でした。そんな刺激的なCDが、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集でありました。ベートーヴェンの交響曲全集としては、ずっと探していたものでした。1957~64年の録音です。
セルの演奏、鍛えに鍛え抜かれたクリーブランド管弦楽団を駆使してのもの。聴けば聴くほど、そのオケの混ざり気のない透明な音色と、セルの入魂の壮絶な演奏に、心を揺さぶられます。特に、このクリーブランド管の力量は、ほとほと感心させられますね。なんとも、ひとつひとつの楽器のスキのない洗練された音色、それは美しいというものではなく、一遍の曇りもなく、まっすぐで全くの狂いもない正しい楽器による演奏なんです。室内楽的というのでしょうか。それなりの人数がいるオーケストラなんですが、その演奏は少ない人数でのもののように聞こえてしまうのです。加えて、その曲の構造がたいそうよくわかる。いくつかの音が重層的になって曲が形つくられているところも、ほんとにわかりやすいのです。そして、オケの音が整っているということが強調されるだけではなく、セルの力のこもった演奏であることには間違いありません。オケの音が明瞭であることから、その力の入れ具合などもたいそうよくわかるし、セルのすさまじい集中力を随所に感じさせるのです。ほんとにすごい演奏であります。
そのセルによるベートーヴェン。どれも素晴らしいのですが、今回は交響曲第4番変ロ長調作品60ということで。1963年4月5日の録音であります。第1楽章、序奏からゆったりとしたテンポで解像度の高い演奏。序奏の後半以降のピチカートも見事です。そして、主部に入って弦は鮮やかに歌います。そしてところどころの木管も鮮やかでポイントを確実に押さえています。そして雄弁に曲が展開されているところも爽快であります。第2楽章、曲の輪郭が明確。ベートーヴェンらしい旋律が力強く歌われ、弦などを中心に伸び伸びと展開されていく。援徐楽章にしては、実に確固たる気持ちに裏打ちされた演奏ですね。第3楽章スケルツオ的。旋律が明るく歌われるとともに、力強さあふれたところがいいです。第4楽章、テンポは多少ゆったりめの印象を受けます。堂々と曲が展開し、終楽章らしい安定感が感じられ、気持ちよい終曲であります。
クリーブランド管は、やはりアメリカのオケですね。多少なりともドイツのオケとは音色が異なるところが特徴的ですかねえ。ベートーヴェンの交響曲全集、もう一組欲しいなって思うものがあります。また入手できたら取り上げたいと思っています。
(SONY CLASSICAL SBK48158 1992年 輸入盤)
その正倉院展の帰り、なんばで金龍ラーメンを食べて、梅田に繰り出しました。そして、久々に梅田の中古CDやさんに行ってみました。最近は三宮のお店に行くことが多かったのですが、同じ中古やさんに繰り返して行っていますとあまりよくないのです。というのは、初めて見たときには、なかなかいいなあって思っても買うほどでもないCDがあったとします。そんなCDが、次回に行ったとき、まだ売れずに残っていたとすると、ああ、まだあるなあって思いますよね。そして、その次ぎに行ったときもそれを見つける、これを幾度か続けると、段々とそのCDに愛着が湧いてきて、遂には買ってしまう、ということになるんですねえ。そんなことってないですか?。梅田のお店ではなかなか三宮にはないCDがありまして、いろいろと刺激的でした。そんな刺激的なCDが、ジョージ・セル指揮クリーブランド管弦楽団によるベートーヴェンの交響曲全集でありました。ベートーヴェンの交響曲全集としては、ずっと探していたものでした。1957~64年の録音です。
セルの演奏、鍛えに鍛え抜かれたクリーブランド管弦楽団を駆使してのもの。聴けば聴くほど、そのオケの混ざり気のない透明な音色と、セルの入魂の壮絶な演奏に、心を揺さぶられます。特に、このクリーブランド管の力量は、ほとほと感心させられますね。なんとも、ひとつひとつの楽器のスキのない洗練された音色、それは美しいというものではなく、一遍の曇りもなく、まっすぐで全くの狂いもない正しい楽器による演奏なんです。室内楽的というのでしょうか。それなりの人数がいるオーケストラなんですが、その演奏は少ない人数でのもののように聞こえてしまうのです。加えて、その曲の構造がたいそうよくわかる。いくつかの音が重層的になって曲が形つくられているところも、ほんとにわかりやすいのです。そして、オケの音が整っているということが強調されるだけではなく、セルの力のこもった演奏であることには間違いありません。オケの音が明瞭であることから、その力の入れ具合などもたいそうよくわかるし、セルのすさまじい集中力を随所に感じさせるのです。ほんとにすごい演奏であります。
そのセルによるベートーヴェン。どれも素晴らしいのですが、今回は交響曲第4番変ロ長調作品60ということで。1963年4月5日の録音であります。第1楽章、序奏からゆったりとしたテンポで解像度の高い演奏。序奏の後半以降のピチカートも見事です。そして、主部に入って弦は鮮やかに歌います。そしてところどころの木管も鮮やかでポイントを確実に押さえています。そして雄弁に曲が展開されているところも爽快であります。第2楽章、曲の輪郭が明確。ベートーヴェンらしい旋律が力強く歌われ、弦などを中心に伸び伸びと展開されていく。援徐楽章にしては、実に確固たる気持ちに裏打ちされた演奏ですね。第3楽章スケルツオ的。旋律が明るく歌われるとともに、力強さあふれたところがいいです。第4楽章、テンポは多少ゆったりめの印象を受けます。堂々と曲が展開し、終楽章らしい安定感が感じられ、気持ちよい終曲であります。
クリーブランド管は、やはりアメリカのオケですね。多少なりともドイツのオケとは音色が異なるところが特徴的ですかねえ。ベートーヴェンの交響曲全集、もう一組欲しいなって思うものがあります。また入手できたら取り上げたいと思っています。
(SONY CLASSICAL SBK48158 1992年 輸入盤)
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