なんというか、先週から今週にかけて、職場でいろんな問題が起こり、その対応や後始末で右往左往しておりました。そのために、出張が中止になったり、またしなければならない作業が後回しになったり、実にストレスが貯まる毎日でありました。なんでこんな問題が起こるのか、これは具体的には言えませんが、働く基本的な姿勢に問題があったり、対応ごくごく基本的な心配りが欠如していたり…。まあ組織がしっかりとした意識をもって取り組むことは、難しいですねえ。
ということでの愚痴はともかく、今回はマーラーの交響曲『大地の歌』であります。一時期この曲が大変好きで、いくつかの演奏を買って聴き比べていた時期がありました。そのとき最もお気に入りだったのは、ワルターとコロンビア響の演奏でした。一般にはそれほどの評価ではない演奏ですが、私はワルターの演奏が好きでした。でも一方で、マーラ-の歌曲集で、バルビローリとジャネット・ベイカーの演奏がよく、それなら大地の歌もベイカーで聴きたい!と思いました。ベイカーはベルナルト・ハイティンク指揮の演奏で歌っていることを知り、このCDを探しましたが、見つからないのです。当時はネットもなく、まあ地道にCDやさんを回るしか無かったんですね。一昔前はそんなでしたよね。そんな折り、所用で京都に行ったとき、四条河原町から北へ三条あたりにあったCDやさんに通りかかったついでに入ったのですが、そこで偶然見つけたのでした。1995年8月のことでありました。もう20年も前になるのですねえ。
そのCDは、ジャネット・ベイカーとジェームス・キングの歌唱とハイティンク指揮ACOによる演奏。1975年9月アムステルダムでの録音です。ベイカーの大地の歌は、ライブでクーベリックやケンペとの演奏が、またキングもバーンスタインとの演奏もあります。一方、マーラーのたくさんの演奏があるハイティンク、彼の大地の歌はおそらくこの演奏が唯一のものと思います。ハイティンクはこの曲を交響曲として意識していないのかもしれませんねえ。
さてさて、この演奏、まずハイティンクですが、今この人の演奏を聴いてみるに、歌唱も弱音になるときには、オケも実に鮮やかな弱音で呼応しているのでした。また重要な箇所ではゆったりとじっくり聴かせてくれ、なかなかしっかりと、歌手を巧にサポートしつつ、聴かせどころというか、こうしたらこの曲が素晴らしい印象をもつ、といういわゆるツボをしっかり押さえた演奏であり、またACOは非常に気持ちよく鳴り響いていることは、これは特筆すべきことではないでしょうか。また、マーラーの管弦楽とはこんなんだ!というところが非常によく見えるACOになっているのでありました。そんなところは、この人の巨匠であるところなんでしょうねえ。概ね立派なんですが、いくつかここは無神経ね、と感じるところもないではないのですが…。
二人の歌唱ですが、まずキング。うーん、これも素晴らしい円熟した歌声であります。全体的に非常にレベルが高い、安定した歌唱です。多少音量が小さい気もしますが、豊かな美声でいいです。第1楽章冒頭から、気持ちの籠もった歌唱で、それにオケもよく呼応しています。第3楽章では、伸び伸びと歌ってくれます。そして、第五楽章では、たいそう力のこもった歌を聴くことができます。一方、ベイカーですが、やはりいいですねえ。きめ細やかな優しい歌唱に心が奪われ、気持ちの入った歌に心が揺さぶられます。第2楽章から入魂の歌唱であり、静寂な中にも気持ちの強さが籠もっており、気持ちが高まります。第4楽章では、朗々とした歌に、安定感が加わり、立派ですねえ。そして、第6楽章。私はベイカーの弱音が好きなんですが、この30分を越えんとする曲の中で、十二分に堪能できます。この曲の歌唱としては、ベストと言ってもいいのでは、と私は思います。弱音から次第に高まりを見せるところや、その反対などは実に聴かせてくれますね。高まりでの歌唱も立派であります。間奏のあとのゆったりと細やかに歌い上げるところも好きです。
この土日は、仕事と勉強会で、ほぼつぶれてしまいました。今週は一日お休みをもらいたいのですが、たぶん無理でしょうねえ。まあしかたないですね。
(Philips 432 279-2 1991年 輸入盤)
ということでの愚痴はともかく、今回はマーラーの交響曲『大地の歌』であります。一時期この曲が大変好きで、いくつかの演奏を買って聴き比べていた時期がありました。そのとき最もお気に入りだったのは、ワルターとコロンビア響の演奏でした。一般にはそれほどの評価ではない演奏ですが、私はワルターの演奏が好きでした。でも一方で、マーラ-の歌曲集で、バルビローリとジャネット・ベイカーの演奏がよく、それなら大地の歌もベイカーで聴きたい!と思いました。ベイカーはベルナルト・ハイティンク指揮の演奏で歌っていることを知り、このCDを探しましたが、見つからないのです。当時はネットもなく、まあ地道にCDやさんを回るしか無かったんですね。一昔前はそんなでしたよね。そんな折り、所用で京都に行ったとき、四条河原町から北へ三条あたりにあったCDやさんに通りかかったついでに入ったのですが、そこで偶然見つけたのでした。1995年8月のことでありました。もう20年も前になるのですねえ。
そのCDは、ジャネット・ベイカーとジェームス・キングの歌唱とハイティンク指揮ACOによる演奏。1975年9月アムステルダムでの録音です。ベイカーの大地の歌は、ライブでクーベリックやケンペとの演奏が、またキングもバーンスタインとの演奏もあります。一方、マーラーのたくさんの演奏があるハイティンク、彼の大地の歌はおそらくこの演奏が唯一のものと思います。ハイティンクはこの曲を交響曲として意識していないのかもしれませんねえ。
さてさて、この演奏、まずハイティンクですが、今この人の演奏を聴いてみるに、歌唱も弱音になるときには、オケも実に鮮やかな弱音で呼応しているのでした。また重要な箇所ではゆったりとじっくり聴かせてくれ、なかなかしっかりと、歌手を巧にサポートしつつ、聴かせどころというか、こうしたらこの曲が素晴らしい印象をもつ、といういわゆるツボをしっかり押さえた演奏であり、またACOは非常に気持ちよく鳴り響いていることは、これは特筆すべきことではないでしょうか。また、マーラーの管弦楽とはこんなんだ!というところが非常によく見えるACOになっているのでありました。そんなところは、この人の巨匠であるところなんでしょうねえ。概ね立派なんですが、いくつかここは無神経ね、と感じるところもないではないのですが…。
二人の歌唱ですが、まずキング。うーん、これも素晴らしい円熟した歌声であります。全体的に非常にレベルが高い、安定した歌唱です。多少音量が小さい気もしますが、豊かな美声でいいです。第1楽章冒頭から、気持ちの籠もった歌唱で、それにオケもよく呼応しています。第3楽章では、伸び伸びと歌ってくれます。そして、第五楽章では、たいそう力のこもった歌を聴くことができます。一方、ベイカーですが、やはりいいですねえ。きめ細やかな優しい歌唱に心が奪われ、気持ちの入った歌に心が揺さぶられます。第2楽章から入魂の歌唱であり、静寂な中にも気持ちの強さが籠もっており、気持ちが高まります。第4楽章では、朗々とした歌に、安定感が加わり、立派ですねえ。そして、第6楽章。私はベイカーの弱音が好きなんですが、この30分を越えんとする曲の中で、十二分に堪能できます。この曲の歌唱としては、ベストと言ってもいいのでは、と私は思います。弱音から次第に高まりを見せるところや、その反対などは実に聴かせてくれますね。高まりでの歌唱も立派であります。間奏のあとのゆったりと細やかに歌い上げるところも好きです。
この土日は、仕事と勉強会で、ほぼつぶれてしまいました。今週は一日お休みをもらいたいのですが、たぶん無理でしょうねえ。まあしかたないですね。
(Philips 432 279-2 1991年 輸入盤)
記事を読んで、聴いてみようとハイティンク盤の全集BOXを取り出してみたら、入っていないんですね。がっかり。探してみます。
大地の歌、わたくしもワルター/コロンビアOが最初でして刷り込みでしょうか、いまでもLPなら良く聴きます。新しいところでは大植/ミネソタO、デ・ヤングのMsが録音も素晴らしく、愛聴しております。お勧めです。
ハイティンク盤はエロクアンスで出ていました。さっそく注文してみました。