一昨日の金曜日、地震がありました。昼の二時過ぎに携帯がけたたましく緊急地震速報を知らせました。揺れないな、と思うやいなや、激しい横揺れ。けっこう長かったし、やはり地震は恐いですねえ。震源地は、鳥取県。それを聞いて、岡山の実家が心配になりました。TVを見ると、震度は鳥取で6。神戸は3~4。岡山は4。本家に電話して被害を確認しましたが、ものが落ちるということはなかったそうです。ひとまず安心しました。神戸のわが家も、私の部屋でうずたかく積まれていた雑誌が崩れ落ちたぐらいだそうです。今後の余震が心配ですね。
ということで一安心。それで今回はモーツァルトです。歌劇『フィガロの結婚』。ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のVPO。声楽陣は、ホセ・ファン・ダム(フィガロ)イレアナ・コトルバス(スザンナ)アンナ・トモワ=シントウ(伯爵夫人)トム・クラウセ(アルマヴィーヴァ伯爵)フレデリカ・フォン・シュターデ(ケルビーノ)など。1978年4~5月、ウィーンのゾフィエンザールでの録音です。
このフィガロ、DECCAへの録音なんですね。この時期のカラヤンは、DGが主でEMIにも録音していた。DECCAへはとなるとどうなんでしょうね。1959年から64年まで、カラヤンがウィーン国立歌劇場音楽監督だったときに、VPOとの録音はDECCAでした。これはVPOがDECCAの専属だったからですね。その後は、 70年代に「ボリス・ゴドゥノフ」「ボエーム」「蝶々夫人」「フィガロの結婚」があります。ボエームはパヴァロッティがDECCADECCA専属だったからで、その他はすべてVPOとの録音だからであります。では、なぜフィガロの録音ではVPOを起用したのか。なんででしょうね。ウィーンの風情を出したかったのでしょうかね。
しかし、そうは言っても序曲からして、たいそうテンポが速く、オケをがんがん鳴らして威勢のいい演奏が展開されています。VPOの優雅な響きよりも、キレのある音色が聴けるところが良いのやら悪いのやら…。それにしても、カラヤンのオペラは聴きやすい、というか、純度が高いのですね。これは歌手にも言えることで、とにかく美しい響きがとても耳には心地よいのでありました。そして、歌手とオケの音量のバランスがいいのです。これはカラヤンのオペラについていつも思うことなんですが、両者の音がかぶさったりはまったくしないし、声楽もオケもたいそう明瞭に聞こえ、まったくもって聞きやすいのです、カラヤンはおそらくは耳が非常に鋭いのでしょうねえ。バランス感覚が絶妙と思います。ただ、オケが雄弁すぎるところは、随所で感じられます。ですので、オケを聞く部分がいつも多いなと思います。加えて、カラヤンのオケは、多少わざとらしさも感じますが…、起伏に富んだダイナミックな表情にあふれる見事な演奏を聴かせてくれ、まあ、それはそれで、であります。でも、私は嫌いではありません。
といっても、歌手が非力というわけでもありません。カラヤン好みの実力者が揃ってはいますね。まず、フィガロのホセ・ファン・ダムは、いつもなんですが、非常に落ち着きうまさと力強さを存分に発揮してくれています。ただ、この人は伯爵でもいいのでは、とつい思ってしまいますね。そして、ケルビーノのシュターデとスザンナのコトルバスはいいですね。シュターデは、メゾの伸びやかで艶っぽい歌声で最高にケルビーノですねえ。またコトルバス。スザンナの独唱はあまりなく、残念なんですが、随所にこの人のきれいな高音が響き渡ります。第二幕のスザンナに序女装させるくだりのふたりのやりとりなどはいいですねえ。一方で、伯爵夫人のトモワ=シントウなんですが、私的にはどうも苦手だったんですが、今回もそれは変わらずなんですが、ただ実力者であることは間違いなく、問題は声質なんですねえ。
地震は、あれからしばらくは震度3くらいの余震が続きましたが、次第におさまったみたいです。そして、あれは実は余震だったんだ、というようなこれまで以上の地震が起きないように、願うばかりであります。
(LONDON POCL-2331/3 1991年)
ということで一安心。それで今回はモーツァルトです。歌劇『フィガロの結婚』。ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮のVPO。声楽陣は、ホセ・ファン・ダム(フィガロ)イレアナ・コトルバス(スザンナ)アンナ・トモワ=シントウ(伯爵夫人)トム・クラウセ(アルマヴィーヴァ伯爵)フレデリカ・フォン・シュターデ(ケルビーノ)など。1978年4~5月、ウィーンのゾフィエンザールでの録音です。
このフィガロ、DECCAへの録音なんですね。この時期のカラヤンは、DGが主でEMIにも録音していた。DECCAへはとなるとどうなんでしょうね。1959年から64年まで、カラヤンがウィーン国立歌劇場音楽監督だったときに、VPOとの録音はDECCAでした。これはVPOがDECCAの専属だったからですね。その後は、 70年代に「ボリス・ゴドゥノフ」「ボエーム」「蝶々夫人」「フィガロの結婚」があります。ボエームはパヴァロッティがDECCADECCA専属だったからで、その他はすべてVPOとの録音だからであります。では、なぜフィガロの録音ではVPOを起用したのか。なんででしょうね。ウィーンの風情を出したかったのでしょうかね。
しかし、そうは言っても序曲からして、たいそうテンポが速く、オケをがんがん鳴らして威勢のいい演奏が展開されています。VPOの優雅な響きよりも、キレのある音色が聴けるところが良いのやら悪いのやら…。それにしても、カラヤンのオペラは聴きやすい、というか、純度が高いのですね。これは歌手にも言えることで、とにかく美しい響きがとても耳には心地よいのでありました。そして、歌手とオケの音量のバランスがいいのです。これはカラヤンのオペラについていつも思うことなんですが、両者の音がかぶさったりはまったくしないし、声楽もオケもたいそう明瞭に聞こえ、まったくもって聞きやすいのです、カラヤンはおそらくは耳が非常に鋭いのでしょうねえ。バランス感覚が絶妙と思います。ただ、オケが雄弁すぎるところは、随所で感じられます。ですので、オケを聞く部分がいつも多いなと思います。加えて、カラヤンのオケは、多少わざとらしさも感じますが…、起伏に富んだダイナミックな表情にあふれる見事な演奏を聴かせてくれ、まあ、それはそれで、であります。でも、私は嫌いではありません。
といっても、歌手が非力というわけでもありません。カラヤン好みの実力者が揃ってはいますね。まず、フィガロのホセ・ファン・ダムは、いつもなんですが、非常に落ち着きうまさと力強さを存分に発揮してくれています。ただ、この人は伯爵でもいいのでは、とつい思ってしまいますね。そして、ケルビーノのシュターデとスザンナのコトルバスはいいですね。シュターデは、メゾの伸びやかで艶っぽい歌声で最高にケルビーノですねえ。またコトルバス。スザンナの独唱はあまりなく、残念なんですが、随所にこの人のきれいな高音が響き渡ります。第二幕のスザンナに序女装させるくだりのふたりのやりとりなどはいいですねえ。一方で、伯爵夫人のトモワ=シントウなんですが、私的にはどうも苦手だったんですが、今回もそれは変わらずなんですが、ただ実力者であることは間違いなく、問題は声質なんですねえ。
地震は、あれからしばらくは震度3くらいの余震が続きましたが、次第におさまったみたいです。そして、あれは実は余震だったんだ、というようなこれまで以上の地震が起きないように、願うばかりであります。
(LONDON POCL-2331/3 1991年)
しかし、地震はほんと怖いですね。