2月19日
前日のいずみホール「美しき水車小屋の娘」に続いて、明くる日の愛知県・岡崎市シビック・ホールという所で「冬の旅」を聴きました。
愛知県に住む、高校時代の友達と30年ぶりに再会。私の全着物を縫ってくれた、プロの和裁家でもある友達です。
左から、Till Fellner, me Akiko Sasayama, Rie Oguchi, Mark Padmore
名古屋駅より更に電車に乗って30分ほど、すごく地方へ来たという感じ。ホールは目に見えているのですが、冷たい向かい風がきつくて、なかなか到着出来ない…。
市役所と公民館が一緒になったような施設で、至る所にポスターが貼ってありました(^^;)。凄くいっぱい貼ってあるので、終ってから一枚もらえますか?と事務の人に聞いたら、駄目だと言われました。
このホールのプログラムだけ、ティルのソロがあり、ブラームスからシューベルトの「楽興の時」全曲に変更でした。
ブラームスは暗い感じの曲だったので、楽興の時の方が聴きやすいし、ポピュラーな曲も混じっていて、30分くらいあるので、ここへ来たお客さんは超ラッキーでした。
私は前日の”小川の子守歌”で、夢見心地の音楽で終っていたので、とてもいい続きを聴いてる感じでした。ティルのシューベルト・ピアノソロが初聴きで、綺麗な音とカンタービレで、どの声部にも気持ちが行き届いている、誠実な演奏に聴き惚れました。この曲集の最初と最後の曲が天国的な響きなので、「冬の旅」に入る前にホっと一息ついた感じでもありました。友人も「柔らかくて暖かい音やねえ~」と感想を言っていました。
このホールは、ステージが20㎝ほどの高さしかなく、一番前の席だったので、美しいお姿も目の前で見れて感激。
ティルのシューベルトは、今年12月7日トッパンホールです。
私は普段、素朴な古楽器の音に囲まれているせいか、モダン・ピアノの音は大抵ハードに聴こえて、あまり好きではないのです。古楽愛好家は、ピアノの音は、コンクリートの壁のように聴こえるとか、画一的な音が面白くないという人が多いのです。また多くのピアニストが鍵盤を叩いていると感じる、ルネッサンスの合唱で純正律でハモっている時などは、調律事態が狂って聴こえ、耳が拒否反応をしていた時も。
調律の違いの慣れから離れると、ピアノも聴けるようになってきました。そこでパドモアさんがご縁で、ティル・フェルナーという、ちょっと他のピアニストには無い、純粋で歌心に溢れたピアノを弾く人に出会って、モダン・ピアノもいいな~と思えるようになりました。
休憩を挟んで「冬の旅」が始まりました。ミューラーの詩による2番目の連作歌曲です。変化有節形式の曲が増えてくるなど、「水車小屋」から更に進化した、当時は斬新な手法で作曲されたものです。
「楽興の時」と打って変って、ティルのピアノは情熱的に感じました。冷たい雪と氷の下で燃えるパッションを感じる、お二人の熱演です。やはりパドモアさんは「冬の旅」に声の焦点を持ってきてたと思う、安定感がありました。私としては二日間に渡って、一つの大きなプログラムを聴けた感で、とても満足でしたが、二日で違う曲を演奏する、パドモアさんも凄いけど、ティルは3つのプログラムを、完璧にこなしている(?_?)。
「冬の旅」の音楽は、その聴く時の自分の状況によって、毎回違う発見があるというか、深い音楽です。シューベルトの人生に直結するとだけ考えると、病魔と闘い、死へ繋がる音楽と感じますが、多くの人の人生の歩みと捉えると、生きることの困難さ、葛藤が描かれている、共感の音楽です。誰かや自分があることで悩んでいたり、迷いの中にあれば、ああ、まるで冬の旅のこの場面だ、という捉え方が出来るのです。主人公の行き着く先は「ライヤー廻し」で曲は終わりますが、その先主人公がどうなるのかは”?”です。ライヤーは回り続けている…、主人公はひょっとして、失恋からも立ち直り、またそこから去って、暖かい春を迎えるかもしれない。ミューラーもシューベルトも、若くして亡くなりましたが、誰かわからないけど、この若者はまだまだ先の人生があるかもしれない、きっと幸せな未来があると思いたい。
そんな事を感じながら、パドモアさんの歌を聴いていました。友達は「冬の旅」が初めてだったそうですが、やはり「高音が凄い綺麗やねえ~」と、マークの高音は特別です。
パドモアさんの「冬の旅」は、初稿譜による高いキーを選ばれていますが、それは24曲中の5曲が現代出ている楽譜と違います。
6雪解けの水流、10休息、12孤独、22勇気を!、24辻音楽師 です。IMSLPで一つ出ています。winterreise score で検索。
辻音楽師はイ短調→ロ短調(♯♯)、シャープは十字架を表すともいわれますが、バッハのロ短調ミサの第一曲目ですね。
シャープ系が合っている、最後の”drehn?”と高く伸ばす音が、ファ♯の音となることによって、厳しい運命を感じます。
友達にお勧めのCDは何?と訊かれ、彼女はピアノを習っていたこともあり、インベンションくらいまで進んだと聞いて、思わずティルのインベンションの入ったCDを勧めて、買って帰りましたが、次の日にパドモアさんのCDもやっぱり欲しくなって、インターネットで探したけど、みんな売り切れやねん(;'∀')て言ってきました。私も我ながらコンサート会場でないと、解説や対訳が付いたものが手に入らないのに、何故勧めなかったのか、自分が不思議になり、また東京も行くから、残ってたら3枚とも買っとくわ~。
オペラ「蝶々夫人」などは、着物を着たお客がいっぱいらしいですが、リートのコンサートでは殆ど見かけませんね。
何故着物かって?日本に来たという思い出になってくれたらいいな~という思いです(*^^)v。
前日のいずみホール「美しき水車小屋の娘」に続いて、明くる日の愛知県・岡崎市シビック・ホールという所で「冬の旅」を聴きました。
愛知県に住む、高校時代の友達と30年ぶりに再会。私の全着物を縫ってくれた、プロの和裁家でもある友達です。
左から、Till Fellner, me Akiko Sasayama, Rie Oguchi, Mark Padmore
名古屋駅より更に電車に乗って30分ほど、すごく地方へ来たという感じ。ホールは目に見えているのですが、冷たい向かい風がきつくて、なかなか到着出来ない…。
市役所と公民館が一緒になったような施設で、至る所にポスターが貼ってありました(^^;)。凄くいっぱい貼ってあるので、終ってから一枚もらえますか?と事務の人に聞いたら、駄目だと言われました。
このホールのプログラムだけ、ティルのソロがあり、ブラームスからシューベルトの「楽興の時」全曲に変更でした。
ブラームスは暗い感じの曲だったので、楽興の時の方が聴きやすいし、ポピュラーな曲も混じっていて、30分くらいあるので、ここへ来たお客さんは超ラッキーでした。
私は前日の”小川の子守歌”で、夢見心地の音楽で終っていたので、とてもいい続きを聴いてる感じでした。ティルのシューベルト・ピアノソロが初聴きで、綺麗な音とカンタービレで、どの声部にも気持ちが行き届いている、誠実な演奏に聴き惚れました。この曲集の最初と最後の曲が天国的な響きなので、「冬の旅」に入る前にホっと一息ついた感じでもありました。友人も「柔らかくて暖かい音やねえ~」と感想を言っていました。
このホールは、ステージが20㎝ほどの高さしかなく、一番前の席だったので、美しいお姿も目の前で見れて感激。
ティルのシューベルトは、今年12月7日トッパンホールです。
私は普段、素朴な古楽器の音に囲まれているせいか、モダン・ピアノの音は大抵ハードに聴こえて、あまり好きではないのです。古楽愛好家は、ピアノの音は、コンクリートの壁のように聴こえるとか、画一的な音が面白くないという人が多いのです。また多くのピアニストが鍵盤を叩いていると感じる、ルネッサンスの合唱で純正律でハモっている時などは、調律事態が狂って聴こえ、耳が拒否反応をしていた時も。
調律の違いの慣れから離れると、ピアノも聴けるようになってきました。そこでパドモアさんがご縁で、ティル・フェルナーという、ちょっと他のピアニストには無い、純粋で歌心に溢れたピアノを弾く人に出会って、モダン・ピアノもいいな~と思えるようになりました。
休憩を挟んで「冬の旅」が始まりました。ミューラーの詩による2番目の連作歌曲です。変化有節形式の曲が増えてくるなど、「水車小屋」から更に進化した、当時は斬新な手法で作曲されたものです。
「楽興の時」と打って変って、ティルのピアノは情熱的に感じました。冷たい雪と氷の下で燃えるパッションを感じる、お二人の熱演です。やはりパドモアさんは「冬の旅」に声の焦点を持ってきてたと思う、安定感がありました。私としては二日間に渡って、一つの大きなプログラムを聴けた感で、とても満足でしたが、二日で違う曲を演奏する、パドモアさんも凄いけど、ティルは3つのプログラムを、完璧にこなしている(?_?)。
「冬の旅」の音楽は、その聴く時の自分の状況によって、毎回違う発見があるというか、深い音楽です。シューベルトの人生に直結するとだけ考えると、病魔と闘い、死へ繋がる音楽と感じますが、多くの人の人生の歩みと捉えると、生きることの困難さ、葛藤が描かれている、共感の音楽です。誰かや自分があることで悩んでいたり、迷いの中にあれば、ああ、まるで冬の旅のこの場面だ、という捉え方が出来るのです。主人公の行き着く先は「ライヤー廻し」で曲は終わりますが、その先主人公がどうなるのかは”?”です。ライヤーは回り続けている…、主人公はひょっとして、失恋からも立ち直り、またそこから去って、暖かい春を迎えるかもしれない。ミューラーもシューベルトも、若くして亡くなりましたが、誰かわからないけど、この若者はまだまだ先の人生があるかもしれない、きっと幸せな未来があると思いたい。
そんな事を感じながら、パドモアさんの歌を聴いていました。友達は「冬の旅」が初めてだったそうですが、やはり「高音が凄い綺麗やねえ~」と、マークの高音は特別です。
パドモアさんの「冬の旅」は、初稿譜による高いキーを選ばれていますが、それは24曲中の5曲が現代出ている楽譜と違います。
6雪解けの水流、10休息、12孤独、22勇気を!、24辻音楽師 です。IMSLPで一つ出ています。winterreise score で検索。
辻音楽師はイ短調→ロ短調(♯♯)、シャープは十字架を表すともいわれますが、バッハのロ短調ミサの第一曲目ですね。
シャープ系が合っている、最後の”drehn?”と高く伸ばす音が、ファ♯の音となることによって、厳しい運命を感じます。
友達にお勧めのCDは何?と訊かれ、彼女はピアノを習っていたこともあり、インベンションくらいまで進んだと聞いて、思わずティルのインベンションの入ったCDを勧めて、買って帰りましたが、次の日にパドモアさんのCDもやっぱり欲しくなって、インターネットで探したけど、みんな売り切れやねん(;'∀')て言ってきました。私も我ながらコンサート会場でないと、解説や対訳が付いたものが手に入らないのに、何故勧めなかったのか、自分が不思議になり、また東京も行くから、残ってたら3枚とも買っとくわ~。
オペラ「蝶々夫人」などは、着物を着たお客がいっぱいらしいですが、リートのコンサートでは殆ど見かけませんね。
何故着物かって?日本に来たという思い出になってくれたらいいな~という思いです(*^^)v。