カンヌ国際映画祭、役所広司『パーフェクト・デイズ』主演で男優賞受賞、島岡美延です。北野監督作品なども注目された今回、アジアの作品とカンヌは相性がいい印象。
クィア・パルム賞受賞の報せが先に入ってきたこの作品、坂元裕二氏が見事、脚本賞受賞。映画『怪物(6月2日公開)』をご紹介します。是枝裕和監督の最新作、音楽は坂本龍一。いったい「怪物」とは何か。登場人物のそれぞれの視線を通した「怪物」探し、しっかり見つめて。
大きな湖のある郊外の町。息子を愛するシングルマザー(安藤サクラ)が、息子が怪我をしたことで学校にやってくる。担任の教師(永山瑛太)、校長(田中裕子)の説明に納得ができない。よくある子ども同士のケンカに見えた出来事をきっかけに、食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大ごとになっていく。そしてある嵐の朝、子どもたちは忽然と姿を消した――。
カンヌでドレス姿の安藤サクラが、田中裕子と対峙する場面の迫力。少年役の二人も負けていません。
とある事情から、今シングルマザーの置かれている環境や、びっくりするほど支援が打ち切られている実状に驚いてます。
その一方で、学校への親たちのクレームにウロウロしている先生たち。何が正しいのかとか、いろんなことを想像してしまいます。見たくなりました。
仮に、親の視点、学校の視点はそれぞれわかったとしても、子どもの視点は多くの大人が理解していないのでは、そんなことを考えさせられました。誰もが子どもだったはずなのに。
新たな「異次元の」対策のために、今まであったものをなくそうとしている現実。「ありがたい」とか思っている場合じゃなさそうですね。